空幻郷、大異変(桜花曰く)
空幻郷、この世界は現世とは違う世界。この物語は、そんな、世界の静かな日常の物語である。今日はいつもとは違い里が騒がしい様だが…
桜花は不機嫌だった。
いつもなら食べ物が粗末に扱われない限り怒らない、心の広い彼女が起こっていた。
何故、彼女が怒っているかって?それは、数時間前…そう朝に起こったある事件がきっかけだった。
数時間前…
雪月宅
桜花「きゃー!!」
朝から凄い大きな悲鳴が聞こえて来た。いつもは叫ぶ事などない桜花が叫んだ。
桜花「無い、無い、私のご飯がー!!」
正確に言えば、雪月宅の食べ物という食べ物が全て無くなっていたのだ。
しかし、食べ物が無くなったのは雪月宅だけではなかった。なぜか畑を除く里の食べ物が全て無くなっていたのだ。
狗風「おはようございます。バイトで新聞を届けに来ました。それにしても、朝から里は騒がしい様ですが…」
桜花「ご飯が…」
狗風「?」
そして、今に至るのであった。
狗風「なるほど、食べ物が無くなっていたと?」
里の人A「そうなんだ、朝起きたら、食べ物が無くなっていたんだ」
里の人B「犯人出てこい、食べ物を返せ」
狗風「だ、そうですよ」
狗風は二人の人間に話を吹っかけた。
光棺「よくも朝飯を、犯人、捕まえてやる」
千春「あの、私、泥棒は専門外なんですけど」
里の英雄、光棺と、水霧神社の巫女、千春である。
光棺は里に住んでいて、食べ物を盗まれ、気が立っており、千春は専門外の事を相談され困っていた。
桜花「とにかく、これは大変な事なの。犯人探し手伝って」
珍しく、桜花が真面目に話をし始めた。まあ、彼女はいつも真面目らしいが。
光棺「千春、頼む手伝ってくれ」
千春「そんな事言われましても…」
千春は断ろうとしたその時
炎蒔「いいや、手伝ってもらおう」
炎蒔、京介が現れた。
京介「手伝ってくれ、犯人を見つけるのに最適の能力を持ってるじゃないか。その、能力を今使わずいつ使うんだよ」
千春「う、でも、何か手掛かりになるものがないと…」
そう千春が言うと同時に刃と、秀が文字通りとんで来た。
刃「炎蒔、手掛かりになりそうな物を手に入れた。なぜか、喰いさしの大根が里の外れに落ちてた。しかも、生だ」
秀「更に、その場所には沢山の雪の様な、ピンク色の光を放つ弾幕が浮いていたんだ」
京介「な、大根を生でまるかじりだと!?桜花さんじゃあるまいし」
桜花「それ、どういう事かしら?」
炎蒔「よし、ナイス手掛かりだ。さ、犯人を見つけてくれ」
炎蒔はキレている桜花と、助けを求める京介をスルーした。
千春は仕方なく犯人探しをする事になった。
犯人探しの会議場所は雪月宅になった。
光棺「では、今から『第25回食料泥棒を捕獲するぞ』の会議を始めます」
炎蒔「イェーイ」
京介「待ってました」
桜花「頑張るわよ」
千春(皆、題名をスルーしちゃうの?)
刃「じゃあ、この大根を見て犯人を特定してくれないか?」
千春「(スルーしたゃうんだ)えっと…」
千春は食べさしの大根を見た。
千春「えっと、歯型等を見て、私の能力の結果、これは多分、妖怪では無いと思います。そして、その姿は小さな少女です」
千春はそう言った。
桜花「犯人は小さな女の子なのね」
炎蒔「なに!?それは、幼女なのか!?ロリッコなのか!?」
京介「よく一晩で里の食べ物を全て食べ尽くしたな」
桜花「よし、今日は家で食べ物を置いて犯人を捕まえるわよ」
千春以外「おぉー!!」
そして、雪月宅に皆泊まる事にした。食べ物は、一番奥の座敷の中心に置かれた。
千春(不自然すぎる、絶対に捕まえれないよ)
時間は1時になった。犯人は一向に現れない。それどころか、桜花は寝てしまい、炎蒔は秀の現世から持って来た携帯でアニメを見はじめた。千春、光棺、刃、京介、秀は桜花を起こし、炎蒔から携帯を取り上げようとしたが、桜花は全然起きず、炎蒔はキレた。
結局、5人になった。
時間は2時。
その時、座敷の扉が開いた。
フワフワと浮く弾幕と共に一人の少女が部屋に入って来て、食べ物を食べ始めた。
千春「(えっ、何のためらいもなく食べちゃうの!?)って、皆さん、犯人です」
光棺「よっしゃ、覚悟しろ」
京介「うわ、レイアとあまり身長かわんねえ」
秀「生でまるごとスイカにかぶりつくだと!?」
刃「嘘だろ」
桜花「すぴー」
炎蒔「アハハ、このアニメ面白れー」
最後の二人をスルーして、5人は、弾幕を避けながら、少女を捕まえた。
???「…?」
少女は無言で5人を見つめた。
光棺「さて、こいつをどうしようか」
光棺は手をならした。
千春「暴力はダメです」
刃「注意だけで良いだろ」
京介「いや、一度お仕置きした方が良いな」
秀「なあ、あれ、伊摩擦だよな?」
秀が指指したそこには、伊摩倶が倒れていた。
京介「スルーだ」
伊摩倶は見捨てられた。
炎蒔「犯人捕まえたんか?」
炎蒔がやって来たそして。そして、
炎蒔「ロリッコだー」
少女に飛びついた。
???「…」
少女は笑顔で炎蒔を見た、その瞬間、炎蒔の前に大きな蛇が現れ、炎蒔は喰われた。
千春「え?」
光棺「なっ!?」
刃「炎蒔ー!!」
刃は蛇に弓矢を放った。しかし、雷の速さの刃の矢はかわされ、蛇の尾で刃は、床に叩き付けられた。
刃「ぐぁっ!!」
京介「刃!!畜生、くらえ!!」
京介は動きを止めた蛇をハンマーで撲った。蛇は消え、その場には気絶した炎蒔がいた。
一瞬の出来事だった。一瞬にして、二人やられた。
場が静まり、光棺、千春、京介、秀は構えた。その時、少女が歌い出した。
???「私はルビア夢の中♪夢見て生きてる♪」
そして、歌が止んだ。
ルビア「遊びたい」
そう言った。
京介「何言ってんだ?」
千春「そ、そんな、あの子、これまでの偽りの心がない、そして、真実の心しか、心が閉ざされてるの!?」
秀「なっ!!」
光棺「関係ねー!!俺の力で倒してやる」
光棺は颯爽とルビアに突っ込んで行った。そして、ルビアを殴ろうとした。しかし、手が届かない。それどころか、部屋に居た皆が、宙に浮いていた。
千春「え?なんで浮いてるの」
京介「お、俺飛んでるのか?」
秀「京介、良かったな」
光棺「畜生、手が届かねえ」
ルビア「それ」
ルビアが指を下に動かすと、全員、畳にたたきつけられた。
光棺「いてっ」
千春「きゃっ」
京介「なっ」
秀「っ」
全員が畳にたたきつけられたその時、衝撃で寝ていた桜花と、気絶していた刃、炎蒔、伊摩倶の三人が起きた。
桜花「いたた、何?安眠妨害?」
炎蒔「はっ!!ロリッコはどこに!?」
刃「って、畜生あの蛇野郎」
伊摩倶「えっと、どういう状況なんだ?」
目が覚めた4人の内、3人はボケていた。
千春「桜花さん、その子、犯人です」
千春はルビアを指、指して言った。
桜花「あら、暦。ところで犯人って?それから、ご飯まだ?」
光棺「くそっ、起きた瞬間から最高のボケかよ!!」
千春「っていうか、暦って誰なんですか!?あの子は、ルビアですよ」
桜花「(今回はルビアって偽名なんだ)そうなの、なんだっけ?」
桜花はまだボケていた。
秀「とりあえず、あの子が食料泥棒の犯人です」
桜花「えっと、あ、食料泥棒!?あんな子供が!?本当に!?」
そう言って桜花は、ルビア(暦)を見た。そして、
桜花「(厄介な子なのよね、あの子、一応戦わないと)食べ物の怨み、桜符、桜花爛々」
激しい光を放つ弾幕がルビア、目掛けて飛んで行き、そして、見事に当たった。
しかし、当たった所を押さえる事もなく、痛みを感じないのか、ルビア(暦)は、気にせずにスペカを発動させた。
ルビア「…夢符、ミラー・ワールド」
部屋が鏡の世界に変わった。
伊摩倶「なんだよ、これ!?」
京介「刃、炎蒔、伊摩倶、気絶して起きた瞬間だがとりあえず構えろ!!」
伊摩倶「え、ちょっ、どういう事っスか?」
光棺「勝負が始まるんだよ」
ルビア「勝負~」
ルビア(暦)との勝負が始まった。
京介「なんだ、この世界は!?」
秀「俺達が沢山居るだと!?」
炎蒔「ロリッコも沢山に増えたぜ、イヤッホー!!」
刃「喜ぶなよ!!」
伊摩倶「これ、全員本物か?」
千春「全部、偽物です。本人は一人です」
伊摩倶が動くと、増え伊摩倶が一斉に同じ動きをした。
光棺「うわ、キモっ全員同じ動きかよ」
伊摩倶「正直、気づつくぜ」
皆がいろんな事を言ってる間に、誰にも気づかれずに桜花がルビア(暦)と話始めた。
桜花「何で貴方がこの世界に居るのかしら?暦」
暦「…だって、暇だから」
桜花「なんで、今は、貴方の格好なの?貴方の方はお尋ね者よ」
暦「今月は、新月が終わっちゃうからだよ」
桜花「今月は何日その姿で居たの?」
暦「2日だよ」
桜花「なんで食べ物全部食べちゃったの?」
暦「お腹空いたから」
桜花「相変わらず、純粋すぎるわね。それだから、千春の能力が効かないのね」暦「千春?誰それ?」
桜花「貴方の前に居た巫女服の少女よ」
暦「私、貰って良い?」
桜花「ダメよ、貴方は殺しちゃうから」
そんな、会話が続いていた。一方・・・
炎蒔「こんな鏡、壊して、速くロリッコの元へ行かねば」
炎蒔は暴れていた。
光棺「な!?触れたら消える!?この鏡、能力で出来てるぞ!?」
千春、京介、刃「見ればわかるわー!!」
三人はツッコミを入れた。伊摩倶「旦那、こんな鏡、旦那のスペルで一発ですぜ」
秀「任せろ、光符、ライトライト」
秀は懐中電灯をつけた。
次の瞬間、光線が懐中電灯から放たれ、鏡を反射して全体へ飛んだ。
秀「うわ、あぶね。光が反射するの忘れてた」
そう言ってかわした後ろから悲鳴が聞こえた。
伊摩倶「ぐはっ」
光線は見事に伊摩倶に命中、当たって光線が細く散らばった。
千春「えっ、ちょっ、嫌!!」
京介「うわ、秀の野郎・・・」
刃「く、光が鏡に写ってかわしにくい」
光棺「畜生、防ぐと同時に光線が・・・ギャー」
炎蒔「・・・」
皆を襲う光線は桜花と暦の方にも飛んで行き、そして。
桜花「キャっ」
桜花の後頭部に命中した。
暦「痛いの?」
桜花「・・・」
桜花は無言で立ち上がった。彼女の周りには、蛇の目傘(日殺し)と、日本刀(月桜)、扇子(黒風)、鏡(雪鏡)、が浮いていた。
暦「怒ったの?」
暦の問い掛けに答えず、桜花は、7人の方へ歩き出した。
桜花「貴方達覚悟は出来てるのね」
千春「私じゃありませんー!!」
京介「ガハッ」
刃「俺達は被害者だ、原因は秀だ!!」
秀「な、原因は俺だけか!!」
千春、刃「お前だけだ、ボケー!!」
千春と刃は光線をかわしながら叫んだ。
その時、ルビア(暦)の声が聞こえてきた
ルビア(暦)「1~2~3~・・・」
桜花「何を数えてるの?」
ルビア(暦)「死体の数~」
暦が数えていたのは、光線に当たって、倒れている人の数だった。注)死んでません。
暦が数えている内に光線が暦の方に飛んで行き、そして、
暦「うゆっ!!」
ルビア(暦)の額に命中した。それと同時に、鏡の世界が消えた。
秀「を、世界が戻った。よかった」
ルビア、秀以外全員「何が良かっただー!!」
秀「いや、まあ、結果オーライということで・・・」
ルビア、秀以外全員「誰が許すか!!」
炎蒔「ルビアちゃんに怪我させやがって」
ルビア、炎蒔以外「・・・」
光棺「とりあえず、死ねー!!」
京介「謝れー!!」
刃「反省しろー!!」
秀「ギャー!!」
秀は、他の仲間達全員に攻撃された。
暦額に手を当て血を拭いたそして、
暦「夢符、反転反重力世界」
スペカを発動させた。
暦がスペカを発動させ再び不思議な世界が広がった。
秀「何だこの世界は!!」
京介「な、自分の動こうとした方向と逆の方向に体が進む」
光棺「右に行けば、左へ、左へ行けば、右へ。よし、行くぜ」
そう言って光棺は前に浮きながら進みだし、そして…天井にぶち当たった。
光棺「ガハッ」
暦以外全員「!?」
皆その場から移動するのを止めようとしたが、考えた事が逆になり、同じ空間に出され、壁にぶつかったり、ぶつかりあったりした。
桜花「いたた、この世界の事、忘れてた」
壁にぶつかった桜花はとりあえず状況を確認するため、周りを見た。すると光棺が視界に入った。
光棺「…」
天井にぶつかったのが原因であろう、気絶したまま漂っている。
次に京介と秀を見た。
京介「痛、秀どこ見て進んでんだ!!」
秀「前見て進んでんだよ!!重力感覚が変になってぶつかっただけだよ!!」
桜花(我を忘れて言い争ってる。心配ね…)
次に伊摩倶と炎蒔の方を見た。
伊摩倶「うっ」
炎蒔「ガァァァー!!俺の大事なファーストキスがー!!」
桜花(…問題無いわね、大丈夫、スルー)
最後に一番騒がしい千春と刃の方を見た。
千春「刃さんの馬鹿!!変態!!乙女の胸を断りも無く触って!!」
刃「いや、マジ悪かった。ゴメン。でも、わざとじゃないんだ、信じてくれ!!あと、起爆符はやめてくれ!!」
桜花(おそらくこの世界の力により、刃の手が千春の胸に触れたのね…。刃、ご愁傷様…)
状況を確認し終え、桜花は叫んだ。
桜花「皆、争い事は後にしなさい。今は能力等を駆使して、ルビア(暦)の所に行くのよ」
千春「うぅ、そうでした。先に原因の人を倒さないと…」
刃「そ、そうだ。速く奴を倒さないと」
千春「許してませんからね」
千春はきつく刃に言って進み始めた。
秀「へ、光の攻撃は重力の影響を受けないはずだ、ライトライ…グフッ」
秀は言葉の途中で京介に殴られた。
秀「おい、京介、何すんだよ!?」
京介「攻撃は止めろ。お前もあいつみたいになるぞ」
秀「あいつ?」
秀は京介が指、指す方を見た。そこには、黒焦げになった炎蒔が倒れていた。
秀「な、何があったんだ!?敵か、あいつの仕業か!?」
伊摩倶「いや、自分が放った炎の塊をもろに受けただけだよ」
秀「あいつが原因だな!!やってやる!!」
伊摩倶「人の話、ちゃんと聞けよ!!」
伊摩倶の言葉も虚しく、秀はルビア目掛けて急接近を計った、そして
秀「ギャー!!」
天井、壁、床をスーパーボールの様に跳ね回りながら、桜花と刃の近くに落ちて来た。
桜花「あら、いらっしゃいお茶でもいかが?」
桜花と刃はその場でお茶を飲んでいた。
秀「…」
返事がないただの屍の様だ
刃「伊摩倶の言葉最後まで聞けよ」
秀「…」
返事がないただの屍…
京介「ちゃんと物事考えろよ」
秀「…」
返事がないた…
伊摩倶「倒れてる奴ら回収して来たぞ」
伊摩倶が気絶している光棺と、炎蒔を秀の上に落とした。
秀「畜生、死なせてくれ、どうせ俺なんか…」
秀が起きてそう叫んだ。すると、
桜花「じゃあ、死ねば?」
桜花はさらりと言った。
全員「…」
沈黙の時間ができた。
京介「を、千春がルビアの所に辿り着いたぞ」
京介の言葉を聞いて皆が千春を見た。
千春「到着っと。さてと、ルビアちゃん、私は暴力が嫌いだから、貴方に話をしに来たの聞いてくれる?」
ルビア(暦)「お話?良いよ」
千春「ルビアちゃん、人の物を盗るのはいけない事なの、もう盗っちゃダメよ」
ルビア(暦)「うん、わかった」
千春「じゃあ、ルビアちゃん、まず、この不思議な世界を元に戻して、皆に謝ってくれる?」
ルビア(暦)「嫌」
そう言ってルビア(暦)は笑顔で弾幕を辺りにばらまいた、次の瞬間、ルビア(暦)の体が浮き、後ろの壁にぶつかった。
千春「いい加減にしろ、こんなに人に迷惑かけやがって殺すぞ!!」
その瞬間、誰もが自分の目を疑った。千春がキレたのだ。あの優しく暴力を嫌がる千春が、ルビア(暦)を全力で蹴り飛ばしたのだ。
ルビア(暦)は口から、血を出しながらその場から、千春を見た。いつもの様に笑顔だが、その瞳の奥には、恐怖の色が少し出ていた。
桜花「まさか、あの子を恐がらせるとは…」
桜花以外の皆は口を開いたまま千春を見つめた。
千春に睨み付けられたルビア(暦)は涙を流した。感情を無くし、心を閉ざしていた彼女が泣いた。その瞬間、周りは元の世界に戻った。そして、暦は逃げ出した。
千春は疲労が溢れたのかその場で寝てしまった。
秀「…とりあえず…、あいつを捕まえて、里の人達に謝らせよう」
京介「あ、ああ」
寝てしまった千春と、気絶したままの光棺は桜花が見る事になった。
あとの5人は、何か、ルビア(暦)に対して申し訳ない気持ちになって追いかけた。