創造プロローグ~ワタシノセカイ~
この時代には誰一人として人間を含めた生物は存在しない
あるのはツタで覆われた倒壊したビル。ほとんど原形をとどめていない家屋。
今から8300年前、私を除いたすべてのものが『技術』が低下し、生殖機能を失い、そうして暴動などがうずめいた10年ののち、滅んだ。
それは人間でだけではなく、犬や猫、そしてゴキブリなどの生命も同じだった。
人間以外の生物は、特にひどかった。
記憶を失い、生殖機能が失われ、筋肉が削げ落ち、動けなくなっていった。
そうして苦しいまま死んでいく生物たちを見ていた。守りたい人も、周りにいる人も、私に助けを求めたものも、何もできず、見て見ぬふりをして、ただ見ていた。見ていることしかできなかった。
私は誰からもバケモノ扱いをされ、私自身、バケモノとしか思わない。それはそうだろう。周りが生命力を失う中、私は食料が底をつき飲まず食わずでいたにもかかわらず『空腹感』を味わうこともなく、理性はいまだ保っている。
何度嘆いたことか。何度自殺を図ったか。何度自分を責めたか。
嘆いても、泣いても、責めても現実は変わらない。
そうして最後まで人間の死を見届けた。
そして深い眠りについた。
ただ逃げたい一心で石畳に横になり風が吹く中眠りについた。
何年も、何十年も。
「クソッまた駄目だ」
その声は、誰にも届かず誰もいない緑色の市街に反響するだけだった。
人類が滅び8000年。私はとある技術を確立し、人類の・・・いや生物の存続の方法を探していた。
【98642通り目、存続時間30年と83日延長。人類存続時間は21年と19日。滅亡理由ウイルス感染によるアンデット化後の腐敗。感染時期18年と21日。感染源は、不明。おそらくアラスカかアメリカ、日本の3か所と予測されています】
と無機質なアナウンスが流れる。
これは私が作ったシステムで、滅亡後の世界の振り返りをしてくれている。
「98642通りか・・・滅亡前100年前と同じ世界を何度クリーンインストールしてやり直してみても失敗しかない。さて・・・次はどこで湧くとしようかな。」
人間は様々なことで滅んでいく。
自然現象による死は旧約聖書に「ノアの箱舟」にある大洪水のように、予期できないものや、バイオテロなどによる人為的な死。そして原因不明の突然死まで様々。
全98462通り中
40842通りが自然災害
17480通りがバイオテロ
29113通りが原因不明
残りは色々だ
中には、ゲームに殺されたなどという世界もあったりした。
私は何としても世界の滅亡を止めたい・・・いや止めなければならない。
もう誰も失わないために、すべての人間を取り戻すのだ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
コメントなどもお待ちしていますのでよろしくお願いいたします。
・・・この小説書いてて思ったけど某『鍵』の『書き直す』アニメに似てるなぁ・・・なんてね?(『』を英訳してみよう知ってる人はわかるよね?)