プロローグ
ドーモ、梅院暁です。
長いこと掛かって第2幕まで終わったので、ここらで一度登場人物について簡単な紹介を挟みます。
【防衛省特殊介入部隊】
本作に登場する架空の特殊部隊。
Ministry of Defence Special Intervention unitを略してMDSIとも呼ばれる。
その任務は近年増加しつつある日本へのテロ行為の阻止と排除である。
防衛省内に秘密裏に設立されており、その存在は国民達に秘匿されている。部隊に所属する隊員達も多くが元は軍・警察特殊部隊の出身で、偽名を名乗って過去の身分を抹消している。
対テロに関して高い戦闘能力を持つ反面、秘密主義から警察庁などの法執行機関からは煙たがられいる。
・明智 真
本作の主人公。25歳。本名は真智明。通称「マコト」。
元警察官。
ある事件にて婚約者を失い、被疑者を逮捕せず射殺したために、死刑の判決を受けた。後に秘密裏にMDSIの手によって脱獄させられ、スカウトされた。
上記の事件がきっかけで、普段は無口で仲間に対しても愛想が悪いが、テロリストや犯罪者に対し、激しい怒りと正義感を燃やす。
警察官としては射撃能力が致命的に悪かった。反面祖父より教えられた剣道の腕は高く、その格闘能力の高さがMDSIのスカウトの目に留まった。
戦闘時は右手に脇差しや警棒を、左手にコンパクトな銃器を持って接近戦を行う。
主な使用銃器は回転式拳銃のマテバ6Unica(紛失した後は、太刀掛からコルト・ローマンの2インチモデルを借用している)。また、上記の通りコンパクトな火器を使用するため、B&T MP9などの短機関銃を用いることが多い。
・勇海 新
MDSI男性隊員。関東本部所属。通称「ユーミ」。
明智をスカウトした張本人にして、射撃分野の教官も担っている。
普段は軽い言動や命令無視の常習犯っぷりが目立つが、戦闘時には高い戦闘力と判断力を持って容赦なく敵を撃ち倒す。
ありとあらゆる銃器に精通し、アサルトライフルから狙撃銃、機関銃からグレネードランチャーまで様々な火器を扱える。反面、接近戦は苦手。
愛銃は、S&W M686通称Dコンバットマグナムの4インチモデル。
他にも、S&W M649ボディガード、SIG SG552カービン、レミントンM24スナイパーライフル、サコーM60汎用機関銃などを使用している。
・勝連 武
MDSI幹部。関東本部所属で、現場指揮官にして実質組織のNo.2。
軍人然とし冷静な指示を行う反面、個性豊かな部下達の言動に日々悩まされる中間管理職。
隊内では一、二位を争う程の射撃の腕を持ち、高威力、長射程の銃器を好む。
愛銃は、スプリングフィールドM1911ガバメントクローン。
主な使用銃器は、スプリングフィールドM14ライフルのカスタムモデル(近代改修型モデルに、勝連好みの照準器などを取り付けたカタマイズ品)。H&K UMP45短機関銃など。
・太刀掛 仁
MDSI男性隊員。関東本部所属。隊では最年長の隊員。通称「タチさん」。
好好爺とした見た目と、周りを気に掛ける余裕を見せつつ、任務時は長年の経験から裏打ちされた高い戦闘、判断能力で敵を葬る。その腕には(組織図上)上官の勝連達幹部にも一目置かれ、重宝されている。
射撃も出来るが彼が本領を発揮するのは小太刀、あるいは素手による格闘戦である。
愛銃は、コルト・ローマンの2インチモデル。明智に貸し出してからは、S&W M10通称ミリタリー&ポリスの2インチモデル。基本的に、抜き撃ちに適した短銃身のリボルバーを好んで使用する。
主な使用銃器は、H&K MP5短機関銃、コルトM4カービン、レミントンM870ショットガンなど。
・綾目 留奈
MDSI女性隊員。関東本部所属。通称「ルナ」。
銀髪、碧眼の日本人離れした見た目からは想像が付かない程の毒舌家。最近は主に後輩の明智が被害に遭うことが多い。
射撃と格闘能力をバランスよく持ちつつ、戦闘時はコンパクトな銃器を好んで使用する、CQCの専門家。
愛銃は、H&K P2000。基本、予備にも同じ拳銃を二丁を持つスタイル(曰く、予備の銃のために予備の弾倉を用意するのが面倒くさい)。当初はH&K USPコンパクトやグロック19なども使用していた。
主な使用銃器は、H&K MP7短機関銃、シュタイアーAUG、H&K G36Cカービンなど。
・梓馬 つかさ
MDSI女性隊員。関東本部所属。通称「ツカサ」。
男勝りのさっぱりした性格で、歯に衣着せぬ発言が原因で、毒舌家のルナとは犬猿の仲。
乗り物の運転を得意とし、運搬・戦闘問わず乗り物を操ることが多い。
愛銃は、FN Five-seveNピストル。これは後述のP90短機関銃と弾薬を共有するためでもある。
主な使用銃器は、FN P90短機関銃、ミニミ軽機関銃など。
・杏橋 楠
MDSI女性隊員。関東本部所属。通称「クッス」。
猫のような気まぐれな性格ながら、よく連む面子の押さえに回ることが多いため、相対的に常識人と化している。
戦闘時には、身軽な身体を活かしたアクロバティックな動きで敵を翻弄する。
愛銃は、ベレッタM90-two。
主な使用銃器は、ベネリM3ショットガン、シュタイアーAUGなど。
・姫由 久代
MDSI女性隊員。関東本部所属。通称「ヒサ」。
見た目こそモデルのような美人だが、どんな状況でも自分のペースを崩さぬマイペースっぷりで周りを翻弄する。
戦闘時にはアサルトライフルを用いた射撃戦を行うことが多いが、モデル体型特有の長い手足を活かした蹴り技や投げ技を用いた体術も行う、オールラウンダー。
主な使用銃器は、H&K G36Cカービン、FN SCAR-H、FNP90短機関銃など。
・龍村 レイ=主水
MDSI男性隊員。関東本部所属。通称「レイモンド」。
イタリア人と日本人のハーフ(レイがイタリア名)。陽気な性格でチームのムードメーカー。
戦闘時は鍛え抜いた筋肉を活かした、レスリングスタイルのパワフルな格闘戦を得意とする。
愛銃は、ベレッタM92F。
主な使用銃器は、フランキ・スパス15ショットガン、ミニミ軽機関銃など。
・力石 満
MDSI男性隊員。関東本部所属。通称「リキ」。
真面目な反面、寡黙な男。ムードメーカーでお喋りなレイモンドと連むことが多い。
戦闘時は重火器を用いた後方火力支援を担当する。
愛銃は、H&K USP。
主な使用銃器は、H&K MP5短機関銃、H&K G3SG/1狙撃銃、H&K HK11汎用機関銃など。
・望月 香
MDSI女性隊員。関東本部所属。通称「姐さん」。
面倒見がよく、時に優しく時に厳しい女性陣のまとめ役。
専門は戦術格闘。
愛銃は、SIG P226。
主な使用銃器は、MP5短機関銃、CZスコーピオンEVO3短機関銃など。
・通津 理
MDSI男性隊員。関東本部所属。通称「ツヅ」。
眼鏡を掛けた優男で、その外見に違わず気弱な言動が目立つ。
専門は電子機器で、様々な機械を操り、作戦をサポートする。
愛銃は、ベレッタM92F。
主な使用銃器は、M4カービン、ミニミ軽機関銃など。
・弦間 匠
MDSI男性隊員。関東本部所属。通称「タッくん」。
男性陣では明智が来るまで最年少だった。一見丁寧な言動をしているようで、素のプライドの高さが端々に滲んでいる。
ナイフ格闘を得意とし、銃を撃つよりも投げナイフを多用する。
愛銃は、FN ブローニング・ハイパワー。
主な使用銃器は、ダボールCTAR-21、M4カービンなど。
・皐 里緒
MDSI女性隊員。中国・四国支部所属のエース。通称「リオ」。
レイモンドに負けず劣らず陽気な性格。レイモンドにアピールしているが中々振り向いてもらえない。
戦闘時は靴に仕込んだ刃を用いた蹴り技を使用する。
主な使用銃器は、FN P90短機関銃、H&K HK21汎用機関銃など。
・登崎 岳
MDSI男性隊員。中国・四国支部所属のエース。通称「トッさん」。
お喋りかつお調子者な性格で、それが災いして幹部陣から雷を落とされることが多い。
戦闘時は、両手に持った二丁の銃器にそれぞれ色の違うレーザーポインターを取り付け、片目でそれぞれの光点を追って射撃することで、多数の敵にも容易く対応してしまう。
愛銃は、色違いのレーザーポインターを付けた、二丁のMP7A2短機関銃。
主な使用銃器は、G36Kカービン(レーザーポインター付)など。
・英賀 敦
MDSI幹部。関東本部所属で、過激化する状況を鑑み、副指揮官に任命される。通称「アガ」あるいは「チーフ」。
幹部陣の中では一番若く、出世したばかりで自信のない言動が目立つが、実戦ではは副指揮官として恥じないレベルで部隊を動かし、勝連を補佐する。
愛銃は、SIG P226。
主な使用銃器は、M4カービンのカナダ版C8カービンなど。
・雲早 柊
MDSI男性幹部。元はエース隊員だったが、北海道支部支部長に任命された。通称「シュウ」。
勇海とは同期で、英賀とともに入隊したばかりのルナ、梓馬、楠、久代の四人の教官も務めたことがある。
射撃を得意とし、勇海と負けず劣らずの実力を誇る。二丁拳銃を愛用する。
愛銃は、チェコのCz75を二丁。
主な使用銃器は、ASヴァルアサルトライフル、H&K HK416カービン、KBP PP-2000短機関銃など。
・花和泉 幸
MDSI女性隊員。諜報部所属。通称「イズミ」。
本人は淑女然としようとするが、頻繁に暴発しているため徒労に終わることが多い。
爆発物の専門家で、様々な爆薬を用いて道を切り開く、破壊工作のスペシャリストである。
愛銃は、SIG P228。
主な使用銃器は、B&T MP9短機関銃、シュタイアーAUGなど。
・名雪 琴音
MDSI女性隊員。諜報部所属。通称「ユッキ」。
ほとんど声や音を出さずに生活しており、時折仲間からも居場所が感知できず驚かれることが多い。よく組む花和泉が基本騒がしいため、かなり対照的。
反面耳がよく、様々な音を即座に判断する。戦闘になると、ワイヤーや減音器付の銃器を用いたサイレント・キリングによって音もなく暗殺していく。
主な使用銃器はASヴァルアサルトライフル、B&T MP9短機関銃、CZスコーピオンEVO3短機関銃など。
・忍坂 あゆみ
MDSI女性隊員。諜報部所属。通称「アユ」。
潜入工作や情報収集を専門とした隊員。作中では敵の捕虜になるも、機転を利かせ自身の位置を知らせることに成功した。
愛銃は、マイクロUZI。
・悟道 正
MDSI男性隊員。諜報部所属。
中肉中背の目立たない男。主な任務は情報収集と捕虜への尋問。
・邑楽 雅
MDSI幹部。諜報部の長。
諜報部をまとめるだけあって冷静沈着に物事を判断する女性。一方、部下が誘拐された際はかなりきつい尋問を行ったり任務に無理を押し通して参加するなど、部下思いな一面も見せる。
狙撃を得意としている。
主な使用銃器は、KBP SVUスナイパーライフル、KBP製対物ライフルOSV-96など。
・駿河 申
MDSI幹部。東海支部支部長。通称「パパ」。
オネェ言葉で話しているが、実は隊唯一の妻帯者。あだ名の由来もそこから。うっかり怒らせてしまうと隊で三本の指に入るレベルの怖さを発揮する。
戦闘時はムエタイベースの膝蹴り、肘打ち中心の格闘術を用いる。
愛銃は、SIG P320。
主な使用銃器は、マイクロダボール、M4カービンなど。
・清水 成
MDSI男性隊員。東海支部のエースの一人。通称「ジミー」。
面倒臭がりな性格ながら、なんだかんだで自分の仕事はこなす常識人。
戦闘時は「タリボン」という東南アジアで使われてた山刀を用い、その切断力を活かしたパワー戦法で敵を斬り刻む。
愛銃は、グロック17。
主な使用銃器は、H&K G36Cカービン、M4カービンなど。
・子桃園 舞
MDSI女性隊員。東海支部のエースの一人。通称「モモ」。
独特の語尾を付けた話し方をする、陽気なトラブルメーカー。
戦闘時は鎌丈の短剣「カランビット」や波打った刃を持つ「クリスナイフ」を用いたナイフ戦を得意とし、力寄りの清水と対照的に技術で敵を圧倒する。
愛銃は、グロック17。
主な使用銃器は、シュタイアーAUG、M4カービンなど。
・吉弘 丈二
MDSI幹部。関西支部支部長。通称「ジョージ」。
過去に左目に受けた傷が元で隻眼となっている。紳士然とした態度を取りつつ、司令官の巌に高い忠誠心を持っている。
MDSI所属前から優れた狙撃手であり、長年培った経験と技術から、相手の狙撃手の行動を読んで仕留める、カウンタースナイプの専門家。
愛銃は、AI AWSMスナイパーライフル。
・幟 大呉
MDSI幹部。九州支部支部長。通称「ダイゴ」。
MDSI所属の際に日本に帰化した。そのため、話し方がやや片言。
二メートル近い巨漢で、戦闘時にはその体格と膂力を活かして重火器を操る。
使用銃器は、IMIネゲヴ・コマンド軽機関銃、RDIストライカー12ショットガン、ミニガンなど。
・三好 志穂
MDSI女性隊員。九州支部所属。通称「ミヨ」。
使用銃器は、シュタイアーAUG。
・葉桐 美保
MDSI女性隊員。九州支部所属。通称「キリ」。
使用銃器は、シュタイアーAUG。
・磨志葉 藍
MDSI医療科学班班長。
医療や科学知識の面でMDSIの任務をサポートする。
・結城 まどか
MDSI総司令官巌の秘書。
愛銃は、SIG GSR。
・守家 剛
MDSI総司令官巌の側近。
前身は警視庁の警護部(いわゆるSP)。辞めた後、その実力を惜しんだ巌に勧誘された。巌の身辺警護も担当している。
・巌 峰高
MDSI最高司令官にして設立者。
隊員達に信頼を寄せ、作戦執行を円滑に進められるよう、他部署からの圧力に対し毅然とした態度で臨んでいる。一方で日本に対するテロ行為を断固として許さず、厳しい姿勢で対テロ作戦を執行している。
・喜三枝 美妃
MDSIの訓練官。夫は、大企業喜三枝コーポレーションの喜三枝一郎。
現在は明智の訓練を担当し、時に厳しく、時に柔らかく指導を行う。
――もう二度と会えないと思っていた。
右手に血の滴る脇差しを、左手に硝煙薫る拳銃を握りながら、明智真は呆然と立ち尽くしていた。
彼の目の前に、一人の女性が立っている。
色素が薄く茶色掛かった長い黒髪、端整な中に憂いを帯びた顔立ち、赤みがかった瞳――
「――さやか」
思わず、真智明はその名を呼んでしまっていた。
――その名を持つ人間が、すでにこの世にいないということを、受け入れたはずなのに。
彼の口は、故人の名を叫んでいた。
人の運命を司るのは、神か? 偶然か?
それは、人が生き続ける限り、時の回廊を巡り続ける永遠の謎掛け。
だが、目の前に現れた女は、確かに明智真――否、真智明の運命を変えたのだ。
剣となって戦う男を、冥府へと引き摺り落とすための戦慄が、現世に蘇る――