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第14話 討伐

「…す、すげぇ…!?」


元々の作戦の時には見れなかったが、これがソフィー生徒会長の専用アビリティの威力…!

決め手である口に攻撃が入り、顔を抉り取った。

流石の威力だ。

ムカデは突然の攻撃に驚いたのか身体をうねらせ、地面に潜り、地面を隆起させながら遠くへと引いていく。

逃がすわけにはいかない、いかないが…!


「はぁっ…はぁっ…!」


クソ、さっきのリミッター解除で身体に力が入らないし、頭が動かない…!!

操作レバーを握る手が震える。

本来のスペックを発揮すると身体がこうなるなんてな。

頭に流し込まれる情報の量が一気に膨大になり伝達速度が勢いを増し、頭がショートしかけて…挙句の果てには出力が一気に上がりすぎて身体にかかる負荷がとてつもない。

出撃ゲートでのカタパルト以上の負荷がかかるとは思ってなかった。


「…謝るなファフニール、俺の身体が耐えられないのが悪い…」


ファフニールは俺に謝罪するが、リミッターを外せといったのは俺だ。

俺に責任がある。

…さぁ休憩はここで終わりだ、行くぞ。


「ふぅっ…起動シークエンス、開始…ぐぅっ…!」


再度、起動シークエンスを開始する。

ムカデの情報が全て更新され、痛みが上書きされるが知ったことか。


「網膜投影、開始。行くぞ…ファフニール!」


操作レバーを握りしめ、スラスターを起動しムカデの後を追う。

その間に目視でナンバーズの三人の様子を伺う。

どうやら俺と同じようにムカデの後を追っている。先程の作戦は一旦、無しにしたのだろう。

元々はソフィー生徒会長の専用アビリティが効くかどうか、有効打を探す為の作戦だったため意味をなさなくなった。

つまりここから俺たちが行うのはムカデの口を目掛けた総攻撃…!

ここで…ころし切る!


――ドゴォォン!!


「出てきたな…ってはぁっ!?」


地面からムカデが出てきたと同時に俺は驚きの声をあげる。


「そんな力があるのかよ…!?」


ムカデの口、正確に言うならムカデの顔だ。

ムカデの顔中が『黒い結晶』に覆われており、弱点である口が完全に覆われてしまっている。

しかも…!


「くっ!」


あのムカデは覆われた結晶を活用するかのように身体を大きく上に起こし、俺たちを狙ってハンマーを振り下ろすかのように顔面で攻撃してくる。

スラスターを出力しつつ、横に移動して回避。


「マジかアイツ…!」


俺がさっきまでいた位置には大きくひび割れた道路と、巨大な凹みが出来上がっていた。

あんなのをもろに喰らったら、ARMORどころかパイロットも無事じゃすまない。

しかし…総攻撃で終わるはずだったが、まさかこんなに早く対策されるとは思わなかった。

オールイーターと言う生物が食う事を捨ててまで俺たちを倒したいのか…!


「どうする…!」


ナンバーズの三人も動きが止まり、ムカデの様子を伺っている。

そりゃそうだ、決め手が一瞬のうちに消えてしまったからな。

これからどうするか…今浮かぶのは何とかしてあの結晶を剥ぎ取り、口を殴るくらいしか思いつかない。

だが、アイツ自身の学習能力はかなり高い。同じ手は二度は通用しないとみていいだろう。

結局、アイツを一発で倒さなきゃならなくなった。

そうなると期待できるのは…ソフィー生徒会長の専用アビリティしかない。

アレに期待するしかないが、どうやってあの矢をアイツの口を目掛けて射るのか。


「!!」


俺が考えているうちにアウローラさんと斑琥さんの機体がムカデの頭部を覆っている結晶を目掛けて攻撃を開始している。

大型ブレードと大型太刀で結晶を殴っている。

…やっぱり破壊できないか。見た通りだが、あの結晶は攻撃をはじくほど硬い。

生半可な攻撃は通用しない。


「!?」


ムカデは結晶を新しい口のように広げると二機を目掛けて噛みつこうとするがアウローラさんと斑琥さんはその攻撃を躱してまた距離を取った。

決め手が無くなったんだ、そりゃ攻めづらくなる。

あの攻撃で結晶を新しい口として活用していて、結晶の先にはムカデの弱点があるが…あの結晶の噛みつきなんて喰らったら、ARMORもパイロットも潰れてしまう。

何とかしてアイツの口を開けっ放しに出来れば何とかなりそうだが、作戦がない。


「!」


するとムカデは身体をしならせ、建物を破壊しながらナンバーズの三人目掛けて突進していった。

ソフィー生徒会長は専用アビリティをチャージしているが…ムカデはさっきと違って口を開けっ放しにしていない。

しかも、ソフィー生徒会長達の後方には遠くではあるが避難所がある。

ソフィー生徒会長たちを狙った後に避難所が狙われたりしたらさっきの人たちも避難している人たちが危険だ。

どうする!?このままじゃ…!!


「あ…」


ふと、思いついた。

ムカデの口を開かせ、ソフィー生徒会長の専用アビリティを打ち込ませる策を。

だがこの作戦はあまりにも危険すぎるし、不確定要素が多すぎるが…!


「そんな弱音は捨てろ…!」


…どうやらファフニールも俺と同じことを考えたようだ。

俺はARMOR”sで元整備科だ。何度もARMOR”sを送り出し、何度も戦場に出たいと思っていた。

俺一人で避難所の人たちを、ナンバーズの三人を救えるなら…!


「本望だッ!!」


俺はスラスターの出力を一気に引き上げて上に飛び上がり、ムカデとナンバーズの三人の間に着地する。


「ふぅ…!」


一呼吸入れたのち、俺は網膜投影を解除して操作レバーから手を離す。

両手を閉じたり握ったりして…告げる。

俺とファフニールに付けられた枷を、外せ。


「ファフニール…リミッター、解除」


両手首と両足首に着いている枷が展開され、赤黒い光が輝き、コックピットから結晶のような管が伸び、管が展開された枷に装着された瞬間。


「があぁぁぁァァァッ!?!?!」


全身を巡る激痛、頭の中に流れ込む膨大な情報量…そして…!


「ハァッ!!ハぁッ!!?」


ファフニールとの一体化…!

操作レバーを握り直し、網膜投影を再度開始。

網膜に映っているファフニールの出力数値が一気に跳ね上がる。

ファフニールの指示が全部頭にインプットされた瞬間、超高速演算により次のルートを構築する。

そうだ…俺たちが進むべき道は…!!


「コのまま…真っスグだッ!!」


大剣を逆手持ちし、操作レバーを握りしめて突進してくるムカデに正面から突撃する。

途中で大剣を地面に突き刺してから、ファフニールの赤いアイカメラと同化するかのように俺自身の血で目を赤く染める。


「さぁ…!終わらせよう…ファフニールッ!!」


◇◇◇


『アイツ、何やってるんだ!?』

『ふ、ファフニールが単騎で突撃!ど、どうしますか!?』

「鴉羽零亜…!」


ソフィー、アウローラ、斑琥の三人は一度、元の策に戻りロビンフットの専用アビリティに賭けることにした。

だが、タイミングでファフニールの予想外の行動。

ナンバーズの三人はムカデの間に現れたファフニールが上から降ってきて、着地したと同時にムカデに正面から突撃し、大剣を地面に突き刺してから加速力を上げた。

三人は急な鴉羽零亜とファフニールの行動に混乱してしまう。


『あっ!?対象の口が開きました!?』

『アイツ、ファフニールを食う気か!?』


ファフニールがムカデと正面衝突するタイミングでムカデは結晶の口と自身の口を開き、ファフニールと鴉羽零亜を捕食しようとする。

すると


――ガキィィィンッ!!


「う、受け止めた!?」


なんと鴉羽零亜とファフニールはムカデの口の間にレッグとアームを差し込み、口を閉じないようにし…ムカデの突撃を単騎で止めた。


(まさか、先程にもあったリミッター解除を…!?)


ムカデの顔を一撃で歪ませ、体制を崩すほどの出力を出すファフニールのリミッター解除。

その反動は、あの時の血まみれの鴉羽零亜を見ればわかることだろう。


「くっ!?斑琥、アウローラ!彼の援護…」

『待ってください!ファフニールが、ハンドシグナルを…!』

『片手で受け止めてるのかアイツら!?』


ソフィーはアウローラと斑琥を鴉羽の援護に向かわせようとするが、ファフニールは片足でムカデの進行を食い止めつつ、もう片方の足で下顎を踏みつけ、片手で上顎を閉じないように掴み…最後の空いている手でハンドシグナルを送ってくる。

アウローラがそれを認識し、そのハンドシグナルの意味を理解する。


『来い。』


あの来いというシグナルの意味は援護に来いというわけではない。

そうでもしなければ、正面から突撃する意味がなくなる。

つまり…『俺ごと撃て』という事だろう。


『しょ、正気かアイツ!』

「…ッ!」


ソフィーは嫌々グリーンアローを構え、専用アビリティをチャージし始める。

元々89%までチャージしており、もう少しでライト・ストライクが穿てる。


『ソフィー生徒会長!正気ですか!?ファフニールを…いえ、鴉羽零亜諸共…!』

「分かっていますわ!けど、あのまま彼を見殺しにはできません…!」

『くっ…!』


アウローラは合理的な判断だと思うが、それはつまり…彼を殺すしかないという事。

苦虫を嚙み潰したような声を出すアウローラ。


『…ん、ちょっと待て!ファフニールがカウントダウン、してないか?』

『え?…確かに指を一定間隔で折り曲げています!』


ソフィーはファフニールのハンドシグナルを送っていた手を見る。

開いていた指が5本から4本と折れ曲がる。

それと同時にライトストライクのメーターを確認すると…奇跡的に丁度、ファフニールの指のカウントが0になったタイミングでライトストライクが穿てる。


「いけます!彼の0に合わせますわ!」

『斑琥!斬撃砲を!』

『もうチャージしてる!あのムカデを殺し切るチャンスだ!!』

『えぇ…!今度こそ終わらせましょう、この戦いを!』


斑琥の紫苑は大型太刀にエネルギーを纏わせ、アウローラのヴィオーラも受けた分のエネルギーをブレードに纏わせ、岩盤を砕き、オールイーターを軽々しく潰せる風圧を飛ばしにかかる。

すると


――ギギギッ!!


「!!」


少しずつファフニールが下がっていく。


(やはり、ARMOR一機であの巨体を受け止めるのは…!)


ファフニールのカウントが3になる。

もう、ソフィーはファフニールと鴉羽零亜を信じるしかない。

操作レバーを握り、彼らの無事を願う。

ファフニールのカウントが2になったタイミングで、今度はファフニールがムカデを完全にせき止める。

そして、ファフニールのハンドシグナルを送っている下には…道路に突き刺さっている大剣が。


「わざと下がりましたのね…本当、すさまじいコンビですわ…!」


カウント1。

ソフィーのロビンフットの専用アビリティ『ライトストライク』のチャージが完了する。

あとはゼロになった瞬間、トリガーを引くのみ。


「アウローラ!斑琥!」

『完了してる!』

『こちらも準備完了です!』


そして…ファフニールのカウントが0になった。

その瞬間


「穿てッ!!」

『うぉぉぉぉぉぉ!!』

『くらえ!』


ライトストライク、斬撃砲、風圧が一気にファフニールの背中に集中する。


「うっ…てくれたな…!」


ファフニールから後ろから攻撃が放たれたことを聞いた鴉羽零亜。

身体がズタズタ、意識をギリギリまで持ちこたえている。

もはや風前の灯。

それでもなお彼は倒れない。倒れるわけにはいかない。

ここを逃せば、ナンバーズの三人も避難所の人たちも危険にさらす。

故に…彼は止まらない。


「ぐっ!!」


鴉羽は残った力を振り絞り、地面に突き刺してある大剣を引っこ抜きムカデの咀嚼筋の部分を大剣で両断し、そのまま大剣を下顎に突き刺す。


「アァァァァァ!!!」


受け止めながらチャージしていた全スラスターを一気に開放し、上方向へ飛ぶ。

そのままレッグで上顎を蹴り上げながらムカデの口付近から離脱する。

ムカデの口が大きく広がった瞬間。


――ドキュウゥゥゥゥンッ!!


電撃、斬撃、風撃。この三位一体の攻撃がムカデの口に入っていき、ムカデの身体の中をズタズタにしながら突き進んでいく。

そして…!


――バギャアッ!!


ずっと悩まされていた外骨格が内側から破壊され、黒い液体が一気に噴き出し、他の建物を黒く染める。


【カカカカ…カ…ヵ…】


辛うじて原型をとどめているムカデは…風圧を巻き上げ、力なく地面に倒れた。


『た、倒した…のか?』

「アウローラ!」

『…敵オールイーターの反応、消滅を確認!作戦、成功です!!』

「ふぅ…」


こうして、おおよそ1時間半の戦闘。

ムカデ対ナンバーズの戦いは、ナンバーズの軍配が上がった。

魔龍の出現のお陰によって…。


「そうですわ!ファフニールは!?鴉羽零亜は!?」

『今上空を…丁度、私たちの目の前に着地します!』

『…何だかんだ言って助けられたな、私たち』

「そうですわね…学園最強が負けていられませんわ」

『ふふっ…』


そう話していると目の前にファフニールが着地した。

した…のだが


『えっ!?』

『は、ハッチの隙間から外に血が!?』

「!?」


三人はファフニールのコックピットを見た瞬間、血の気が引く。

コックピットのハッチの隙間から血があふれており、ハッチを赤く染めていた。


「鴉羽零亜ッ!!」


ソフィーはロビンフットのハッチを開け、ファフニールのハッチに付けられている外部ハッチ強制解放レバーを回す。

プシューっと空気が抜ける音が鳴るとともに、赤い湯気が外に吐き出され…コックピットを真っ赤に染めた鴉羽零亜が操作レバーを握ったまま、コックピットの座席に座っていた。

「鴉羽零亜!大丈夫ですの!?」


先程よりも血が吹き出ているのを確認したソフィーは鴉羽零亜の肩に手を添えて反応を見る。


「はぁっ!はぁっ!?な、何だ…これ…!?」

「鴉羽零亜…?」

「何かが…何かが見え…る」


そういった瞬間、緊張の糸が切れたかのように鴉羽零亜の首ががくんと下がり…意識を失ってしまった。


「ソフィー生徒会長!鴉羽零亜は…!?」


斑琥とアウローラもファフニールのハッチに飛び移る。

ソフィーは言われるより先に鴉羽零亜の脈を確認する。

すると、とくんとくんと脈が鼓動し、口からは寝息のように小さく息を吸ったり吐いたりしていることを確認した。


「生きていますわ、ですが…眠っているようです」

「ほぼ気絶みたいなものだろ…よく生きてるな」

「えぇ、不思議なくらい」

「それと救護班を呼びました、もうすぐ到着するようです」

「…犠牲者の数は」

「避難所及び周辺住民に怪我はなく、避難所の警護に移った3年生のARMOR’sの中に負傷者、重傷者、死者はゼロ。そして機体の損傷もそこまで多くなく、大体の小型オールイーターを片づけたのは…ファフニールになっています」

「本当すさまじいな、コイツ」


斑琥は血まみれの鴉羽を見ながらそう呟いた。


「私たちも負けず、鍛錬を積みましょう。彼のお手本となれるようにも」

「あぁ」

「そうですね。それと、東雲学園長から通信が来ています」

「応答する前に、鴉羽零亜をコックピットから出しましょう。救護班が見えてきましたわ」


そうして救護班が到着し、ナンバーズの三人は血まみれの鴉羽零亜を運び出し、救護班の車両に乗せ、見送った後に東雲学園長に連絡する。


『無事、終わったようだな』

「えぇ。データは既に送られているはずです」

『確認済だ。よく、やったな』

「その言葉は後で彼にも言っておいてくださいまし」

『勿論だとも。誰よりもオールイーターを倒しているしな』

「ちなみに、鴉羽は小型オールイーターを何体倒してるんですか?」

『おおよその数にはなるが…300近くだな』

「さ、300…」

『戦慄する量だろう。こっちも同じ気持ちだ』


改めてファフニールと鴉羽が潰し殺したオールイーターの数を聞いた3人は本日2度目の血の気が引いたのだった。


『とにかく、帰投せよ。待っているぞ』

「かしこまりました。ナンバーズ、帰投します」

誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

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