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クリスマス 妻の残した宝物

作者: 狸寝入り
掲載日:2025/12/21

クリスマス、恋人や家族と過ごすちょっと特別な日 貴方は大切な人はいますか?

 今日初めて私はサンタクロースなる方のことを知った。


 友達が言うには枕元に欲しいものを書いた手紙を置いておけば何でもくれるそうだ。


 そんな素敵な人がいるなんて知らなかった私は驚いた。そんな私を友達は不思議そうに笑って、「みっちゃん家にはこないの?」って聞いてきたから私は素直にこないよって返したら、「可哀想」って言われしまった。


 可哀想とかではないと思うんだけどな?


 と思ったけど愛想笑いで、その場の空気を変える話題を出してのりきった。


 私は毎年お父さんがプレゼントをくれるし、とくに欲しいものなんてないのだ。だけど今年はそのサンタクロースに少しお願いをしてみようと思ったのだった。


「ただいまー」


 宿題を終わらせお風呂が沸く頃、玄関からお父さんの声が聞こえてくる。


「あ、お帰り~。お風呂沸くよ」


 玄関に出迎えにいって、鞄を奪うようにとってそう声をかけた。


「あ、ああ。ありがとう。ごはんの支度したらお風呂にいかせてもらうよ」


 目を細めて笑い、私の頭を撫でてくれる。


「支度って、惣菜でしょ? 盛り付けはしとくから早くいって」


 そう言い残し私はお父さんの寝室に向かって、駆け足をするのだった。


 ・・・・・・・・・・


 そんなに僕は臭いのだろうか?


 駆けていく娘の三葉の背中をみながらそう考えてしまう。


 早くお風呂に行くように言われてしまった。


 十二歳になる三葉はますます妻ににてきたように感じる。


 家事をしたがり、僕の身の回りの世話をしてくれているので感謝でしかない。


 でも何でもできてしまうのは少し寂しいと感じる。


 これはエゴかもしれない。でも、僕は三葉を六歳の頃から一人で育ててきたんだ。


 その事を寂しいと感じても許されたい。


 頭をかいてリビングに行き、荷物を置いて風呂に向かうのだった。


「ねぇ、お父さん」


「どうしたんだ? 三葉」


 機嫌よく唐揚げを食べてる三葉が真剣な顔で僕をみてきて驚きつつもそう返す。


「サンタクロースって知ってる?」


「あぁ、もちろん知ってるけど……。何か欲しいものでもあるのか?」


「内緒だよ。でもそっか、そっか本当にいるんだ」


 一人で何かを納得してしまったようすで、ご飯をまた食べ始める。


 何だ? プレゼントなんて一度もねだられたことなんかないぞ?


 去年も欲しいものを聞いたら、ペンとかノートとかの実用品だったし。


 様子を伺いつつ、インスタント味噌汁を飲む。


「急にどうしたんだ? 」


 小さな声が喉から飛び出した。


 かくしごとなんて、今まではしなかったはずだ。


 また少し寂しさを感じてしまう。


「うーと、明日には効果あるから待ってて」


 効果? 確かに今日はクリスマスだがサンタはなにも用意してないぞ?


「そうなのか? なら楽しみにしてるよ」


 僕はそういって笑うのが精一杯だった。


 その夜、三葉の部屋を覗くと枕元に手紙があった。


 世のお父さんがたはこれをしてるのかと思うと尊敬するよ。


 とはいえリサーチもなしに欲しがるものはすぐに手に入るのか……。


 不安を抱えつつ、可愛らしい柄の手紙をひらく。


 カーテンを少し開いて見える月の薄明かりの中、僕は涙が止まらなくなってしまった。


 こんな願いなんて……。


 起こさないように、慎重に音を立てないように足を動かして自室に戻った。


 ベッドに腰かけてもう一度手紙を見つめる。


「なぁ、カナエ。娘は、三葉は本当にお前ににてるよ。大切な宝物をありがとう」


 僕はそう呟いて、手紙を妻の写真の前に置く。


 そして、急いで会社にメールを打つのだった。


 ・・・・・・・・・・


「あ、お父さんおはよう! 今日はのんびりだね?」


 朝、リビングに顔を出すとニコニコと三葉が出迎えてくれた。


「三葉こそどうしたんだ? こんな朝早くに?」


 今日は土曜日で学校は休みだし。


 僕も有給をとっている。


「効果があったか気になって」


「あぁ、昨日の……。そうか三葉のお願いはそういうことだったのか」


 なにも知らないといように僕はうなずきながらそう声を出す。


「もしかして、本当に休みになったの?」


 三葉が眼を輝かせてそう聞いてくる。


「あぁ、突然会社から今日は休みだなんて言われて驚いたよ。じゃぁ、休みにしてくれたお礼に今日は三葉の行きたいところに行こうかな? 出掛けるのは嫌じゃないか?」


「うん、ぜんぜん嫌じゃないよ。お出かけ楽しみだな~。あ、サンタさんにお礼の手紙を書こっと」


「そうか、それはいいな。じゃ、朝食を食べたら出掛けるか。今日はクリスマスだし欲しいものがあったら遠慮なく言うんだぞ?」


「うん、ありがとうお父さん。ふふ、楽しみだな~」


 三葉の笑顔を見ながら僕は手紙の内容を思い出す。


『サンタさん、初めまして。私は吉原三葉っていいます。私の家はお母さんが居なくって、お父さんが頑張って働きながら私を育ててくれてます。どうかお父さんに休みをあげてくだい。そしてお母さんとお父さんと三人で行ったレストランでハンバーグが食べたいです』

 (完)

お久しぶり?です~ 毎年書きたいな気持ちのクリスマスのお話! 今回はいかがでしたか?

感想、評価、Xさんでのコメントとうは励みになりますので、良ければお願いいたしますなのです! 最後までお読みいただきありがとうございました! ではまた次回の物語で出会えることを願って…… 狸寝入り

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― 新着の感想 ―
 ものすごく良かったです。    三葉さん、ホントに思いやりのあるいい子ですね。お父さんも、居なくなる前のお母さんも優しい方なんでしょうね。  作中で描かれないからこそ、二人がレストランで楽しそうに…
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