2. 方向性
2. 方向性
Side:ユウ
俺達は車で旅行していたら女神様に異世界へ拉致られたらしい。
人見知りな俺はそんなに話せないし、トモとアキがいい感じに結論出してくれるまで聞き専だなー。
「皆様には世界の導きをお願いいたします」
「分かりました女神様!!!」
「アキ、とりあえず落ち着け。了解すんのまだ早いから。
それで、導く手段と方向性はあるのですか?」
アキの奴、即答しやがった。どう見ても興奮してんなー。
「はい、どちらもあります。ありますが―――まずは土地を巡り、様々なものを見て聞いて、貴方達もどうすればいいか答えを出してから決めませんか?」
「………分かりました。それと、これが終わったら元の場所、時間に戻ることは出来ますか?」
「そーだよ。俺、嫁さん置いてきてんじゃん!来年に式挙げるから、それまでに帰してよ女神様!!」
「アキ、ごめん話が逸れるから、もうちょい静かにしといて」
帰りについてか、この状況でもしっかりしてんなートモの奴。
アキは……うん。とりあえず爆発してくれたらいいと思う。
「ええ、元の場所・時間に戻っていただくつもりですが――
ですが?何、制約とかあんの?
――怪我による傷跡や、それによる死亡は戻しようがありませんので、ご注意して下さい」
「まじか……安全とは言えない旅行か。自衛の手段はどうすればいいですか?」
「各々で努力していただくのと、魔法みたいなものが使えるかと思います」
「「「魔法!?」」」
おおう、つい声に出したけど……魔法か、俺もついにファンタジーの世界に行けるのか。
「ちなみに魔法の適性とかあります?」
「ええと、使えるのは―――トモ様とユウ様ですね。アキ様は残念ながら適性が無いようです」
「マジかよ、俺も魔法使ってみたかったのに。………俺のファンタジーが遠のいていく」
「何か条件でもあんのかな?俺ら二人が使える理由って何だろ?」
トモがこちらを見たので俺も考えてみるけど………年齢は同い年だし、背格好もそんなに違わないよな。
住居かな?俺とトモは九州の実家だけど、アキは関東で彼女と二人暮らしだし………
それとも体重かな?俺らも引き締まってるわけじゃ無いけど、温泉で見たアキは腹だけダルンダルンだった気がするし。それとも―――
「童貞だからじゃ―――
「「ガハッ!!!」」
突如女神様から言われた一言、何で知ってんだこの人。
全身から気力が抜けていく気がする。
そして、崩れ落ちる俺とトモ。
「27にもなって彼女居ないのが悪いのか!?
仕事が忙しいし出張多いし出会い無いし。
人見知りだから上手に話せないし、そもそも女性と話した経験少ないし。
給料安いし休み少ないし。
仕事終わってオッサンと飲み会ばっかしてたのが―――
ブツブツ愚痴ってると、ポンと肩に置かれる手。
「向こうに行ったら、お前らにも色んな出会いがあると思うぜ?」
ハッとして顔を上げるとアキが―――イイ顔して笑ってやがる。
「「死にさらせこのリア充がーーー!!!」」