第二夜 ※匂いフェチじゃありません
やべっ…寝ちまってた。…
「ここは、安い割に可愛い子が結構いていいですね。特に音羽ちゃんは私の好みです。男色なんて趣味じゃありませんでしたが、これは中々いけますねぇ。いやぁ、吉原のとんだ穴場を知ってしまいました。」
「ああ、そうだろう。もうじき無くなっちまうのが勿体ない。」
いや、違う。気絶してたんだ。
久しぶりに2人も相手をしていたから…
「…それじゃあ…」
「ああ。…『忍耐の儀』は6日後決行だそうだ。」
…『忍耐の儀』?
どこかで聞いた事があるような単語だ。
…
…ああ、そうだ。『臼田教』だ。臼田なんとかって奴が開いた、新宗教だ。詳しくは知らないが、『忍耐の儀』はその臼田教の儀式だ。
男2人は何やら立て込んだ話をしていた。
どうやら、こいつらは臼田教と何らかの関わりがあるようだ。
臼田教は江戸の風紀を乱すとして、幕府に目をつけられてる。あまり深く関わらない方がいい。
「それなら、尚のこと今日は楽しまねば。」
男2人が、あれだけやったのにまだ俺に触れてくる。元気な事だ。
「…」
幼い頃からもう何百回と繰り返してきた行為だ。なんの嫌悪感も感じない。ただ、少し疲れただけだ。
冷たい4つの手の感触に身を委ねつつも、あの少女の顔が脳裏にちらついた。
「あー??」
「だーかーら!!私と同じ位の背で、そばかすがあって、栗色の髪の少女です!!見かけませんでしたか?」
「あー!!」
「心当たりがあるのですか!?」
「わしも蕎麦と栗は好きじゃよぅ。」
「んもーーー!!」
というやり取りを、千代は目の前のおじいさんと繰り返し続けて半刻程が過ぎた。おじいさんは天ぷら屋台の端で腰かけている。どうやらこのお爺さん、耳が遠いらしくて(ついでにぼけもあり)話が中々通じない。千代は流石にそろそろ諦めようかと考える。するとそこに、
「じいちゃんはほとんどボケてるから何訊いても無駄だよ、兄ちゃん」
と男が声をかけてきた。
兄ちゃん、と言われたのは、千代が、今男装をしているからである。この後また音羽の元へと行くつもりなのだ。
突然話しかけられて、千代は少し驚いた。すると、男は、このお爺さんの孫だと教えてくれた。
千代は一応事情を話すことにした。
「私、人を探しているのです。その人がこの付近で行方をくらました、という事は分かっているのですが…。向かいのお店の方が、このお爺さんがほぼ一日中天ぷら屋の前で座っているから何か分かるかもと仰っていたのですが…」
「時間の無駄だったな。」
千代は、ガクッと肩を落とした。千代はめげずに今度は、声をかけてきた男の方に訊いてみることにした。
「あの!私と同じ位の背の」
「そばかすがあって栗色の髪の少女を探してるんだろう?あれだけ大声張り上げてれば聞こえるよ。」
言われて、千代はここが町のど真ん中であることを思い出し、少し恥ずかしくなった。
「俺に心当たりがあるぞ。前に、その特徴に当てはまる女子を見た。」
「!!本当ですか!?」
「ああ。今日もその子目当てって訳じゃないが、その子の所へ行くんだ。どうだ、兄ちゃん。着いてくるか?」
「い、行きます!!」
千代は顔を輝かせて頷いた。男が支度を整えると、千代は期待に胸を躍らせて彼について行った。
__________が、
「ここ、昨日の妓楼では……?」
着いた先は、吉原遊廓の、昨日音羽と出会ったあの妓楼だった。
男の方はもう中の者とあれこれと話し込んでいた。
「おーい、兄ちゃん、俺が言ってたのはこの子の事だ。特徴は合致してるはずだぞ。」
男が千代を呼ぶ。
見ると、確かに身長は千代ぐらいで、そばかすがあって、栗の色に近い茶の髪の少女がそこに居た。
だが、別人だった。
「…すみません、その人ではありません。確かに、似ていますが、違います。…」
少女は、この妓楼の禿で、男と千代に対してヘコヘコ頭を下げていた。なんの事やら分かっていない様子だ。
「ありゃあ。それは残念だったな。悪いが俺の心当たりはこの子だけだ。他を当たってくれ。」
男はそれだけ言うと、ウキウキ顔で中へ入っていった。
千代は大きくため息をついた。
「あ、あの…昨日のお客様…ですよね?」
「え?」
話しかけてきたのは、さっきの竹似の禿だった。
「音羽お兄ちゃ…音羽さんが昨日お相手して、また来ると仰っていた…」
「…あ!はい、そうです。本当はもう少し後に来ようと思っていたのですが、今もう音羽さんを指名してもよろしいでしょうか?」
「すみません、音羽さんはさっき起きたばかりで、今身支度を整えているのでもう少々お待ちください。」
「?このような時間帯まで寝ていたのですか?」
千代は空を見上げた。
あたりはもう暗くなりかけていて、遠くの方で夕日が宝石のように煌々と輝いていた。
「…お、音羽さんは昨日お客様が帰られた後すぐ、別の2人のお客様が参られて、大分お気に召したようで、その、朝まで…」
禿は言いづらそうに口ごもってしまった。
言われて千代は何となく、知識がないなりに察して、顔が熱くなるのを感じた。
と、同時に、胸が何故だか、もやっとするのを感じた。
(お、音羽さんは遊女なのだからそのくらい毎日当たり前のようにしている事です…!)
千代は自分に言い聞かせて頭をブンブン振った。
「あの、お客様…?」
「悪い。待たせたな。」
千代は心臓が跳ね返るのを感じた。
気づけばすぐそこに音羽が立っていた。
音羽は少し疲れている様子だったが、昨日と同じように朗らかに千代を招き入れた。
昨日ぶりに会うのだが、音羽を見ているとなんだか千代の頭はぼうっとしてしまい、そのせいか、部屋に入る時も何もない所でコケてしまった。すぐに音羽が千代の身体を受け止め
(…!!)
ふわあーっと花の香りが鼻をついた。
「大丈夫かい?お客さん…ってどうした?顔が赤いぞ。」
「…あ、え…っと…」
「…?」
「…そ、その、音羽さん、花の良い香りがします…。」
千代の先程からの奇怪な言動に半ば本気で心配していた音羽は予想外の返答にしばし呆気に取られた。
が、すぐにクスクスと笑い出した。
「お客さん、匂い性的嗜好ってやつか?」
「…!!違います!ただ、音羽さんが良い匂いするな、と思っただけです!!ここは煙草の臭いがとても強いですが、音羽さんはその臭いが全くしません。」
「あーそれか。俺、煙草苦手なんだ。昔、初めて煙管を吸わされた時に吐くほど咳き込んだんだ。ババアが言うには俺は肺が弱いんだと。…っと、この話客にはしちゃいけないんだった…。まあ、あんたなら良いや。」
話を聞いて千代は、遊女達が見世で、道ゆく人に自らが吸った煙管を差し出して間接接吻をさせて喜ばせてるのを思い出した。千代にはよくわからぬが、男の人はあれが嬉しいらしく、遊女はそのためにほぼ皆煙草を吸っているのかもしれない。
音羽が再び先程のにやけ面を見せた。千代は直感的に危険を察知した。
「で、やっぱりお客さん性的嗜好…」
「も、もしかして!…昨日も今日もこの角部屋を使っているのはそのためですか?」
再び性的嗜好云々のくだりでからかわれては心臓が持たぬと思い、千代はなんとか話をそらそうとした。
千代が言ったことの意図がわからず音羽が首を傾げる。千代は慌てて窓を指差して補足した。
「ほら、この部屋他と違って角部屋だから二つ窓がついてますよね。しかも対角線上に。このように窓が対角線上についていると空気の出入りが多いと聞いた事があります。お客さんが煙草吸ってたり、音羽さんが吸わされたりしても多少はましになるように、音羽さんがお客さんをひくときはよくこの部屋を使っているのではありませんか?…すみません、勝手な推測ですけど…。」
千代がそこまで一息にいうと、音羽は黙り込んでしまった。
何かおかしな事を言ってしまったかと千代は若干しどろもどろになる。
「…そっか、俺、結構気使われてたんだな。」
音羽はポツリと呟いた。
「あんたの言うとおり、確かにこの部屋は俺がほぼ使わしてもらってる。ここ以外の角部屋は全部物置とかになってて客用の部屋になってないんだ。俺が仕事しやすいように他の奴らが気利かせてくれてたみたいだな。良い事教えてくれてあんがと、お客さん。」
音羽は微笑んだ。
「い、いえ。と言うか、先ほども言った通りあくまで推測ですので…」
「良いよ、大丈夫。それにしても、お客さんよくそんな事知っていたな。」
「私の家の職業柄、そう言う雑多な知識ばかり詰めてきたもので…。」
千代はここでふと、あることに気づいた。
(__と言うことは、音羽さんは今までここで色々な人達と__)
そこまで考えて、千代は頭をブンブンとふった。嫌な事を考えたくなかった。
(はあ…。なんだか、音羽さんと居ると妙に落ち着きません…。一体私はどうしてしまったのでしょうか…。)
「で、さっきの匂い性的嗜好の話、図星だったか?」
「そうですね、音羽さんの匂いに心乱されている事は否定できま…ひゃあああ!!な、何を言わせるのですか!!」
「あんた面白いな。」
音羽は再びクスクスと笑った。
(折角回避したと思ったのに、話を戻されてしまいました…。しかも油断していたせいでとても恥ずかしいことを口走ってしまったような…。うう…。音羽さん、恐るべき魔性の女…いえ、魔性の男です。一体、この笑顔で何人の人を虜にしてきたのでしょうか?)
千代には彼の笑顔がまた魅力的で直視出来ないほどに眩しく思えた。
千代は改めて音羽の美しさに瞠目した。咲いたばかりの百合のように艶やかな肌。スラリとしていて、均整のとれた手足。鼻筋の整った顔に桜桃を添えたかのような上品な唇。まるで芸術作品のようだ。人によっては威圧的に感じるかもしれない彼のキレ長な目すらも千代にはこの作品を支える重要な礎になっているように思えた。千代は吉原遊廓の妓楼をここ数日でかなり見て回ったが、やはり音羽は指折りで美しいと感じた。
「…お客さん、俺の事好きなの?」
「…っ!」
「随分熱い目で見てくれるじゃないか。」
突然の音羽の発言に千代は言葉を失った。どうやら、彼の事をかなりじろじろ見てしまっていたらしい。
「…お客さんも物好きだね。なんで俺みたいな女だか男だか分かんねー奴に熱くなれんのかなあ。」
「…。」
今の音羽は営業している時の、いわゆる大人の顔ではなく、単純に疑問に思っているようだった。
千代は再び頬を赤らめた。
「…わ、私は音羽さんの事が…す、好き…とかそう言うのはよくわかりませんが…憧れています。」
音羽が少し驚いた表情を見せる。
「憧れてる…?」
「はい。音羽さんはご自分の事を女だか男だか分からないと言っていましたが、私は音羽さんの事を漢らしいと思っています。…すみません、不快に感じましたか?」
「いいや、全然。」
音羽は興味深そうに千代の話を聞いている。千代は、遊女に漢らしいと言うのは失礼かと思ったが大丈夫そうだった。
「…音羽さんは私の初恋の相手にそっくりなのです。」
「…!…その初恋の相手って…」
音羽は思わず聞き返した。
「私の…初恋の相手は…」
「…」
「_____私の初恋の相手は、光源氏です!!」
「…………ひ…??」
音羽はキョトンとした。
「最初に、見世にいる音羽さんを見た時、もしこの世に光源氏がいるのならきっとこんなお顔をしているのだろうと思いました。それに加えて、私が男の人に殴られそうになって助けてくれた勇敢な姿も、その後の、音羽さんのお客さんを気遣った一つ一つの所作もとても光源氏そっくりだと感じました。そのような訳で私は音羽さんの事をとても憧れているのです!」
「…えー、あーその、ひか何とかと俺が似てるって…?」
「光源氏を知らないのですか!?」
千代はつい大声で叫んだ。
「ま、まさか、源氏物語を知らない…のですか?」
「あ、あー!それなら(名前くらいは)知ってる。」
「いやいやいや!!なんで源氏物語を知っていて光源氏を知らないのですか!!光源氏は源氏物語の主人公です!読んだことがないのですか?…もしや、音羽さん、字が…」
「読める!!読めるからな!普段あんま書を読まないだけで読めない訳じゃないから!」
一端の遊女である手前、教養として字はある程度は習得している。だが、得意ではないので読むのも書くのもとにかく時間がかかる。手紙をたまに寄越されるくらいならなんとか対応できるが、流石に長編の本となるとハードルが高い。
そんな音羽の事情はつゆ知らず、千代は目をキラキラと輝かせて、光源氏の魅力を語った。
「光源氏は容姿はさることながら、気品高く、学識深く、身分も高く、女性への姿勢も素晴らしいのです!高貴な血筋であるにも関わらず様々な逆境があり、苦難に耐える様子がまた女性の母性本能をくすぐります!どのような逆境があったかというと、まず彼は幼い頃に母を亡くし、実母に似た、継母である藤壺に恋をして、
中略
こうして最愛の妻、紫の上が亡くなり、光源氏は出家を決意するに至ったわけです!ねえ、とても素敵でしょう!光源氏は全女性の憧れです!このような素晴らしい物語をまだ読んでいないなんて勿体ないです!今度また貸本屋で借りてきますので、宜しければ読んでみませんか?」
千代の瞳はキラキラキラキラキラと満天の星空のように輝いていた。
「あー、いや、まー、それは…」
音羽は斜め上に視線をやる。
音羽はどう言い訳をして断ろうか迷った。
音羽は字が苦手だ。それを隠したいと思う程度には遊女としてのプライドがあった。
突然、障子の向こうから声が聞こえてきた。
「音羽お兄ちゃん、すみません、今大丈夫ですか?」
「今、接客中だ…って事は分かってて訊いてるんだよな。どうした。なんか、あったのか?」
障子が開いた。先程の、竹に似た禿だった。
「その、またあのお客様が参られてて、やれ楼主を出せだの音羽を出せだのと叫んでは暴れているんです。」
「あーまた来たのか、あいつ。」
千代が不可解そうにしていると、昨日俺が殴って追い出した奴だ、と音羽が教えてくれた。
「最初は下男が対応していたのですが、遣手婆がやってきて、…あとは想像出来ると思うけど、遣手婆ったらすっかり気が動転しちゃって、音羽を連れてきてって叫び続けてるんです。すみません、お客様が居る時に…」
「はぁ…ババアもあの無賃野郎もホント仕様がねえな。お客さん、悪いが少しの間だけ席を外させてくれないか?」
「私なら大丈夫ですよ。…でも、あの、あまり無茶をしないで下さい。」
千代がそう答えると、音羽は少し申し訳なさそうに、部屋を出ていった。禿も音羽に続いてついて行こうとする。
「お前はここにいろ。俺が居ない間、適宜お客さんの要望に答えてやってくれ。」
そう言って、音羽は禿を静止した。音羽はそのままこの場を後にした。
「何かご用命がございましたら、遠慮なく言って…お申し付けください。」
禿は千代に頭を下げた。
「あ、いえ、大丈夫ですよ。ここで、音羽さんを待っていますね。」
千代がそう答えると、禿は深深と頭を下げて障子を閉めようとする。が、途中で手を止めた。
「あの…」
「はい?」
「…源氏物語、好きなんですか?」
数分後、マシンガンのようなオタクトークが炸裂された。
どうやら、禿の方もそれなりに源氏物語に理解があるらしく、千代の連射撃を受け止めるに申し分ない相手であった。
そこへ、障子がガラッと開く。
「ごめんな、ちょっと思ったより長くかかっちまった……」
音羽が戻ってきた。だが、次の瞬間には呆気に取られた。
「確かに光源氏はとても素敵な人だと思いますけど、頭の中将もなかなか魅力的だと思います。どのような所が良いかと言うと…」
千代は早口で音羽には理解できない事を熱く語っていた。千代の前にはもう既に豪華な御馳走が並べられていた。
「確かにその通りですね。…あ、この大根いただきますね。」
一方、禿の方は話に興味がある風を醸し出しているが、目が千代の前に置かれた御馳走の方を狙っていた。千代が快く肯定するか否かのうちに禿の箸が目標についていた。音羽は呆れて、禿の襟元を掴んで持ち上げた。禿は食事に夢中になっていたせいか音羽の存在に気づいてなかったので急に持ち上げられてびっくりした。しかし、大根はしっかり口の中に頬張る。
「音羽お兄ちゃん、おかえいなひゃい。」
「お前何勝手に客の飯食ってんだよ。」
「音羽さん!違います!私が一緒に食べましょうと言ったのです!」
千代も禿が持ち上げられてようやく音羽がいることに気がついて、音羽を止めようとする。音羽は千代に聞こえないように禿に耳打ちした。
(いくら客が良いつったって、こんな事店全体の品位を落としちまうだろうが…!お前、少しは自重しろよ。)
(音羽お兄ちゃんは真面目すぎるのよ。こう言う平和ボケした人畜無害の金持ちは適当に話し合わせて機嫌取って、もらえるもんはもらうに越した事はないわ。)
禿もまた千代に聞こえないように音羽に小声で反論した。音羽は心の中で呆れて大きなため息をついた。この禿はこう言う性格なのである。音羽がまた何か言おうとする。
「何を二人で話しているのですか?」
だが、千代によって遮られた。千代は二人だけでこそこそ喋っているのを不思議そうに見ている。
「何でもないですよ!お客様。私、もっとお客様の語る源氏物語の魅力を聞きたいです!」
そう言う禿の目は今度は沢庵を狙っていた。
「あ、こら、まだ話は終わってないぞ!…はあ、お客さん、まだこいつ未熟者で、ごめんな。」
「いえ、そんな、謝ることなんて…。何と言うか、この子と話していると、お竹と話しているようで…懐かしい気持ちになります。」
千代がそう言って少し寂しそうに微笑んだ。
シン…っと場が静まりかえった。禿は沢庵を自分の口まで運ぶ手を止めた。
「あの、…これ…」
禿は名残惜しそうに沢庵を千代の皿の上に戻す。
「…これあげるから、元気出してください。」
「いやそれ元々お客さんのだから。」
音羽は禿の頭を小突いた。
「大丈夫ですよ。ありがとうございます。お気持ちだけ受け取ります。沢庵は食べてください。」
「あ、はい!わかりました!」
禿はすぐに沢庵を頬張った。
彼女が美味しそうに食べているのを千代は嬉しそうに微笑んで見ていた。
(きっとすぐお竹を見つける事ができるはずです。)
千代はそう心の中で呟いて気持ちを奮い立たせたのであった。