3. 交渉
3. 交渉
Side:アキ
女神様に異世界へ呼ばれた、と思ったら親友2人に彼女居るじゃんお前、って嫉妬された。
「それで、私のお願いは聞いていただけますか?」
安全じゃない世界だし、俺は魔法使えないしなー。
女神様のお願いは聞いてあげたいけど、どーすっか。
連れの2人も考え込んでるし、そーいや異世界に行ったとして、こっちのメリットって今の所無いんだよな………コレ、断ってもいいのか?
なんて悩んでいると。
「アキ様」
「あっ、はい」
「彼女様の好みにもよりますが、あちらで衣装を入手されましたら―――持ち帰ってイロイロ出来ますよ?」
「………衣装って、民族衣装とか?オーダーメイドで作って貰っても大丈夫?」
「大丈夫ですよ。サイズについては、お帰りになる際に私が手直し致します。なので、心配ありません」
「マジでか、ひゃっほーい!!」
「アホか!!落ち着けアキ!お前、エロの為に世界渡るつもりか!」
何か聞こえた気がするけど気のせいだろ。
今、俺は煩悩に火を着けられた。
エロい感じの民族衣装とかあんのかな?
学園モノだと制服とか水着か?教師役でスーツとか?体操服も有りだな。
ベタだけどナース服とか白衣?
今のうちにスマホでサンプル画像を探さねば―――ってここ電波入んのかな?
「ユウ様」
「はっ、はい」
スマホ出す前にユウが呼ばれた。あいつはどんな条件出されんのかな。
「先程、お仕事が忙しくて大変な思いをされている、と言われていましたけど」
「あはは………聞こえてました?」
「あちらで貴金属等、入手されましたら―――持ち帰って楽な生活が出来ますよ」
「マジか!!じゃあっちで頑張ったら戻ってから仕事しなくていいのか!」
………えらく即物的なお誘いで。ユウもそれでいいのか。
「落ち着けユウ!金と命で天秤にかけんな!それにアレだぞ。一生遊べる量の貴金属とか持って帰って換金したら、税務署とか監査入られて面倒なことになんだぞ、きっと」
そっか。貴金属とか、いんじゃね?なんて思ったけど、そのまま持って帰るとトラブルになる可能性もあるよな。それなら微妙だな………
「ついでに言うと手に入れた気になってるとこ悪いけど、“手に入れる可能性がある”ってだけだし。“絶対持って帰れます”なんて、言われてないからな」
おおう、この状況でも冷静だなトモ。言われてみればその通りなんだけど………
「トモ様」
「………はい」
トモは簡単な条件じゃ頷きそうにないけど、どんな条件出されんのかな?
「このまま帰られますと、ご自宅のパソコンから―――
帰った場合のデメリットかな?女神様が何かすんの?
パソコンから火が出るとか?データが消えるとか?
―――エ○ゲが大音量で流れ出します」
えげつねーな女神様。処刑じゃねーか。
交渉(強制)