3話 食虫花先輩
翌朝。麗央は登校中に異様な光景を目撃した。
「あの!おじいちゃんの面会で老人ホームに行った時、貴女に一目惚れしました!…女の子にこんな事言われたら戸惑うでしょうし、まずはお友達からお願いします!」
「俺、登校中の君がずっと気になってたんだ!これ、俺の連絡先。受け取ってくれ!」
「僕のも受け取ってください!」
一見すると国民的美少女のような容姿の、ぱっちりとした目が印象的な女生徒が他校の生徒達に囲まれていた。
「私、受験生だからそういうのは全部断ってるんです。…ごめんね?」
彼女は輝く笑顔を浮かべながらバッサリ断っていた。
(あれは毒花どころじゃない…。性別問わず誘引する、食虫花だ!)
すると、校門から生活指導の体育教師が走ってくるのが見えた。
「こら!おまえら、南高と東中の生徒か!?うちの白石に近づくな!!」
(生活指導の先生まで餌食になりに行ったぞ……)
麗央は無言で視線を外し、足早に校舎へ向かった。
「百合宮くん、おはようー!…あれ?なんか、顔色悪くない?」
「おはようございます、百合宮くん。大丈夫ですか?」
「ああ、おはよう。…さっき変なもの見ただけだ」
「変なものって?」
「通学路で他校の生徒達が女生徒に群がってた。先生も突撃しに行ってたぞ」
「……それって、白石先輩じゃない?3年生の」
「知ってるのか?柿本さん」
「うん。ボランティア部で一緒なの。…上級生の男子部員が、先輩方が卒業していなくなったから今がチャンスだとか、1年生男子達にニヤニヤしながら言ってたらしいよ?」
(やばいだろ、ボランティア部の風紀が乱れるぞ)
中村くんが言いづらそうに口を開いた。
「そういえば、佐藤先輩が入会してくれるって言ってました。先輩情報なんですけど、白石先輩の吸引力はやばい。購買からは混んでる時間には入って来るなと言われているそうです」
3人で慄いていると、耀が教室に入ってきた。
「おはようございます、みなさん!なんだか深刻そうなお顔をされていますが、どうかされましたか?」
「いや、白石先輩の話をしていただけだ」
「白石先輩……綺麗ですよね〜。私、先輩に頑張ってねって言ってもらえたから、同好会を作ろうと思ったんですよ?」
天使の笑顔でニコニコしながら答える耀を見て、3人は恐怖に包まれた。
(美澄さんが……目を離したら、餌食になってしまう!?)
(ウツボカズラの射程に、自力で歩いて行くタイプだ……。美澄が心配だ)




