表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

神様「転生させていい?」死神「ふざけんな」

作者: 赤リンゴ

宗教とかはあんまり考えずに書きましたが、仏教の考えが入っていると思われます。

我々でいうところの神が住んでいる天界、そのなかでも上位の者が住む城では今乱闘が起こっていた。

「し、死神様!どうか落ち着いて下さい!」

「やかましいわ!」


死神とよばれた者が自分の背丈程もある大鎌を振り回しながら天使達を蹴散らしていく、黒いローブを頭までかぶりローブから覗く骸骨の顔は怒りで目がルビーのように光っている。


「奴を出せぇ!今日という今日は許さん!!」

死神が城の最も大きな部屋の前に立つ、

「死神様!いけません、そこは!」

天使の制止を振り切り扉を蹴り開けて叫ぶ

「貴様ぁ!また人間を転生させおったなぁ!」


天蓋付きの大きな円形ベッドにごろりと寝転がって気だるげに死神の方に視線を向けるのは超が付くほどの美少女。金髪碧眼、誰がみても美少女というだろう。なぜか下着姿ではあるが…

「おー!しにちゃん!おひさー」

ひらひらと死神に手を降るリラックスしまくりの最高神に対して死神の怒りは最早MAXだ。


「貴様またそんな格好をしおって!貴様は最高神だぞ!?もっと権威とかそういうものをだな…」

「まー、待ちたまえよ、しにちゃん」

ベッドから降りて鈴を鳴らすと、飛んできた天使に対して

「しにちゃんにニージャーを私には砂糖たっぷりのルバーを」

「茶なんぞいらん」

無愛想に呟く死神にどちらの言うことを聞けばいいのか迷う天使

「まーまー、一応持ってきて」

最高神にそう言われ出ていった天使を満足げに見送ってから口を開く

「こういう事だよ」

「なにがだ」

「あの天使は君の言った事より私の言った事を優先した、そして私の格好を注意するものは誰もいない、つまりこの下着姿は私の権力の表れなのだよ」


フフンとドヤ顔をしている最高神に向かって死神は大きく鎌を振りかぶり…

「ふざけるなぁっ!今日は貴様の屁理屈を聞きにきたのではないわ!」

頭をかがめた最高神の首の代わりにベッドの天蓋が吹き飛び余波で壁に大きな傷が付く、

「わー!何をするんだ!ベッドはユグドラシルからの直輸入品だぞ!」


キャンキャン言い続ける最高神の首に鎌を当てる

「おい」

最早怒りがどす黒いオーラとなって揺らめいている死神を見てもまだ最高神は余裕そうな顔を崩さない

「私に傷一つついたら私の親衛隊が飛び込んで来るよ?」

「ハッ、たかが天使どもに俺が止められるとでも?」

「うんうん、でも君もただでは済まないだろ?ここは二人の為に、ね?」


最高神になだめられ死神がゴトンと大鎌を壁に立て掛けた。その直後おそるおそる天使が飲み物を持って入ってくる。

「さ!お茶にしよう!しにちゃん!」


今死神と最高神は丸いテーブルに向かい合って腰かけている。

「少しは落ち着いたかなー?」

最高神の質問にため息を吐きながら死神が答える。

「少し、な。少し」

「そのお面外したら?」

「いやだ」

ぶすっとしたままの死神を見てあきれ顔になる最高神

「相変わらず愛想がないなー、そのお面外さないと話さないよ?」

ニージャー、この世で言うところのコーヒーに近いものを一口飲む死神、

「この面を付けていた方が死神っぽいだろ?」

言いながらも面を外した死神の素顔は銀髪赤眼やはりイケメンと相場が決まっている。


「んで結局なんだっけ?」

最高神が綺麗さっぱり忘れたように聞いてくる。

「はーー…お前また人間を別世界に転生させただろ?」

「あー、はいはいそれねー」

最高神はいつまでたってもお気楽そうだ

「それねーじゃねーよ。お前のおかげで俺がどれだけ困ってると思ってるんだ。」

「例えば?」

最高神の質問に死神が向ける目は最早呆れているとかいうレベルではない。

「あ、やめて、その可哀想な神を見るような目」

テーブルに置かれている鈴をとってまたチリンチリンと鳴らす。

「お、覚えてるし!えーっと…なんか色々と帳じりが合わなくなるんだっけ?」

「正しくは生と死のバランスが崩れるんだよ。」

やって来た天使に今度はお茶菓子を注文する最高神


「おー、偉大なる死神様よーこのあわれな神にお教え下さいー」

「なんかウザいなお前、つまりだ!転生した人間は裁きを受けて天国か地獄に送る事になってんの!そんでまた生まれ変わらせるのが普通なんだよ!」

「そだね、」

「なのに!お前が気まぐれで死んだ奴を別世界になんて送ってしまうから、魂が不自然に一つ消えることになってんだよ!んで送られた別世界には出生不明の謎の魂が唐突に現れる事になる!」

「へぇ~それは大変だぁ~」

天使が持ってきたビスケット状の何かをかじりながら最高神は呟く


「もっと酷いのはお前転生させた奴等にへんな特殊能力与えるだろ!あれで転生した奴等は調子乗って世界征服とか何とか言い出してその世界のパワーバランスが崩壊するんだよ!」

「しにちゃん、これ食べる?」

「あ、うん」

大皿に乗ったビスケット状の何かを死神は受け取る。

「いや、私だってね?好きであんな事してる訳じゃないのよ?」

「ふーん?」

「私が転生させてあげてるのは人生お先真っ暗だったり家族がいなかったり、そういう可哀想な人達なんだよ。全ての人の人生を最終的に+-0にしてあげる。それが最高神たる私の使命ではないかね?」

「笑わせるな、人生+で終わる奴も人生-で終わる奴も山程いるわ、そういう所でもちゃんと世界のバランスを保たないといけないんだよ。」

それに…と死神の話は続く

「お前たまに天才をチート持たせずに転生もしくは転移させたり酷い時は普通の奴にチート持たせずに送り込んでるだろ、あれはなんでだ?」

すると最高神は席を立ち、窓際に寄ると外を眺めてため息をついた。

「あのね…あれはね…その、ね?何て言えばいいのかな…つまり…なんとなく。」

「殺すぞ」

「だっていっつも無双見てるだけじゃつまんないんだもん!努力してる姿も見たいの!」


「結局お前の思いつきじゃねぇか!」

死神が椅子から立ち上がり叫ぶ。

「いやでも今流行ってるんだよ?ほら!」

色々と最高神が出してくる本やら漫画やらを死神は愛用の鎌でたたき斬った。

「私のコレクションがーーーー!?」


死神は立ったまま呟く

「なんでこんな奴が最高神なんだろうとつくづく思うよ…」

「あ、それ私も思う。」

まさかの自分に言われた嫌味に同意してくる最高神

紙切れと化した己のコレクションをかき集めていた最高神がふいに頭を上げた。

「そういえばさ、しにちゃん」

「なんだ。」

「私ちょいちょいゲームの世界に人を送りこむじゃん?あれは魂とかどういう扱いになってんの?」

死神は少し黙考したあとに口を開いた。

「あれは明確に言えばゲームの世界ではないな、送り込んだゲームに限りなく近い別世界に送られているだけだ。」

「なるほど…そういう事…じゃ漫画とかの世界に送り込もうと思ったら、」

「その漫画の世界観に最も近い世界に送り込まれるだろうよ、絶対にやるんじゃねぇぞ」

「ほいほーい」

こいつ、絶対やるわ。という死神の不安は約一週間後的中する事となる。


「転生が駄目なら転移にしようかな~」

最高神はコレクションを回収してから天蓋の取れたベッドに寝転がる。

死神は頭痛がするとでも言うようにこめかみを抑えた。

「転移も転生も同じだ、頼むからこれ以上世界の魂のバランスや幸不幸のバランスを崩さないでくれ」


「しにちゃんはなんでそんなにバランスに拘るの?」

最高神がベッドからピョンと起き上がりながら聞いてくる。

「は?」

「いや、確かに魂のバランスが崩れすぎると世界同士が衝突しあっては崩壊してしまうけどさ、私が送り込んでるのはせいぜい数百、しかもみんなバラバラの別世界に送り込んでる、世界が崩壊する程ではないでしょ?」

「それは俺の仕事が秩序を保つ事だからだ。」

最高神の言葉に死神が食い気味に答える。

「なら私の仕事は人々の理想を叶える事だ。」

「だから人間を別世界に送り込んでいると?彼等がのぞんでいるから?」


「その通り!」

ベッドからピョンと起き上がり、最高神は続ける

「全員が転生したいと考えてる訳じゃない、転生、転移はいわば結果だ、そして結果には原因がある。」

「どういう事だ?」

「逃避さ!今人々が望んでいるのは!自分を縛り付けるつまらない現実から逃げ出したい、それが原因、そして私はそれを受け転生という結果を作り与える。」

「なるほど、」

「そもそも我々は人間の想像力の産物だ、そして人々が神に望むのは勝手なことだが、自分の欲を満たして欲しいという願望に尽きる。」

身振り手振りもまじえながら最高神の話は続く


「さっきも言ったけど人間は我々を恐るべきパワーを持つ自分達の上位的存在として想像し、崇めてきた、それが最近はどうだい?人間は自分達の願い事を叶えてくれる物だと勘違いしている、しかし私はそれに従わなくてはならない、人々の願い事を叶えるのが私の存在意義になってしまったからだ。」

「しにちゃんは良いよ、君の存在意義は昔から変わらない、魂を切り取り、新たな生命として作り変える。君の仕事は変わらないんだ。でも私は違う、人間を作ったのは私だが、私を作ったのは人間だ。私は人間達に恩恵を与える存在ではなく、人間達の願望を叶える存在へと変わってしまった…」

最高神の話を聞き終わると死神はまた骸骨の面を付けて鎌を背負った。

「…悪かったな、お前の事も考えずに…邪魔したな、転生の件だが、善処してみてくれ。」

「うん、それじゃ」


城から出ていく死神の様子を自分の部屋から見ながら最高神は呟いた

「しにちゃん、反省してるかな~、してるだろうな~」

机の上に置いてあるのは嫌がる死神と一緒にとった記念写真だ、

「全く~しにちゃんはチョロいな~、ちょっと重めの雰囲気を出しただけでほだされてくれるなんて…まぁそこが良いところなんだけどね。」

最高神は本棚から異常な程分厚い本を取り出すと適当なページを開いた、

「さーて、次は誰をどこに送ろっかなー」


30日後…

「死神様、来週の刈り取る魂のリストです。」

「ん、ありがとう。」

忙しく仕事に励む死神の元にふよふよと飛んでくる者が居た。

「おーい!しーにちゃーん!」

「!?、何してんだ、こんな所で!」

ぶんぶんと手を降ってくる最高神は死神に抱きつくと

「いやー、だってさー暇なんだもーん」

「俺は暇じゃないの、」

大鎌の柄でどつかれる最高神、もはや威厳も何もあったものではない。

「あ、そうだ、これ見てー」

最高神が出してきた紙には4名の名前が書かれている。

「なんだそれ」

「んふふ、新しく4人転生させちゃった。」

「うわぁ、すごーい。ぶっ殺すぞボケー」


大鎌を滅茶苦茶に振り回す死神に笑いながら逃げる最高神、今日も天界は平和です。

最後まで読んでくださり誠にありがとうございました。読みにくい作品だったと思います、自分でも読みにくい作品だと思いました。もうちょっとギャグテイストに仕上げる感じだったんですけどね~。


感想を下さると作者が喜びのあまり前転をきめます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 最高神としにちゃんの掛け合いが面白い。 [一言] 死神って苦労してますね。
[良い点] 最高神様かわいい(ほっこり)。 死神サンお疲れ様でーす。 読むのにちょうど良い長さの短編ですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ