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佐野ハル――初日早々、大遅刻。

はじめまして、日向夏です。

このたび、合唱をテーマにした小説を書いてみようと思います!

「合唱が好き!」な人、「自分も合唱部だよ!」という方はもちろん、

「合唱よく分からない」「楽譜読めない」「音楽嫌い」という方でも読みやすいテイストになっているんじゃないかな?と思います。

小説初心者の私ですが、合唱部部員たち共々温かい目で見守っていただけると嬉しいです!

照りつける強烈な日の光。死ぬほど暑く、立っているだけで汗が噴き出す。

昼下がりの校舎には暑さと比例して大きくなる蝉の声と、


――――ばらばらの合唱。




「だああぁぁあっ、もう!何度言ったらわかるの!?」

窓全開で扇風機を強にして少しでも暑さを和らげようとしている(いや、無駄な行為とでも言うべきか)3-1教室に呆れとも感じる怒鳴り声が響く。声の主は長谷川清はせがわマコト。この、蒲原中学校合唱部のアルトパートリーダーである。

夏休み初日。蒲原中合唱部は、合唱コンクール前の合宿に向け、曲の音取り(楽譜に書いてあるメロディを覚える作業)を始めていた。

今年合唱部の歌う曲は、「約束」。大切な人との約束、これから違う道を歩むとしても、お互い過ごした日々を忘れないで、そんな青春らしい歌詞とどこか切ないハーモニーが印象的な曲なのだ。

清は、後輩である1,2年生に指導を行っていたところだった。

「2年生、あたしはさっき ここはもっと弱く歌え って言ったけど、それはやりすぎ!それじゃ音がかき消されちゃうし!」

清のセミロングの髪の先から汗の水滴が垂れる。「もっと切なく!もっと綺麗に!決してかき消されずに!!わかった!?」「はいっ!!」

清の熱血指導をさらに熱くするかのような部員たちの返事。

「じゃあ、もっかい同じところ歌うよ!ソプラノも準備いい??」清がやや左に視線を向ける。アルトの左隣、合唱の中でももっとも高音を奏でるパート、ソプラノだ。

「おっけ~、さっさと始めようや~」やけに間延びした口調で返すのは、ソプラノパートリーダー、波崎沙希はざきさき。清とは対照的に、のんびりとしてどこかつかめないような性格だ。ポニーテールに涼やかな顔立ちという颯爽とした印象の彼女は、見た目とはま逆のおっとりさんなのである。

「っし、じゃあ、いきまーす、、、いち、にぃ、さん、し」「うわああごめんなさぁああぁぁあぁいい!!」

教室の扉が勢い良く開かれたのは部員たちが歌おうと息を短く吸い込み声に出そうとした瞬間だった。

これから美しいメロディを奏でんと開いた口からは驚きの悲鳴が一斉に飛び出す。

「ふわぁぁあぁごめんなさい!!そこで会った男子からお金まきあげてたら遅れちゃったーー!」

ぜぇぜぇと荒い息をしているのは毛先がくるりとカールした二つ結び、白い肌という女子らしさの塊みたいな女の子であった。そんな可愛らしい小動物系の彼女の口からはちっとも可愛くない言葉が飛び出した。

「・・・!おっせぇよーハルーー!!ほら、さっさと歌う準備して!」

「ぜぇぜぇぜぇ・・・はーい!・・ぜぇぜぇ」


佐野ハル――― 愛くるしく口から凶器を繰り出す彼女こそが、この物語の主人公である。










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