第1章:最初の狩りは予想外だった
初めまして。
アクションと冒険を中心とした物語です。
楽しんでいただけたら嬉しいです。
魔物――それは世界を彷徨う災厄。
疫病のように広がり、目に映るものすべてを破壊する存在だ。
古い書物にはこう記されている。
魔物とは、歪んだ魔力と呪いから生まれたもの。
その姿は定まらず、想像を超える形を取ることもある。
バードや街の語り部たちは、酒場や広場で歌い、語った。
英雄たちの武勇。
狩人たちが巨大な獣や災厄に挑む物語を。
「すげえ……!」
そう叫ぶのは、いつも子供たちだった。
「俺が次の英雄狩人になるんだ!」
「はははは!」
――俺も、そう思っていた。
子供の頃は。
だが今、俺は現実の冒険の中にいる。
狩人としての、最初の一歩だ。
「くそ、くそ、くそっ!」
「こんなの聞いてないぞ!」
これが、俺の思い描いていた初めての狩りじゃない。
相手は変異したイノシシ。
大きくて、力が強いだけ――そう思っていた。
だが現実は違った。
この短剣じゃ、あの分厚い皮には歯が立たない。
まるで、パンにバターを塗るみたいなものだ。
「なんでまだ追ってくるんだよ!」
「このまま坂を下り続けたら、絶対に転ぶ!」
装備は少ない。
短剣、ロープ、そして少量の薬草だけ。
……考えろ。
――ひとつ、思いついた。
うまくいくことを祈るしかない。
走りながら短剣にロープを結ぶ。
簡単な作業じゃない。
木はある。
高くはないが、使えないわけじゃない。
「もう少し……」
「――あそこだ!」
ここまで来たら、やるしかない。
「行くぞ!」
「グオオオッ!」
ロープを結んだ短剣を、木の幹へ投げつける。
頭の中は、ただ一つ――高鳴る鼓動だけ。
崖の端が近づく。
イノシシは勢いのまま突っ込んでいった。
「グルル……!」
今だ。
ロープの反動を利用し、俺は宙を舞う。
そして――
「お前は、もう逃げられない!」
落下の衝撃で怯んだ獣の頭へ、渾身の一突き。
確かな手応えがあった。
成功だ。
だが、脚が痛む。
着地の衝撃は想像以上だった。
「……はは、やばいな」
「でも、最高だろ」
地形を事前に把握していなければ、無理だった。
坂と崖――すべてが噛み合った結果だ。
それでも、この魔物の皮と頭骨は異常に硬い。
真正面からじゃ、まず勝てなかっただろう。
……剣が必要だな。
このイノシシの皮と牙を売れば、
新しい装備くらいは揃えられるはずだ。
「よし……」
「次は、ちゃんと準備してやる」
――さあ、解析の時間だ。
読んでいただきありがとうございます。
次話も近いうちに投稿予定です。
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