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冥府の剣  作者: 梅院 暁
第3章 冬夜の銃撃戦
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第15話

 ――倉庫内に手榴弾が投げ込まれる数分前――

 倉庫の屋根に上がっていた勝連(かつら)(たけし)は、バックアップのために残った部隊からの緊急連絡を受けていた。

「何事だ」

『所属不明の車両が複数接近、現在応戦中!』

 無線からは、狼狽した声と、銃声が聞こえてくる。

「落ち着け! 敵の数は? どんな状況だ?」

 勝連が叱咤すると同時に、一際大きい破砕音。

『ワゴンタイプの車両が二台突破! そちらに――』

 ここで無線が切れた。

 勝連が無線から顔を離すと、こちらへ向かうヘッドライトの光が見える。勝連は再び無線を手にし、

太刀掛(たちかけ)さん、聞こえるか!」



 太刀掛(たちかけ)(ひとし)は突然の勝連からの連絡に、

「何事ですか?」

『正体不明の車両が二台、そっちに向かっているぞ! おそらく、ナインテラーか霧生組の――』

 太刀掛は全て聞き取ることが出来なかった。

 何故なら、今まさにワゴン車が一台、こちらに突っ込んできたからだ。

 太刀掛と弦間(つるま)(たくみ)が、持っている短機関銃やアサルトライフルを撃つが、フロントガラスにひびを入れる程度しか効果がない。

「退避!」

 太刀掛が叫び、三人は急いで物陰に飛び込む。身柄を確保したトレスは、脚を撃って動けなくしてあったので、そのまま放置せざるを得ない。

 ワゴン車がドリフトし、トレスの前に停止した。

 後部のドアがスライドし、現れた男達がアサルトライフルを太刀掛達に発砲する。

「さぁ、早く!」

 トレスは男達に守られながらワゴンに乗り込んだ。太刀掛達は反撃しようとするが、手出しが出来ない。

 男達もワゴンに戻り、再びワゴンが動き出す。

 太刀掛達は走り出したワゴンに向け銃撃を加えるが、防弾処理が施されているのか、止まることなく速度を上げていく。

 太刀掛は、徐々に見えなくなっていくワゴンを見ながら無線を取り、勝連に報告する。

「申し訳ありません……トレスが逃走しました」

『こちらも狙撃を試みたが、間に合わなかった』

「これより松澤(まつざわ)の確保に向かいます」

 そのとき、倉庫内から爆発音がした。



 倉庫内で爆発が起きた時、霧生組の組員はほぼ全滅していた。

 そして、爆発音を聞きつけた他の隊員達が集まっている。

 現場は凄惨なものになっていた。松澤(まつざわ)昌樹(まさき)と一人のヤクザが、手榴弾の破片を全身に受けてボロ雑巾のようになっている。

「ユーミとルナは?」

 すると、松澤の死体が動いた。

 一斉に銃口を向ける。全員が油断なく銃を構えて様子を見ていると、「俺だよ」の声。

「ユーミか!」

 レイモンドが駆け寄り、死体を退()かすと、勇海(ゆうみ)(あらた)の姿があった。

「無事だったんだな」

「あぁ、寸前にこいつを盾にしてね……ところでルナは?」

 ユーミが辺りを見渡しながら言うと、今度は「こっちよ」の声がする。

 声がした方に注目すると、もう一人のヤクザの死体の下からルナが這いずり出てきたところだった。どうやらルナも勇海同様に死体で爆発と破片から身を守ったらしい。

「酷い目にあったわ」

 全員揃ったところで、勝連に報告を入れる。

「倉庫内の敵は全滅、松澤昌樹は死亡、身柄の拘束に失敗しました」

 しばらく間が開き、

『全部隊へ告ぐ。作戦は終了、ただちに証拠を消し撤退を開始せよ』

 前話のサブタイトルがあまりにも不評だったので、変えました。

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