出会いの物語①
ミツキ、出会っちゃうってよ
勇者を作ろうと決意してから5日が経った。
勇者を作る……具体的には勇者となる人物を私が直接『育てる』ということだ。
「…だからといって勇者なんてそうそうなれるもんじゃないよなぁ……」
チート。そう、それこそ私くらいチートだったりしないと『勇者』は務まらない。
私は死んでもやりたくないけど。
勇者を作るにはまずは人と会わなければいけない。
しかし私はこの森を出たくない。というか、出られない。
別に大した理由はないが、人が大勢いるところにいったら、なんか、ほら、怖そうじゃん……
だがずっと引きこもっているわけではない。
空間移動魔法とか使って街に買い物とかも行く。たまに。
森を出ないで勇者となる人材を探す。
はっきり言って無理ゲー。控えめに言っても無理なゲームです。
どうしようかなぁなんて思いながら森の中を1人で歩く。
途中で魔物は襲ってきたりするので魔法をぶっ放しながら、どんどん奥に行く。
(ずっと森で生活しているミツキは森の構造を大体覚えている。)
森の中間地点(ミツキが普段生活している、自家製木の家から森全体に対しての距離である)くらいまで来て疲れたミツキは回れ右をして家へ帰り始めることにした。
「考えたところで無駄だし。」
空間移動魔法を使って家に帰っても良かったが気分が歩きたい気分だったミツキは、家までゆっくりだらだら歩いて帰った。
家に着いて木のドアに手をかけ、中に入ろうとしたとき。
ぐわぁああああああああああ
ミツキの魔力察知に大きな、とても大きな魔力が引っかかった。
「Welcome to 勇者!!!」
発狂しながら家のドアが壊れるくらい勢いよく閉め、もう一度森に駆け出した。
ミツキの家は『ミレイトス』の中で2つ目に大きな国である、サリファン王国の西側端っこにある、別名『魔の森』と呼ばれるカリタス森林の中にある。