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あにまる!  作者: 璃乃
1/1

あにまる! Ⅰ


1* わたしの秘密



「優那-??

 何やってんのー?」

「未歩っ…。ちょっと待って!!

 こっち来ないでぇーっ!!!」


間一髪。未歩に見つからないで済んだ。


「何やってたの…って…優那!?」

「ふぇ?」

「目赤いよっ!?」


しまった!!未歩に見られてしまった…。

中学校に入って2年間、ずっと隠してきたけど…ここは言うべきみたいだ…。


「あのね…。実はー…。」


私は、この家に代々続いている『うさぎ族』なんです。

見た目は普通の人間なんだけど…覚醒すると耳とかしっぽが出てきたり

目が少し赤くなったりしちゃうんです。

ジャンプ力が優れているのはけっこう便利なんだけどね。


私も9歳までは普通の人間で、そんなこと全く知らなかったのに…。

うさぎ族は、10歳の誕生日に覚醒して お母様に全てを聞きました。

お父様は普通の人間。優しくて、強い自慢のお父様です!


他にも、『ねこ族』 『へび族』 『ねずみ族』がいると聞いたんだけど

まだ会ったことはないですね…。


「ーーだいたいこうゆうことです…。

 黙っててごめんなさいっ!!」

「…へぇ…。うさぎ族…。」

「っ!!本当ごめんってば!!というか信じてくれる!?」

「信じるよ…。……じゃぁ、塾あるから…行くねっ」

「え…。うん…。また明日ね…!」


未歩は走って行ってしまった。なんだか悪いことをしたなぁ…。



ー次の日-


「優那!!おはよう!!」


良かった…。いつも通りだ…。


「おはよう!今日は何か寒いねー。」


今日は本当にいつもにまして寒い。水たまりに氷が張っていた。

下ばっかり見て歩いてたら、誰かにぶつかりそうになってしまった…。顔を上げると


「坂下くんっ」

「ん。優那か。おはよ-。」

「おはようっ!どうしたの?今日は遅いんだね。」

「あぁ、ちょっと寝過ごしてしまってな…。」

「坂下くんが!?珍しいねぇ。」

「はははっ。」

「何笑ってんのよ!未歩!」


未歩が小声で笑いながら言ってきた。

「優那…。坂下くん好きなんでしょ!ばればれだよっ。耳でてきちゃうんじゃないのぉ?」

「っな…/// そんなんじゃないし!!全然!!」


そんなことを話してるうちに坂下くんは走っていってしまった…。

好きじゃないなんて言ったけど、本当は入学したときからずっと坂下くんに憧れてたのだ…。

未歩も侮れない子だなぁ…。

秘密がたくさんばれてしまった…。


「ゆーうーなーっ!おはようー!」


げ。もたもたしてたら慶吾が来てしまった。

よく分からないけれど…2年になったときから私にくっついてくる。

周りには、私と慶吾が付き合ってる、なんて勘違いしてる人もたくさんいるから正直迷惑だ…。


「おはよう…。 きゃっ!あまり近づかないでって言ってるじゃんっ!!」

「いいじゃん♪それにさ…。」

「よくないわよっ!何よ!!」


「…俺…へび族なんだよ。昨日聞いちゃったんだけど、お前…うさぎ族だろ…。」

「っ…。」

嘘!聞かれてた!?…というか、へび族なんて…。初めて見た…。

「本当…?」

「あぁ。」



「…どしたの?」

「未歩!ごめんごめん!何でもないから!早く行こっ。」

私たちは慶吾を置いて走り出した。へび族なんて怖そうな奴にかまってられないっ。

遅刻ぎりぎりで授業に間に合った…。


「はぁ~。危なかったね。」

「うん。間に合って良かった~。…ねぇ、優那。」

「ん?どしたの?」

「私…いや、慶吾くん何て言ってたの?」

「んー…。慶吾ね、へび族なんだって。」


未歩になら言っても大丈夫だろう…。未歩は一番信頼できる親友だから。

「えっ。そうなんだぁ。だから優那に近づいてくるんだね。」

「そうかもねぇ…。」


未歩とこんな会話をしたくらいで今日1日普通に過ぎていった。


「…帰ろっか。未歩。」

「うん!今日は見たいテレビたくさんあるし!」


外に出ると雪が降っていた。

「わぁ、どおりで今日は寒いと思ったぁ。」


今シーズン初めての雪。見てるとなんだか寂しくなるのは私だけだろうか…。

こんなにも綺麗な雪なのに…。なんだか少し嫌な予感がした。

そんなとき、誰かが後ろから私を抱きしめてきた。

「きゃぁっ!誰!?」

一瞬見えた未歩の顔がとても悲しそうに見えた。

「…!?」

「俺だよ。」

「慶吾!?」

あれ!?体が動かない…!?声も出ない…!!

「優那…。俺は本気でお前が好きなんだ。俺のこと少しは考えろよ…。」

慶吾なんてずっとふざけているんだろうと思ってた…。

でも…私が好きなのはー…!?

慶吾は私にキスをするつもりらしい。体が動かなくて抵抗できない…!!

「や…やめてよぉっ!!!!」

未歩!?

「優那…。優那には好きな人がいるでしょう!?どうして抵抗しないの!?」

あぁ、そっか…。未歩は慶吾が好きだったんだ…。そんなこと全然気付かなかった…。

「違うのっ…。」

声が出る。体も動けるようになった…。

「何が違うのよ…!!」

説得しようと未歩を見た。

「…未歩…!?」


…未歩には猫の耳としっぽ、ひげが生えていたー…

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