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恐いんだ

作者: 独身貴族

いやだ

つらくなる

つらい つらい 

つらいから

さけぶ

さけぶさけぶ

さけんでも

さけんでも

さけんでもさけんでも

さけんでも

誰もいない

そこにはただひとり

孤独がひとり

泣いている

それだけ


ここにあるもの

ただ それだけ

ほかは皆無

どれだけ叫んでも

音が遠くなるほど絶叫しても

誰も応えない

空白の時間


その余白が

肩を重くする

倒れこむ

そこにいるのに

誰かがいるのに

何かがあるはず

なのに

通りすぎる存在

避けて 避けて

空気と同じ

背景になる


いつかは自然に

帰るこの身

けれども

まだ

帰るには早い時間

もうすこし

もうすこし

ここにいたいから

だからね

お願い

わたしはここに

わたしはここに

変わらぬままで

います


ひとは苦しみ悲しみ

辛さもみな

それぞれ

それでも

それに大小が

あったとしても

そのひと自身の

感じる痛み

それは多分

おなじ深さ

それに価値をつけ

比べることは

あってはいけない

それは自分を

なだめているだけ


そこで今一度

死を考えてみよう

それは辛いか

それは悲しいか

すべての感情

かくしてきた

そのせなか

かれらは応える

楽になると

死を受けいれれば

なにもかもそこから

なくなるのだから

恐れ

痛み

苦しみ

楽しさ

嬉しさ

そのすべて

一瞬のものになる


(死ねばいいと

殺してやると

いなくなれ 消えれ

それでも

ここにあるものは

ひとり

どこまでも

ひとり

希望がひとつ

夢がひとつ

幸福がひとつ

音をたて

こわれた)


ひとを傷つけ

ひとを苦しめ

そうして

手にするものは

なにか

それまでして

手にするものか

あたたかい

このぬくもり

それこそ

ひとが求めるもの

ひとりになって

ようやく

生きる価値がわかる


言葉は重い

たったの一言

それで

発言も

恐怖も

思い出も

存在も

生きてきた意味も

すべてが

否定される

胸が痛まないか

夜に眠れないか

そうして気づく

一番

なにより怖いのは

人間


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