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ベースボール・プレイヤーズ  作者: はじさらし
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1年生春・入学

20XX年、桜舞う四月。

 1人の少女が真新しい制服に身を包み、だがどこか重々しい表情を張り付け、通学路を歩き続ける。彼女の名は高田舞、新高校一年生である。


 新しい門出だというのに、どうも微妙な表情になっているのには理由があった。彼女、根っからの野球馬鹿で、高校進学したら近くの草野球チームにでも入ろうかと考えていた。

 しかし、その考えが頭にあったのは、家から近い滑り止めの私立高校を受験する、少し前までのこと。父親の仕事の都合により、両親は離島へと引っ越すことになってしまった。舞は、それについて行くか、それとも都会の高校に進学し、一人暮らしを始めるか…。悩んでいたのも束の間、父親からこう言われてしまったのだ。


「舞、お前は野球一筋だったから、家事全般がダメだったろう。大人しくお父さんたちと一緒に来たほうがいい。というか、一緒に来てくれ。残すには不安が大きすぎて、仕事が手につかん。」


 一応、野球のこと以外では箱入り娘のような扱いを受けてきたのに、この言われようである。いや、寧ろ「だからこそ」なのだろうか…。そう思いながら歩いていると、今年から3年間お世話になる高校が見えてきた。私立天海高校。今年からの新設校らしい。

 新設校を選んだ理由は、古い考えを持つ人間がいない、または少ないと考えたからだ。舞が生まれる少し前、男女の力量差がなくなりつつあることから、スポーツに男女分けの概念がなくなったのだ。が、それでも男女が共にスポーツを行うこと、こと野球においては反対意見が未だに根強い。

 そういう声は無視してやればいいのだが、そもそも耳に届かない方がいい。親の収入も悪くないと聞いているし、急な引っ越しに付き合う対価だと押し切った。お陰で、少しは気楽な学園生活が送れそうだ。

とは言っても、ここは見慣れない土地。調べたルートが正しいのか、今進んでいる道は調べたルートから外れていないか、不安になりながら進んでいたのだが、学校が見えてきたことで、舞はほっとため息をついた。


「今日から始まるんだ、新天地で高校生活…。草野球のほうが気楽かと思ったけど、野球部に入るのも悪くないよね、多分。」


こうして、彼女の高校生活が幕を開けた。


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