9. 移動開始
9. 移動開始
Side:アキ
魔法談義中は暇だった。ユウの出した水魔法で触手案、変態か!間違えた、天才か!!!
水魔法で透けた服は見れそうだけど、水分補給は無理そうだ。
それなら早めに水場を探したいけど。
「そろそろ移動しようぜ」
「行く方向にアテある?」
「無いな。………どこ行く?」
「さっき落とした隕石の方に行かねぇ?」
「トモの魔法で落としたやつか………いいけど、なんで?」
「動物はさっきの音聞いて逃げてるだろうし、近くに人が居たら見に来るかもなって思ったから」
「そうだな、そんじゃ落下点に行きますか。ユウ、移動するよ」
「あいよー」
トモとの相談中も触手で遊んでるユウ。頑張ってくれ、俺達のオカズが懸かってるんだ。
そんなわけで、隕石落下点へ移動開始。俺とトモはゲームやらアニメやらラノベやら、実の無い話をしながらで。ユウは後ろから水触手を真剣に操作しながら付いて来てる。
体感時間で2・30分くらい森の中を歩いたと思うけど、道とか村とかは見当たらない。
そして、その間発動し続けるユウの魔法。集中力に自信無いって言ってたけど、問題無さそうじゃんか。
「普通に魔法使えそうじゃんか、ユウ」
振り向きながらそう言うと。
「エロの為さ!」
笑顔で、親指立てて応えてくれた。ユウ、お前漢だな。
さらに30分程歩いて………まだ着かない。
そろそろ歩くのしんどくなってきたんだけど。
「オイ、トモ。方向こっちで合ってんの?」
「間違って、無いと、ゼェッ、思う」
口数少なくなってきたと思ってたけど………
「もうへばってんのかよ。モヤシか」
「ヒッキー、ナメんな」
「そろそろ休憩―――
《ガサッ》
「!?」
右側から聞こえてきた音に緊張が走る。
人?獣?モンスター?
《ザッザッザッ》
こちらに近付いてくる音に足が震える。心臓の鼓動が煩い。緊張で声も出ないし、音源から何が出て来るか分からない。
生き残るため、震える手で刀を抜く。音のなる方へ構えて―――
親友2人が俺の後ろに隠れてくれた。
「お前らも戦え!!!」
「「いや、だって後衛職だし………」」
魔法職だから言いたいことは分かるけど、後ろで分散するとか集中して魔法使う準備するとか、出来る事あるだろ?
なんで真っ先に親友を盾にしようとしてんだよ!
再びガサリ、と音がした。
大の大人3人が緊張に震えながらそっちを見ると、出て来たのは少し赤茶けた髪の女性で―――
「***********」
知らない言葉を喋ってくれた。
「「「って言葉通じねぇじゃねーか!!!」」」
あの、女神様。謝りますんでもうちょっとイージーにしてもらえませんかね?
読んでくれた友達が『お前の所の女神様ドSだな』って言ってくれてた。
解せぬ。