5. 出発
ようやくあらすじに追い付いた。
5. 出発
Side:ユウ
出発前の支度中。トモの模造刀をアキに持たせたら?って提案したらニラまれた。
関東に行く途中に観光で寄った大○城。入城時間ギリギリに行った結果、人が多くて入れなかったな………
その○阪城前にある土産屋で、トモが一目惚れして買った模造刀。車に乗せたままだった気がするけど、持って行ったら駄目だった?
「これ?」
アキが後部座席の後ろから、細長い箱を取り出した。確かこれだったと思うけど。
「………出来れば持って行きたくないんだけど」
「何で?」
「アキ、お前剣道の経験とかあったっけ?」
「中学の体育でやったな」
「振り回して曲げたり凹ませたり、傷つきそうで嫌なんだけど」
「でも、武器無いとしんどいだろ?」
「そうだけど………じゃあ、俺が許可するまで抜くんじゃねーぞ?」
「んーわかったー」
結局持って行く事に決まったらしい。刀はロマンだと思うから、後で俺も振ってみたいんだけど。
「とりあえず開けよーぜ」
「待てコラ、俺が開けるから」
「おお、カッケー。けどやっぱ刃は潰してるのか、鞘もいい感じの模様が………模様?なんだ、シールか」
「文句言うな、貸さねーぞ」
箱から出して、梱包の袋から出して。いいなぁ、俺も買えばよかったかなぁ。なんて見てると。
「振ってみる?」
「マジか。ありがと」
貸してくれたから持ってみる。思ってたより重くないかな?
アニメやら何やらの知識で見様見真似、上段に構えて振り下ろす。
「っと」
振った反動でふらついた。筋力付けたり練習しないと無理っぽい。
「次俺ね」
「はいよ」
アキに渡して、少し離れる。アキも同じように振って、やっぱりちょっとふらつく。
「じゃ、最後俺で」
「ほい」
トモが上段に構えて振り下ろす。ヒュッと小気味良い音、素人目にはふらついたように見えず、綺麗な姿勢のまま。鞘を拾って刀を収めて―――こっち見てドヤ顔。
「「ウゼェ」」
「ウゼェ言うなし。小学校でかじったことあるから上手くいっただけだし」
「「キメェ」」
「キメェ言うなし。ドヤ顔したのは悪かったけど、ちょっとぐらい調子に乗ってもいいじゃんか」
「だってよ、ユウ。俺にはお前らもやってみろよって顔に見えた」
「だよな、アキ。俺にはこの位楽勝だろって顔に見えたよ」
「お前らなぁ………」
いつもみたいに3人でギャースカやってると。
「そろそろ、いいですか?」
「「「アッ、ハイ」」」
女神様から声を掛けられた。
美人が無表情だと怖いって、初めて知った。
そういえば、1つ気になったけど聞いてないことがあったな。
「女神様、どうして俺達を選んだんですか?」
「ある程度の倫理観を持たれていて―――
こっちに呼ばれる前から観察されてたのかな?ちょっと恥ずかしいけど異世界に行けるならそれくらいは―――
―――年齢の割に、異世界等への夢を持たれていたからです」
「「「ガハッ!!!」」」
崩れ落ちる俺達。
普通の理由に聞こえるけど、無表情で言ってくれたから後半から「夢見てんじゃねーよ、オッサン」って副音声が聞こえてきた。
確かに、アニメとかラノベとかの異世界物は好きなんだけど。
アハハ、泣いていいかなぁ………
数分後、なんとか立ち直ることが出来た。
「それでは送りますね」
「「「お願いします」」」
そして、そのまま送られた先は―――鬱蒼とした森だった。
「「「人里どこだよ!!!」」」
女神様、さっき放置して遊んでた事への仕返しですか?
次話からようやく異世界旅行記開始です。