あなたへの挑戦状
こんにちは、本堂慶介と申します。
留置場からでたばかりですが、大体の流れは秘書冴部紗かゆらより聞きました。
みなさんはこの事件の犯人を突き止めることはできたでしょうか。
ズバリ、言いましょう。
「犯人はこれまでの話の中にいる!」
いなかったら、驚きの展開ですね。あはは。
では、ここで容疑者について振り返ってみようかな。
古賀真平・・・彼はCCD株式会社の社長です。自分で会社お立ち上げて大きくしていたので、被害者楠本祥大を恨んでいました。性格は神経質。犯行時刻には飛行機の中。
冴部紗かゆら・・・第ゼロ秘書。極度の人見知りで、引きこもりだが、圧倒的な手腕を誇ります。何しろ、僕のパソコンにハッキングを仕掛けてくるような武者ですから。自分を働かせてくれている古賀社長に感謝しているようです。二人以上の人間に会えないという精神的疾患を持っていますが、犯行時間にアリバイはないです。妹さんは被害者の婚約者だったそうなので、お気の毒に。
野分達行・・・古賀社長に両親の会社を乗っ取られ、その復讐のために古賀の会社に入り込んだという。しかし、古賀の体のことを心配したりと、優しい面もある。CCD会社の倒産を望んでいる面と倒産してほしくないという気持ちの間で揺れていた。この会社で社長になってもいいと思うくらい愛着がある。犯行時刻は自分の家にいたということでアリバイはない。
西野・・・営業の方で株で失敗した後、楠本はこの人のところに預けられたという。
冴部紗日和・・・大学生。植物が好きで、花言葉などを覚えている。楠本とは婚約していたが、株の失敗については知らなかった。親元を離れ、現在は下宿先で愛犬と暮らしている。親との仲は良好。犯行時刻にアリバイはない。前日に怒った楠本に暴力を振るわれそうになったところを愛犬に助けられている。
これぐらいかな。
はは。だが、僕は推理はしない。
真犯人が見つからなければ、僕はまた留置場に戻ることになるのだろうが、それでも僕はただただ怠惰に日々を過ごそう。
九条君に出会う前の僕に戻ってしまえばいい。
そのころは少なくともこんなにも苦しいことはなかったんだ。
何もかもすべてを受け止めずにひたすら流して来たのだから。
だから、これも本当は挑戦状というよりもブレイクタイム。
僕と一緒に考えるのを放棄しませんか? というお誘いでした。
もう行ってしまわれるようですが、またよければお会いしましょう。