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第11話 生徒会直属部隊『ナンバーズ』

「直属部隊…?」

「えぇ、そうですわ」


生徒会直属部隊『ナンバーズ』…整備科でも聞いたことがない名前だ。


「えっと、なんですかそれは…?」

「アウローラ、説明を」

「かしこまりました。鴉羽零亜君、通信端末を持っていますか?」

「は、はい。こちらに」

「ではそのまま持っていてください」


アウローラさん、でいいのか?

そのアウローラさんに言われた通りに通信端末を持っていると、何らかのデータが送られてきた。


「それが細かなナンバーズについてですが、説明文が辞書くらい長い為、掻い摘んで説明いたします」


うわ、本当だ。

文字の羅列がびっしりと記されている。文章問題とか長い文字の羅列を嫌いな人が見たら気絶しそうだ。


「生徒会直属部隊『ナンバーズ』。これはAT学園を運営する上層部からの指示に従い学生でありながら本来のARMOR’s同様の立場を持ち、任務を行います」

「本来のARMOR”sっていうのは?」

「AT学園のARMOR’sはあくまで肩書、本来の軍とは違い緊急の出撃や危険度の高くない任務に務めることが出来ます。しかし、本来のARMOR’sはより危険な任務や施設の防衛など多種多様な任務を受けています。その本来と同様の立場を得ることとなります」

「それ相応の立場を…持つ」


あくまでAT学園のARMOR”sは学生であり、次のARMOR”sの卵のようなもの。

本来のARMOR”sは…今も戦場で戦い続けているARMOR”sの事だろう。


「そして、ナンバーズはいわば少数精鋭。AT学園の中で卓越したパイロットのみ、所属することが出来ます」

「その少数精鋭部隊に俺を、ですか」

「その通りです」

「何故俺が、という顔をしていますわね?」

「は、はい…」


少数精鋭部隊に入れるほど、俺は強くないと思う。

操作技術は…ファフニールからのデータのインプットがあったからある程度はわかるが、オールイーターとの戦い方はファフニールからの指示が無ければ無理だ。

そんな俺に?


「貴方の力を買った理由がありますの。まず、AT学園正面橋での戦闘。私たちナンバーズは最前線の戦闘を任されていましたが、数も数で何匹か抜かれてしまい後衛にも被害が出ました。しかし、空から降ってきた一機のARMORが戦況を覆した。たった一機で後衛部隊を襲っていたオールイーターを全て薙ぎ倒し、あまつさえ最前線で戦っていた私たちを越え、その先から来ていたオールイーターすらも…全て叩き潰した。これ以上にスカウトする理由がありますか?鴉羽零亜」

「…」


ほぼファフニールのお陰とはいえ…事細かに言われると俺たちがしでかした事のデカさが分かる。

ARMOR”sの基本戦術の対オールイーターはARMOR二機対オールイーター一匹の2on1。

例え小型のオールイーターでもどんな事になるのか分からないが故の安定戦術ってやつだ。

そんなことも気にせず単騎でぶっ潰してた…うん、そりゃこうなるか。


「勿論、強制ではありません。最終的な決定権は貴方にありますわ…ですが、貴方に一言」

「?」

「貴方の力を、私たちに貸してほしいのです。この学園を…世界を救う為に」


俺の力を…世界を救うために。

すると


「…ん?」


急にファフニールが話しかけてきた。


「どうしました?」

「いや…急にファフニールが話しかけて来て」

「ファフニールが…そういえば、ARMORの声が聞こえるとか」

「どうした?」


ファフニールが声をかけてきたので返事を返す。

しかし、話しかけてきたにも関わらず返答がない。

その代わりに


「ファフニール!!?」


ファフニールが起動し、ARMOR用の固定機器を無理やり外そうとしている。


「何やってんだお前!!」

「鴉羽零亜!?」


俺は急いでコンソールの傍に駆け寄りファフニールの固定機器を外す。

これ以上、物を破壊されると俺も困るし…何よりもファフニールが固定機器を無理やり破壊するほどの事が起きようとしている。

コンソールの操作が終わり、ファフニールから固定機器が外される。

それを確認したファフニールは急に膝をついて座り込み、コックピットのハッチを開けた。

これは…!


「乗れって事か…?」


そう問いかけると、ファフニールは肯定するかのようにアイカメラを光らせた。


「鴉羽零亜、ファフニールはなんと?」

「訳は分かりませんが…俺に乗ってほしいと」

「ふむ…アウローラ、斑琥、付近で何か起きましたか?」

「…いや調べた限り何も起きてない」

「こちらも緊急任務の発令かと思いましたが…これといってありません」

「ファフニール…お前は何を」


と言いかけた次の瞬間


「かあっ…!?」


電撃かの如く頭に伝播する激しい激痛。


「なん…だぁッ…!!?」

「鴉羽零亜!」


あまりの頭痛に膝をついてしまう。

これは、ファフニールの起動の時と同じくらいの激痛だ。

それに…どこからか声が聞こえてくる。

ファフニールじゃない、別の誰かの声が…!!


「声が…聞こえてくる…!」

「鴉羽零亜…?」

「ファフニールとは違う、別の声が…遠くからッ…!!」


この咆哮は…なんだ?

ある程度の動物の雄たけびとか声とかは聞いたことがあるが、こんな全身から寒気がするほどの咆哮なんて聞いたことがない。

ただ…何故かはわからないが、この咆哮は…!!


(何かが目覚めたときのような…気がする!)


どこか遠くで何かが目覚めた。

咆哮が聞こえる方に、首を傾け、視界の端に映った通信端末の方角を見る。

南東方向から…?


「…ん?ちょっと待ってください!南東方面、ショッピングモール『レ・ゾーン』に大型のオールイーターの反応を確認!」

「何ですって!?」


アウローラさんの報告と同時に、学園中にサイレンが鳴り響く。

南東方向にオールイーターだと!?

もしかして頭の中に聞こえてきた咆哮って、ソイツの目覚めってことか!

待て…なら何で俺にオールイーターの咆哮が聞こえたんだ!?

ファフニールならまだしも、何で俺に…?


「はぁッ…!はぁッ…!」


考え込んでいるうちに頭痛の痛みが引いていく。


「他にも小型のオールイーターも多数…!」

「…ナンバーズの緊急出撃だそうだ」

「くっ…鴉羽零亜、ナンバーズの加入についての返事は後で聞きます。とにかく今は保健室の方に」

「ソフィー…生徒会長…!」


俺は頭を軽く押さえながら立ち上がる。


「頭痛は大丈夫ですの?」

「まだ残ってますが、大丈夫です…それと、お願いがあります」

「お願い…?」

「その、緊急出撃…俺も行かせてください!」

「…何のおつもりで?」


ソフィー生徒会長からしたら俺の行動の意味は分からないだろう。

俺だってわからない。でも、無性に…ファフニールも戦いたがっている。

オールイーターをぶっ潰す為になのか、何らかの目的があるのか。

ただ…闘志は燃えていた。俺の身体を焦がすほどに。


「ファフニールが戦いたいと」

「ですが貴方は」

「俺は…コイツの相棒ですよ。戦いたいなら俺だって命を賭けます。それに…俺は早く記憶を取り戻したいし、何よりもファフニールと俺で同じARMOR”sの犠牲が減るなら尚更…行かせて欲しいです」

「…」

「無理でしょうか」

「いいえ、理由としては十分です。わかりました、緊急ではありますが…鴉羽零亜、貴方の出撃を許可します」


ソフィー生徒会長は俺の出撃を許してくれた。

やったな、ファフニール。俺と初めての実戦だ。

…そんなに喜ぶのかお前。てか、思えば正面橋で戦ったから別に初めての実戦でもないか。


「いいのか、ソフィー?」

「えぇ。それにナンバーズの実際の任務を知る機会になります。任務を知り、戦いを知ってからこそナンバーズに加入するか否かを考えさせる機会になりますわ」

「分かった」

「それと此方の方で学園長に報告しておきます」

「助かりますわ。では…鴉羽零亜、ファフニールと共に出撃し、レ・ゾーンに向かってください。具体的な指示はあちらで。勿論、臨機応変に動いても構いませんわ」

「分かりました!」

「行きますわよ、斑琥、アウローラ」

「あぁ!」

「かしこまりました!」


そう言い残し、三人は各々の方へ走っていった。


「俺たちも行こう」


ファフニールのハッチを掴んでコックピットに飛び込む。

コックピットの椅子に背を預け、座り込んでいるファフニールの態勢を正すと同時に通信端末に着信が。

相手は…東雲学園長?


「はい、こちら鴉羽零亜です」

『東雲だ。ソフィーから話は聞いた、行くらしいな』

「…はい」

『何も叱る訳じゃない。ただ、背中を押してやろうと思ってな』

「?」

『勝ってこい。勝って人々を守ってこい』

「…!はい!」

『それと出撃ゲートへの移動は自動でやってくれる。そのまま格納スペースで待機していろ』

「わかりました」


東雲学園長に言われた通りに格納スペースに待機していると、ARMORの固定機器とは違い、大型のアームが天井から伸びてファフニールのボディを掴んだ。


「さて、俺たちも準備するか…ファフニール、起動シークエンス開始」


ハッチを閉め、操作レバーを握りこみ起動シークエンスを開始。


「ぐぅっ…ふぅ…よし!網膜投影、開始」


目に直接ファフニールの視界が広がる。

ファフニールを掴んだ大型アームが俺とファフニールを持ち上げると、格納スペースの床が開き、そのまま下へと下がっていく。

初めて見る。これがARMORの出撃ゲートなのか。

重々しい重低音が鳴り響き、ファフニールがカタパルトに固定されると同時に大型アームが取り外された。


――ブォォォンッ!!


「ま、眩し…!」


真っ暗闇だったゲートの先に一気に光が広がる。


『出撃ゲート、ハッチオープン。ARMORの全ジェット及びスラスターをチャージを開始せよ』

「分かりました!」


東雲学園長に言われた通りに、ファフニールの全てのジェット及びスラスターの出力を上げて、放出待機状態を維持する。


「チャージ完了」

『カタパルト射出機器臨界状態、出撃可能だ。鴉羽、このまま出撃すると私との通信は切れる。後は自分の力で道を切り開け、いいな?』

「はい!」

『よし…行ってこい、若造!』

「ファフニール!行くぞ!!」


最大までチャージしたジェット放出。

その瞬間、カタパルトのロックも外れものすごい勢いで前へと進んでいく。


「うぉぉぉぉぉっ!?!」


あまりの勢いに身体がコックピットの背もたれに抑えつけられる。

抑えつけられたまま、空中に飛び出す。


「前からの圧力に激痛…本当に痛い。弱音は絶対に吐かないけどな…!」


整備科の時に背中を押したARMOR”s達は弱音を吐いても、戦場に何の影響もない。

吐いたところで聞き入れるわけがないからな、オールイーター達は。

なら俺も吐かない。


「よし、カタパルトの射出高度限界到達…!」


スラスターとジェットを噴射しつつ、態勢を制御する。


「一条先生からのお題をやっておいて正解だったな」


二度目の飛行及び姿勢制御だが、慣れたもんだ。

ショッピングモール『レ・ゾーン』までのルートを、網膜投影で表示されている情報を確認する。

予想着陸地点はレ・ゾーンのやや遠くに着地しそうだが、さほど遠くはない。

そこからはスラスターで進みながらオールイーターを潰して行こう…と思っていたが。


「ぐっ…!?ファフニール?」


ファフニールからの指示が俺に飛んでくる。

…どうやら予想着陸地点とは大きく離れたところにある避難所付近に着陸がしたいようだ。


「何故、そこに?」


俺はファフニールに問いかける。俺たちの目的はレ・ゾーンに着陸し、指示を待つ事。

勿論、臨機応変に動いていいと言われたが目的とはかけ離れている場所に着陸する気だ。

すると、ファフニールの解答が返ってくる。


「…集まってくる?」


ファフニール曰く、その場所にオールイーターが集まってくると言っていた。

…オールイーターにそんな習性があるのか。オールイーターとの戦闘はもう10年くらいたっている。それでもなお、オールイーターの事細かな事はあまり分かっていない。

けど、今のところ、判明している事の中に『オールイーターが一か所に集まる』なんて聞いたことがない。

理由はわからないが…ファフニールが言うんだ。今はこの指示に身体を預けるとしよう。

一旦、心の中で生徒会の三人に謝りつつ着陸地点を大きく変えて避難所付近に変更し、姿勢を変えてファフニールが目指した方向に飛ぶ。


「…そろそろか」


ファフニールが目指した避難所が見えてきた。

それと同時に


「少しずつだが…ファフニールから流し込まれる情報が多くなってきたな…!」


徐々に痛みが増していく肉体。

オールイーターが近くなってきたって証拠なのかもしれないな。


――ドシィィィィンッ!!


「ぐおっ…耐衝撃システムの改良を忘れてた…」


着地した時の衝撃が少し伝わり、コックピット内が揺れる。

揺れが落ち着いた後、周囲をスキャンしつつ、オールイーターが視界内にいないか確認する。


「!!」


丁度、目視で見えた。

避難所に走っている人たちの後ろを小型のオールイーターが追いかけていることに。


「ファフニール!!」


すぐさま、スラスターで飛びその方向へ向かう。

…思ったが、どうやって助ける!?

大剣はダメだ、振り下ろした衝撃で追われている人たちが吹き飛んで怪我を負う可能性もある。


「ぐっ…なら…!!」


俺は出来る限り周囲の人たちがいない所に風圧が伝播しないように着地し、姿勢を下げて、追われている人たちの後ろにアームを伸ばす。

そして、小型のオールイーター達を片手で全部掴み…。


「握り…潰せ!!」


アームのハンドの力を一気に上げてオールイーターを握りつぶし、やや残っている原型を遠くへ放り投げる。

もし握りつぶしたアイツらが生きていたとしてもこの距離を離せば、そう易々と帰ってこれないはず。


「ふぅ…何とかなったな…」


軽く深呼吸し、先程追われていた人たちを見る。

全員此方を見て居る。よくみると腰が抜けているな。

すまん…ARMORがいきなり降ってきてアームを伸ばしてオールイーターを潰したとはいえ、急にこんなことが起これば腰も抜けるだろう。

声をかけておこうかと思った次の瞬間


「ぐうっ!!」


急にファフニールからの情報が頭の中に一気に流れ込んでくる。

全身に広がる激痛と気を失いそうになる頭痛。


「ふぅっ!ふぅっ…!!」


何とか呼吸を整え、ファフニールからの指示で指した方向を見る。

そこには


「マジ…で、集まってきているのかよ…!?」


ファフニールから言われた通り、正面橋並の数のオールイーターがこっちに向かってきてる。

本当に、集まってきているのか!?

一体、どういう理由で…いや、いい!今は考えるな!

このまま突破されたら目の前にいる人たちにも、避難所にいる人たちにも危害が及ぶ。


「こっから先は行かせねぇぞ…!!」


肺に入っている空気を全部吐き出し、思い切り息を吸い込んで向かってくるオールイーター達を見て大剣を抜き、構える。

俺の意見とファフニールの指示は一致していた。


オールイーター達を、ぶっころす。


「行くぞ…ファフニール!」


誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

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