告発
掲載日:2026/01/23
「ちょっと、キミ、キミ、まだだよ。ダメだよ、勝手に入ってきちゃ…」
現場を調べてる中年の男性が、ある男性を両手で差し押さえた。差し押さえられた男性はそれでも振りしきるように肩を身震いさせて、少女の方へ近付こうとする。その男性は訴えるかのように、張りのある声で今一度調べる男性の注意を向けさせる。
「…ほら、アレです!アレを調べてください!」
「そこは私たちが調べました。特に問題はありません。」
指を差し始め、調べて欲しい男性は更に強く言う。
「……違う。
ヘアピンが、違うんです」
中年の男性は、半ば呆れたように眉をひそめた。
「女の子でしょう。ヘアピンくらい――」
「だからです!」
男性の声が、空気を切った。
「使う子なら分かるはずなんです。波打っている方が裏で、地肌に当たる。平らな方が表。鏡を見て、毎日留めているなら――」
彼は、眠る少女を指差した。
「こんな留め方、するはずがない」
その瞬間、現場の空気が、わずかに変わった。




