『貧しき者、速記の心を観じて富めること』
昔、唐の国に、一人の男があった。家は貧しく、妻子を養う力もなく、働いても働いても手元に残るものはなかった。ただ年月ばかりが過ぎていった。
思い詰めていたとき、ある速記者に会った。知恵ある速記者で、お前が財をなしたいと思えば、ともかく誠の心を起こすべきだ。そうすれば、財をなし、来世ではよい暮らしができるだろう、という。誠の心とは何でしょう、と尋ねると、誠の心とは、ほかのことではありません、速記を学ぼうという心です、というので、それはどのようにすればいいのでしょう、しっかりとお教えいただき、間違いなく心に刻みましょう、というので、速記者は、速記を学ぼうという心は、あなたの心の中にあります。あなたの心から離れては、速記を学ぶ心にもたどり着きません。ゆえに、あなたの心にこそ、速記を学ぼうという心はあるのです、というので、手を合わせて、泣きながら速記者を拝んで、このことを心にかけて、夜となく昼となく速記を学ぼうという心に問いかけたので、梵天も帝釈天も降臨して、守ってくれたので、思いもかけず財産もできて、生活も豊かになったという。
教訓:速記を学ぼうという心がない人なんているんですかね。