4. 出発準備
4. 出発準備
Side:トモ
異世界へ行く・行かないの交渉中。親友2人はアメ出されて、俺は拳銃突き付けられた気分。
待て、落ち着け。
状況を整理しよう。
こっちに呼ばれるまで、俺達は九州から関東に居るアキの所に車で、観光がてら遊びに来ていた。
今すぐ家に帰れる状況じゃない以上、言われた事が実現すると家族から白い目で見られるどころか、最悪ご近所まで知れ渡ることになる。………そうなった場合、田舎の井戸端ネットワークは凄まじかったりするから、地元に帰る気力が無くなったりしそう。
ただ、ハッタリの場合もあるから―――
「最近、よく起動していたのは触手の凌辱モノですか。………タイトルは―――
「私も喜んで異世界に行かせて頂きます!!!」
俺にはハイ以外の選択肢が残されてなかった。
「そうだ、女神様。俺達の戦う手段が魔法しか無いんですけど、武器とか防具とか貰えません?」
アキの戦闘手段か。俺とユウは魔法だし、近接の武器とか貰えないかな?
「申し訳ないですけど、ありません」
「1つも?」
「はい、1つもありません」
「武器も防具も便利なアイテムとかも無いの?」
「はい」
「………ケチ」
アキの一言で女神様の微笑に青筋が入った気が………これ以上機嫌を損ねるのはマズイ。何とか話題を逸らさねば。
「そういえば、私達が乗っていた車はどうなりました?」
「え?ああはい。車でしたらこちらに」
《ドスン》
背後の音に振り返ると、見慣れたフィッ○が。愛車は無事か、じゃあ後の懸念は。
「車の状態維持はお願いしてもいいですか?」
「分かりました。この状態で維持しておきますね」
帰った後の足は問題無いとして、他は………
「そうだ。衣服とか食料とか、車に乗ってる物は持ち込んでも大丈夫ですか?」
「はい。手荷物程度なら大丈夫ですよ。あまり重い物はご自身が辛くなるので、持ち込まれない方がいいと思いますけど」
宿泊用とか温泉行く用で服持って来ててよかった。
向こうに行って腰巻1枚とか、原始人的な生活は嫌だし。
「そんじゃー2人とも、用意しようか」
車に乗り込んで手荷物を用意。あるだけの着替えとタオル、コンビニで買ってた菓子類に総菜パン。財布は必要無いだろうし置いといて、携帯とか電子機器類も充電出来ないだろうから要らないな。
後は―――
「そういやトモ。お前、土産屋で模造刀買ってたよな?
あれ車に乗せっぱなしだったから、アキに持ってってもらった方がいいんじゃねーか?」
ユウが要らん事思い出しやがった。