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ニャーロック・ニャームズのニャー冒険。  作者: NWニャトソン
薄濃の毒。
124/203

大ネッコンプロレス

大ネッコンプロレス……創設者はグレート子猫。

「続けろと言われても私が話せるのはそれぐらいだよ」


「そうかい。それじゃあ僕が自ら探るとしよう」


 ニャームズは身支度を素早く済ませ夜の町へ消えていった。

彼は自分の脚で情報を集める。


 しかしいくら情報を集めてもサーカスの公演中にショットガンで人を殺す……そんなバカな話あるわけもないのに。








「あひゃあ!」


 ニャームズが持ってきたビデオにはムキムキの男たちが大勢の客に囲まれ、バットで人を殴ったり画鋲を床にバラまいて背中から倒れる衝撃映像が流れていた。

 にゃんだ? このバイオレンスな映像は!?

 なぜこんなものを見て観客たちは喜んでいるのだ!?


「ニャームズ……これはなんだ? サーカスというのはこんな激しいものだったか?」


「ニャトソン。これはサーカスじゃないよ『プロレス』さ」


 プロレス……? プロレスとはなんだ?


「彼らは客を喜ばせるため血を流し、どこまでも肉体をいじめ続ける……目をそらすな。この『大ネッコンプロレス』は凶器を使うデスマッチからアクロバティックな戦いでも客を魅せる実力派の団体なんだ」


「おうっ……うおっ……おおっ!」


 最後はゴーグルをした男が画鋲まみれの床に寝転んだ男に覆い被さって三秒数え、試合が終わった。


「相手の背中を床につけてスリーカウントで試合終了なんだよ」


「へえ……」


「フォークを額に突き刺したり、二階から飛び降りたりサボテンで殴られたり……これらに『脚本』があることが君に信じられるだろうか?」


「にゃに!?」


「この団体は『脚本がある』と公言している団体だ。プロレスにはブック(脚本)肯定派と否定派があり……まあそれはいいだろう。プロレスは一晩あっても語りきれる物ではない」


「信じられない! 彼らは何のためにそんな……」


「お客さんが喜ぶからさ。だからこそ彼らの闘いは美しいのさ」


「おおっ……」


 うむ……なんとスゴい男たちだ……。

 敗者の男は額をカミソリで切られ、血をダラダラ流しながら退場していく。

まてよ?


「ニャームズ……脚本があるということはこの男は痛めつけられたあげく自分が負けることを知って闘いに挑んだわけか?」


「そうだよ」


「……!?」


 ブワワと涙が溢れた。

血だらけの男が美しく見えた。


 すべてはお客さんの喜びの為なのか!

 負けるとわかって……傷つくとわかって……


「しかしなんで君は急にプロレスを私に……」


「鈍いなぁ!」


 ニャームズはそう叫ぶと例の猫をバカにしたような顔をした。


「ほら! 次はメーンイベントだよ! メーンイベントはデスマッチとはうって変わって飛んだり跳ねたりのアクロバティックなプロレスが見れるよ!」


 右から龍のマスクを被った男、左から虎のマスクを被った男が入場してきた。


「なぜこの男たちは顔を隠しているんだ?」


「ファンタジーだ。プロレスにはファンタジーが詰まっているんだニャトソン」


 答えになってない。


『青ーコーナー……ドラゴンーーかめーーん!! 赤ーコーナー……タイガーかめーーん!!』


 ドラゴン仮面対タイガー仮面か……キャラがたっているな……


「さあ始まるぜ。ドラゴンと虎の……いや、鱒男と穴子の一気うちだ」


「ハッハッハッ……鱒と穴子の闘いか。お魚戦争だな。ドラゴンと虎とは偉くちが……ニャニィ!?」


「君は本当に鈍いな」


 今から闘うのは鱒男と穴子だというのか!?


「この試合に勝てばドラゴン仮面……穴子は『年間プロレスMVP』間違いなしだと言われていた……さて、試合から目をそらすなよ?」


 ゴングが鳴った。


 二人がバク転しながら距離を離した。

 なんと軽やかな動き……まるでサーカス……あっ! そうか!



 会場が大きくどよめいた。






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