表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/16

#10 人はゴミのようだ。

「おー大陸だぁ」


 新たなる冒険地、ニュー大陸は東端には砂漠、西端には雪原がある程広く、高い岩山が連なる地域もあれば地を抉ったような深い峡谷もある。中央に建つアルアータ城とそれを取り巻く城下町は、人々の活気集まる、交易の盛んな場だ。


 ただ一つ残念なのはそれらがほとんど出てこないこと。


「出てこないんですか!? それだけ説明しといて!?」

「物語の展開の都合上、仕方がない!」


 魔王が強引に理由をつける。その懐でマイキーマウスが鳴いた。<チュー


「あ、結局名前マイキーマウスになったんですね。可愛い~」

「いやいやいや! 絶対D社に怒られます!」


 田中が慌てていると、草原の道の向こうから何かがやってきた。


「あわわ……D社の人ですよ……ガタガタガタガタ」

「やあ、見た目は物書き、中身は廃人、作者だよ!」


 現れたのはどうやら作者であった。今まで喋っていなかったポテトが口を開く。


「ちょうど良いところに。魔界に行くにはどうしたら良い」

「ふ……」


 作者が分厚い本を取り出し、開く。勇者一行、期待の眼差し。


「この『お馬降臨書』によれば、帝王の2人の手下を撃破し、それぞれから赤の石と青の石を手に入れた時、ニュー大陸にある魔界への扉が開くであろう――と」


 ポテトが少し落胆して訊く。


「その2人のボスがどこにいるとか、分からないのか」

「待て――ふせんが貼ってあるからここか――コホン、まずは君達は青い石の導きに従い天空の城ラピタに行くのだ。そこに1人目の敵がいる。そしてそれから2人目を……おっと、これから先は君達にとっては未来の出来事でしたね……」


 沈黙。


「てなわけで、さらば!」

「待て待て待て! 天空の城ラピタはどこにある!」


 ポテトが叫ぶが、作者は消えてしまった。


「ちっ、作者の割には役立たずだな……」

「青い石とか言ってましたけど、誰か持ってます?」

「青い医師? コード・ブル……「やめましょう」


 魔王がフン、と鼻を鳴らす。


「そういう重要アイテムは簡単には手に入らんのだ!」


 マイキーマウス<チュー!


「ああ、はいはい、餌あげ――あ、ちょ」


 マイキーマウスがピョーンと魔王の懐から飛び出した。


「あ」


 田中とチエが同時に動き、捕まえようとするが、なかなかどうしてネズミというのはすばしっこい。マイキーマウスはチョコチョコ走って草むらに入り込んだ。魔王がそこをガサガサやって捕まえる。


「ダメじゃないか逃げ出したら……ん? この青い光は……」

「おおっと?」


 魔王が次に拾い上げた物は!


「青い石だ」

「えええ‼」


 驚く一同。喜ぶ魔王。


「いやぁ、マイキーマウスは凄いなあ‼」

<チュー

「ああそうかそうか、今日は上質のチーズをあげよう!」


 ドドド……


「ん、何の音だ?」

「道の向こうから砂煙が……」

「また作者か……? いや、あれは車っぽい乗り物……」


 乗り物にのっているのは数名。中心に桃色の髪のおばあちゃんがおり、その周りに飛行兵の服を着た少し間抜けそうな男たち。


「ママ、いた! ヒッコー石も持ってる!」

「捕まえるんだよぉ‼」


 乗り物が煙を吐き、急接近してくる‼


「な、なんですかあの人たち⁉」

「分からん、とりあえず逃げるぞ‼」


 逃げる勇者たち! それを追うドーダ家!(名前今決めた)平和な世界では比較的珍しい光景だ。


「ママ! 逃げられちゃうよ!」

「ふん、逃がさないよっ!」


 車から発射される桃色の球体。走る勇者たちの前に見事に着弾。


「っ⁉」


 地面に桃色のネバネバが広がる。男子勢は走り幅跳びで飛び越えたが、チエが引っ掛かってしまう。


「うわっ何ですかこれ! 足にくっついて取れない!」

「あっ、動かないで下さい! 転んだら一大事です!」

「そんなこと言っても……」


 後ろから追ってくるドーダ家。


「追い付かれちゃ……」

「ハガシ!」


 田中の呪文と共に大袈裟な魔法陣が出現し、チエの足がネバネバから離れる。


「わっ、ありがとうございます!」

「おい2人、早く逃げるぞ!」


 魔王が叫ぶ。ポテトは仲間を置いてとっくに向こうまで行っている。


「不人情勇者だなぁ……」


 とにかく逃げる勇者一行であった。


 逃げてたらラピタに着いた。


「えええぇぇぇ⁉」

「そんなのアリなんですか」


 ポテトは満足げに頷く。


「父さんの言った通りだ! ラピタは本当にあったんだ!」

「そのセリフってうわーっ(銃声)」


 突然撃たれる田中。


「なっ⁉」

「ははは、私が蒸すか大佐だ。ちえみ姫は貰っていくぞ」


 効率良くチエをさらった蒸すか大佐。


「急展開過ぎるだろ‼」

「まあヒッコ―石は僕が持ってるんだけどね」

「……あっ」



× × ×



 巨大な空中楼閣、伝説の城ラピタ。その中にチエは連れていかれたらしい。


「てなわけで侵入しようとしたんだが……」


 勇者一行の前の石の扉、そこに付いている謎の機械。


「まさかセ〇ムされているとはな」

「アルソ〇クかもしれないですよ。とにかく入れませんね」


 ガガガ……魔王が力尽くで開けた。


「いやいやいや……」

「これで入れるな」


 スタスタ中に入っていくポテト。田中も続こうとしたが、


「……魔王さん来ないんですか?」

「今扉開けたので、力使い切った」

「力尽くで開けて力尽きたんですか……」


 ポテトがイライラと振り返った。


「急いでいるんだから魔王は置いてくぞ」

「えっ」


 扉の外に取り残された魔王であった。



× × ×



 一方、中の蒸すか大佐とチエは。


「伝説の黒い石だ! 読める……読めるぞ!」

「そーっと……」

「逃がさん」

「あ、バレた」


 蒸すか大佐の前に映像が現れる。そこに映っているのは魔王。


「ははは、人がゴミのようだ!」

「な、この魔王を侮辱したな!」

「言葉を慎みたまえ、君はラピタ王の前にいるのだ!」


 蒸すか大佐、振り返る。


「あ、ヒッコー石を出せ」

「無いよ」


 ……。


「出せ」

「無いって」

「出せ」

「だから無いって」

 ……。


 バーン(銃声)


「キャー」

「待てっ!」

「鬼ごっこは終わりだ!」


 (銃声)(銃声)


「キャーッ」

「次は耳だ!」


 そこで現れる2人!


「待てーっ、石は隠した! ちえみを撃ってみろ、石は戻らないぞ!」

「抵抗したらこの8.6秒バズ〇カで木端微塵にしますよ」


 ポテトと田中が脅すも、蒸すか大佐は余裕の面持ち。


「その大砲で私と勝負するかね?」

「……チエと話をさせろ」

「3分間待ってやる」


 ポテトと田中がチエに走り寄る。


「チエ……「時間だ‼ 答えを聞こう‼」

「いや早ぇよ‼」


 (めっちゃ銃声)


「しかも超撃って来るし‼」

「よし、ヒッコ―石で、例のアレをやろう」


 ポテトが言い、チエと田中が、目を合わせて頷く。ヒッコ―石を乗せて、手を繫いだ。


 ポテトと田中が。


「……え? あっそっちですか」

「バルス‼」


 ……。


「あれ?」


 目が目が待機をしていた蒸すか大佐も拍子抜けしている。


「……これヒッコ―石か?」

「……あ。これ、ただのラピスラズリです」


 ……。


「そんなの、エンチャントくらいしかできないだろ」

「そうですね、バルスはできないですね」


 ……。


 (もうむっちゃ銃声)


「うわぁ!」

「くそ、チエ、何か知らないのか⁉」

「そんなこと言われても!」


 その時、チエは何かを思い出した……‼


「そうだ、私の本当の名前は、ブルゾン・ちえみ・売る・ラピタ……」


 お母さんから教わったいにしえの呪文……!


「ゴアイドク・アリガトウ・ゴザイマシタ……」


 ピカーッ‼ 溢れ出す青い光‼


「うわーっ、目が、目がーっ、ああっ……」


 蒸すか大佐が叫ぶ。城が次々崩れていく。


「な、なんて呪文を、唱えてくれたんだーっ」

「いや、だって~‼ 落ちる~っ‼」


 ヒューッ……。


 その様子を見ているドーダ家。


「ママ、見て! 釜の底が抜ける……」

「滅びの言葉を使ったんだ……」


 桃色髪のおばあちゃん、ドーダは感慨深げに呟いた。



× × ×



 砂浜にて。


「……酷い目に遭いましたね」


 びしょ濡れの田中が呟く。ポテト、魔王もため息をついた。唐突にチエが笑い出す。


「ふっ、ふふ……はっ、ははは……あはは……不思議~」


 チエは砂浜に寝転んだ。勇者一行、みんな思い思いに休む。そして作者現れる。


「1つ目のボスは撃破だね!」

「うるせー……てか、こんなんで帝王城行けんのかよ」

「帝王城の扉は青い石と赤い石が揃った時に開くのさ」

「それってこのラピスラズリかよ‼」


 まあとにかく1人目、炉蒸すか・パロディ・売る・ラピタを倒した勇者一行であった。


 来週の勇者ポテトの大冒険は!

 再び現れたネコフルンと、ジャンクフードベロンバァ!

 絶望と無気力に包まれた勇者一行だったが、何故かチエだけが残る⁉

 突然重要キャラに躍り出るマイキーマウス‼

 この流れで出てくるのは、伝説の戦士、プリキュ……⁉


 次回、「キュアミリオン誕生‼」お楽しみに‼

 君も創作者ならパロディの範囲に気を付けたまえ。って当時の私に言いたい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ