津軽まさたけ
インターネッコ……猫のインターネット。速い。
ニャフー……猫のYahoo!……?
「なぜこんなにコソコソと……」
津軽まさたけは隅田川に小舟をだして呆けていた。
(一時は釣りは武士のたしなみともいわれたものだが……)
『生類哀れの令』はとうとう釣りすらも禁止した。
釣りに狂っていたともされる、まさたけにとってこれは辛かった。
(綱吉様に見つかればこれはえらいことだ)
舟を出すといっても釣りをする度胸はない。
舟に揺られ、泳ぐ魚を見て釣りをしたいという欲求を抑えた。
ある程度の地位のあるまさたけといえども見つかれば島流しは避けられない。
まさたけの出世を誰よりも願った義父の気持ちを思うとどうしても竿を振れない。
(八丈島に島流しになれば釣りができると聞く……)
いっそ島流しになって……まさたけは首を振った。
「バカなことを考えるな……おやあれは……何をしている!」
形の悪い髷を結った男が『白い犬』を川に投げ入れた。
「いかん!」
(あんなものが役人に見つかれば晒し首だ! 巻き添えを食らってはたまらぬ!)
舟を柳の木の下に止め、自らもその枝と生い茂る葉に身を隠した。
「あの犬は確か?」
(『シロ』とか呼ばれてる『野良犬』だ……小汚いとはいえお犬様だぞ!)
「出来心だったんだ! 勘弁してくれ!」
案の定、男はすぐに役人に捕まり泣き叫んでいた。
「命はあるまいな……そこまてすることはあるまい」
腹がたってきた。
『生類哀れみの令』がある限り自分は大好きな釣りができぬのだ。
まさたけは男たちが去ったあと陸に上がりシロの横に立った。
シロはイヤらしい顔して何やらブツブツ唱えている。
(ネコネコアザラシ……といっている……?)
まさたけにはそう言っているように聞こえた。
「人の命よりお犬様か……ああ……釣りがしたい!」
とまあ……これが歴史の真実だろうねニャトソン。
グレイの書庫を捜せば原文があるはずだ。
この数十年後『生類哀れみの令』は廃止され、まさたけは『津軽采女』として日本初の釣りの本『何羨録』を書いた。
ホワイトの呪いなんてない。
生類哀れみの令によって守られた犬をイジメた町民が晒し首にされたというだけの話さ。
『東京』ではなく『江戸』でね。
ついでだからホワイトの『何もない場所に物質を作り出すトリック』についても説明しておこう。
あれは俗に言う『3Dペン』だ。
ローブの腕の部分にでも仕込んでおいたのだろうさ。
3Dペンは空間にお絵かきできるペンでね。
別名『空中ペン』さ。
日本ではまだマイナーだがアメリカでは結構有名なんだぜ?
インターネッコに繋いでニャフーで検索してみろよ。
とまあニャームズのFAXはこのような内容だった。
読者諸君も是非『3Dペン』をインターネッコで検索して欲しい。
ネッコ環境が整っていないならインターネットでもいいだろう。