表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/32

第29話 魔龍と共に指揮者は舞う

戦闘を始めてから…どれくらいたった?

…2時間ちょっとか。

よく血まみれになって2時間も耐えれたもんだろう。


「はぁっ…!はぁっ…!」


激痛に耐えながら血まみれになろうとも何とか意識をつなぎとめ、蟷螂と正面から殴り合う。

斬撃でも、打撃でも…何度も何度も何度も与え続けたのに…!

何一つとしてダメージにならない!

与えた傍から再生され、こっちがジリ貧になるだけだった。

ヘルスエネルギーもそろそろヤバい…あと20分以内にコイツを殺さないといけない!

なのに!


「いい加減…倒れろ…!」


倒せる気がしない!

何でもかんでも再生されるせいで打つ手がない!

…ただ一個だけ、決め手になるモノがあった。

それは蟷螂の『頭部』。頭が全部黒い結晶で覆われており、如何にも攻撃が通用しなさそうなのだが…蟷螂は頭に攻撃されるのが嫌なのか異様なほど躱したり、防いだりと頭部への攻撃を何とかして反らしている。


(頭に攻撃できれば何とか事態は好転するかもしれねぇのに…!)


蟷螂とファフニールのパワーは互角。

しかも蟷螂の方が俊敏で、ファフニールが追いつかないこともある。

まぁ…音を立てて無理やりこっちに矛先を向けることはできるが限度がある。

というか…!


「ヤバい…!」


ムカデ以上に長期戦になっているし、情報のアウトプットとインプットが凄い回数が起きているせいで頭がショートしかけだ。

頭が、焼き切れる。


(クソが…!あと一手…あと一手あれば!)


今だけは本当に助けが欲しい。

けど、2時間たっても来ないってことは想像以上にオールイーターの数や大型に苦戦してるって事だろう。

こんな蟷螂みたいなのがあと3匹別のところで暴れてるって考えると、な…!


「ごほっ!?げほっ!!?あ”ぁぁぁっ!!」


血を吐きながらもとにかく、一心不乱に蟷螂に攻撃を与え続ける。


【キキ!!】

「がぁぁぁぁ!!」


蟷螂の鎌と大剣が何度目か分からない回数ぶつかり合う。


「もう…飽きてるんだよ!早く…くたばれ…!!」


歯を食いしばり、操作レバーを握りしめる両手により一層力が入り込む。

しかし


【キキキッ!!】

「っ!?」


長期戦及び大量出血がこのタイミングで…牙をむいてきた。

握りこみすぎて操作レバーから手がツルっと滑り、手が離れたと同時に


――ガギィン!!


蟷螂の鎌で俺の大剣を弾き飛ばされ、遠くに大剣が突き刺さる。


「くっ…うぉぉぉぉぉ!!」


それでも怯まず、ファフニールと俺の拳を蟷螂の頭部に叩き込む。


――バキバキッ!!


想定外の動きに驚いたのか蟷螂の黒い頭部にファフニールと俺の拳がめり込み、結晶が剥がれていく。


【キキキッ!!?キシャアァァァァァ!!】

「殴り…抜け!」

【キシャアァァァァァ!!!?】


蟷螂は俺たちに鎌を振り下ろしてきたが、俺たちの拳の方が早かった。

そのまま、拳で殴り抜き蟷螂は砂埃を巻き上げながら地面を転がっていった。


「はぁっ!はぁっ!どうだ…?」


2時間たって初めて蟷螂の頭部にダメージを与えることが出来たが…どうなった?


【キシャシャシャア!!】

「!!?」


蟷螂の結晶の向こう側。

そこにあったのは…、眼の目と花びらのように咲いた口が大きく広げてあった。

結晶のせいで見てなかっただけか…つまりここからは常に視界に捉えられるな。

普通にまずいぞこれは。


【シャアァ!!】

「くっ!?」


なんて思っているうちに蟷螂の攻撃の嵐が襲い掛かってくる。

てか…早いッ!?

目で追うのがやっとだし、ファフニールから防ぐタイミングを教えられなければ今頃、俺は切り刻まれているだろう。

そのレベルで早い。


「…!」


それとファフニールの指示が来たと同時に気が付いた。

蟷螂の頭部が…再生されていない!黒い液体が溢れ出し、再生もされていない。

ってことは、アイツの弱点は『頭部』だ!

頭さえ落とせば勝てる、勝てるが…武器は手元にないし、攻撃の嵐をよけたり塞いだりで防戦一方だ。

何とか…何とかできないか!?


「ごほっ!?げほっ…!」


――ガキッ!!


咳をしながらも何とか蟷螂の振り下ろしを両手で受け止め、押し合いに発展する。


【シャシャ…!!】

「クソが…!」


ギギギとファフニールのアームから軋む音が聞こえてくる。


(どうする…最終手段を使いべきか…!?)


俺の最終手段として…リミッター解除がある。

正確にいえば使うタイミングが無かった。使うのは良いんだが2時間戦い続けるほどの長期戦に発展し、リミッター解除を使えば俺の身体に起きる負荷は計り知れない。

ファフニールも言っていたが…『俺が負荷に耐えられない』。

けど、仮に…俺が負荷に耐えられたらファフニールの出力が一気に上がりパワーで押しつぶすことも可能だ。

…あぁ分かってる、不確定要素が多すぎて失敗した時のリスクが大きすぎるのもな。


(…やるしかない…!)


20分以内に増援が来る兆しも感じない。

20分以内に倒せる確証もない。

やるしか…ないだろ!


「ファフニール!リミッターを」


と呟こうとした次の瞬間


――グサッッ!!


「…は」


一瞬、何が起きたのか理解できなかった。

ファフニールのアームが軋むほどの拮抗勝負の中、唐突に蟷螂の胴体にさっき弾かれた大剣が突き刺さった。

何故、弾き飛ばされた大剣が突き刺さったんだと疑問に思ったと同時に


『鴉羽君!助けに来たよ!』


白色とピンク色のARMORのレッグブレードの飛び蹴りが蟷螂の身体を捉えて蹴り飛ばした。


【シャアァァァァァ!!?】


突き刺さっていた大剣が飛び蹴りの衝撃で抜けて空中で回転しながら俺たちの横に突き刺さると同時に、蟷螂は転がっていった。

というかさっきの声って


「あ、愛染さん!?ゴホッゴホッ…!?」


このARMORに乗っているのは愛染さんだ!?

な、何で…?


『鴉羽君のお陰でライブは終了したし、現状増援として迎えるのが私しかいなかったから…来たよ!』

「何でだよ…危ないぞ!?」

『分かってるよ!』

「!?」

『分かってて来てるの…私たちは鴉羽君に守られてきたけど、そのまま見殺しになんてできない!私も戦う!』

「愛染…さん」


愛染さんのここに来た理由と決意を掠れた意識の中、耳で聞き、心で感じる。


「わかった…一緒に戦おう」

『それと、一ついい?』

「何?」

『何でコックピット内のカメラをオンにしないの?』

「…」


いや、まぁ…血まみれだからな。

愛染さんに見せたら…うん。


「ちょっと今は無理…とにかく、戦おう」

『わ、わかった!』


けど、このタイミングの増員は本当にありがたい。

俺だけじゃ足らなかった蟷螂を倒すための一手が足りる!


「愛染さん、そのARMORに遠距離の武装はある?」

『うん、専用機『コンダクター』のスカートに内蔵された武装にチェインビットがあるよ。ビットは遠距離しかできないけど近接戦闘ならレッグブレードがあるし、機動力もまぁまぁあるから!』

「OK…あの蟷螂の弱点は頭部。それ以外に対してはダメージにならないから頭部を狙って」

『分かった!それで鴉羽君は?』

「俺は蟷螂の動きを止める」

『で、出来るの?』

「2時間も戦ったんだ、動きは慣れた…!」


網膜投影を解除し、呼吸を整えてから両頬を両手で叩き気合を入れると同時に意識を痛みで戻す。

さぁ…最終ラウンドだ。


【シャアァァァァァ…!】

「ふぅ…!」


大剣を構えながら蟷螂の動きを伺う。


『専用アビリティ発動…カンタービレ!』


すると、愛染さんは専用アビリティを発動する。

心が躍るメロディーが流れるとともにビットからレーザーが放たれる。

それが蟷螂に着弾し、爆炎が巻き上がり煙をかき分けながら蟷螂が鎌を振り下ろしてくる。

それを…!


――ガキィィィン!!


大剣で受け止めた。

俺たちだけじゃここから何もできなかったが…!


『撃ち抜け!』


今の俺には…心強いアイドル達がいる!


――チュドォォォォォン!!


【シャアァァァァァ!!!?】


がら空きになった頭部を愛染さんとコンダクターのレーザーが貫く。

黒い液体が噴き出すと同時に頭部が抉れる。


「よし…!」

『やったの…?』

「いや、そう簡単に倒れるとは思えない…!」


俺の予想通り蟷螂は顔が半分吹き飛んでいるのに、起き上がって、まだ動く。

そもそもファフニールがあの蟷螂の生命反応を感知しているからそりゃ生きてるよな。


【シャアァァァァァ!!】

『わっ!?』

「愛染さん!」


起き上がったと同時に愛染さんとコンダクターに襲い掛かる蟷螂。


『大丈夫…!まだ躱せる!』

「本当、すげえな…!」


愛染さんとコンダクターはギリギリで舞うように躱し続ける。

ライブが終わったばっかりだというのにまだ動けるのは本当にすごい。

…あぁ、そうだな!ファフニールのいう通り愛染さん達が狙われているという事は!


「そこだ!!」


俺たちがノーマークという事だ!

背後から頭部を狙って大剣を薙ぎ払い、頭部をぶった切ると同時に蟷螂を吹き飛ばす。


【シャアァァァァァ!!?】

「よし…!!ゴホッゴホッ!?」


大ダメージが入ったのはわかるが、想像以上に俺の身体の限界が近い。

身体に喝を入れたけど、その喝すら意味がないほどに身体にボロが来ている…!


【シ、シャアァァァァァ…!】

『明らかに弱ってる!もう少しだよ鴉羽君!』

「―――。」

『…鴉羽君?』


息ができない。

網膜投影されているメーターにノイズが走り始め、俺の視界も歪んでいく。

ヤバい…!意識…が…?


「は…ぁ…っ…ひゅぅ…!?」

『鴉ば――んッ!?バイタル――ンがすご――勢い――』


愛染さんの言葉が聞き取れない?

耳からキィィィンと耳鳴りが聞こえてくる。

しかし、その耳鳴りの中で誰かの声が微かに聞こえてくる。


「なんだ…?誰かの…こ…えが?」


その微かに聞こえてくる声が徐々に大きくなると同時に


「―――。」


俺の意識は刈り取られた。


◇◇◇


「鴉羽君!鴉羽君!?」


愛染さんは急にバイタルサインが途切れ途切れに鳴り始めたファフニールに乗る鴉羽に声をかけ続けるが…一向に返答が返ってこない。

そんなこともお構いなしに、蟷螂は満身創痍になりながらもファフニールを目掛けて鎌を振りかざす。


「あ、危ない!」


今も動けない鴉羽とファフニールを守るかのように愛染とコンダクターは両手を広げる。

しかし


――バギャアッッ!!


「…え?」


蟷螂は空中でぐちゃぐちゃになると同時に、吹き飛ぶ。

愛染は何が起きたのか理解できないままに居たのだが、いつの間にか愛染達の前にはファフニールが大剣を握りしめながら鎮座していた。


「か、鴉羽…君?」


また声をかける。

それでもなお、返答はない。

すると


『――ゥゥゥゥゥ…!』

「あっ…!?」


鴉羽からの通信に、微かに息遣いを感じる。

だがその息遣いは眠り、気絶というよりも何かに殺意を向けた獣のような物だった。

愛染はその息遣いに聞き覚えがあった。


『――カぁぁァァァ…!』


前に阿達に手を上げてしまった侵入者に対して怒りを向け、暴走し始めた鴉羽の時のような圧力を愛染は感じた。

次の瞬間


『ウォォォァァァァァッ!!!』

「うっ!?」


獣のような鴉羽の叫び声が


『えっ!?』

『何だ!?』

『!!』


その場にいた愛染だけではなく、ナンバーズの三人、現在も戦い続けるARMOR’s全員の通信から耳へと届いた。

そして、ファフニールは鴉羽の雄たけびと共に『形状』を変えていく。

カシュッカシュッと空気が抜ける音が鳴るとともに装甲は変わっていき、前腕部が大型化していき、アームクローが姿を表す。腰部分のスラスターが背面のスラスターと適合し、翼のような形状へと変形し、エネルギーの両翼が広げられる。両足のレッグは人のような形状をしていたが、両足の形状も変化され逆関節型のレッグへと変形し、背中から管のようなものが伸び、地面に突き刺さった大剣に接続され、そのまま引き抜き尻尾のようにしなる。

そして…ヘッドパーツが変形し、より龍のような形状になり両目のカメラアイからより赤い閃光が瞬き


『ウゥゥゥゥアァァァァァッ!!!』


鴉羽の雄叫びか、魔龍の雄叫びかわからない声が戦う者たちの耳に響いた。

誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ