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第5話 白黒日記①


赤井さんと買い物に行った時に勧められたから日記を書くことにする。


彼女は日記を書いて日々の思い出を記録しているらしい。最近の女子高生にしては珍しい方かも。日記なんて小学生以来かな。


最初は気が進まないなぁと思っていたけど意外と書き始めると楽しいかも。

なんだか誰かと秘密の共有をしてるみたいだ。


記念すべき最初の1回だし、色々と書いてみることとする。そうだなぁ、まずは転校してきたことかな。


この時期に転校するのすごく嫌だった。いくら両親の仕事の都合とはいえ、5月のゴールデンウィーク明けはだるすぎる。グループとかも出来上がってるし、めんどくさいなぁなんて思ってた。


まぁ、持ち前のコミュ力と清楚な私を演じることで難なくこなせたけどね。一人一人あいさつをしていると一人変な子がいた。彼は灰原千尋という男の子だ。


男子は私に好意的、というか好きって気持ちが先行してるけど、この子は全くの無だった。嫌いなのかなって思ったけどそうじゃなかった。どちらでもない。灰原くん風にいうなら”普通”ってやつだ。


普通に挨拶をこなして普通にクラスメイトとして過ごす。ゲームならモブって言われるタイプなのだろうけど私はそんな灰原くんが気になった。


灰原くんは普通でいることに芯を持った人だと思う。何が灰原くんを普通たらしめるのか、すごく興味深い。


それと!大事なことを忘れてた!

灰原くんと仲良くなる?きっかけの出来事!


あれには正直驚いちゃった。私がニンニクマシマシのガーリックピザでニヤけてたのは清楚な女の子として大変よろしくないよね。それは反省。


でも灰原くんも同じマンションの同じフロア、ましてやお隣さんだなんて思ってもみなかった。

普通じゃありえないことだししょうがないよね。


灰原くんは私と目が合うと、サッと目を逸らして、まるで見てはいけないものを見てしまったーって顔してんの。

バレバレだし、ちょっとどういうことーって感じ。


万が一に備えて口止めしとこうと思ったけど、灰原くんはそういう人ではなかった。普通に優しく、普通にちゃんとしてる人だ。


なんだかちょっとその普通を壊してみたくなった。


だから私は朝から灰原くんの家に凸してみた。

灰原くんのお母さんは目をまん丸くして驚いてた。「千尋にこんな可愛い友達なんていたからしら」って。清楚な私は世間体がよく、世渡り上手だと思う。色々説明すると納得して貰えた。なんだかちょっと騙してるみたいで罪悪感を感じた。


灰原くんのお母さんは朝ご飯を私にも用意してくれた。久しぶりの手作りご飯。なんだか心がポカポカと満たされていく感じがした。


私が朝ごはんを食べてたら寝起きの彼はほっぺをつねって夢じゃないか確認してた。それも頬が赤くなるまで。今思い返しても面白い。記念すべき灰原くんの普通を壊した日だ。


それから彼に案内される形でショッピングへ。

そこで赤井凛さんと偶然であった。赤井さんは元気いっぱいって感じのスポーツウーマン。彼女は少し抜けてて、でもそこが逆に可愛らしい。


彼女もまた芯を持った人だと思う。赤井さんは灰原くんと幼なじみらしいから今度灰原くんの弱みでも聞いてみよう。恥じらう彼もみれるかも!


夕方にはゲームを買いに行った。

灰原くんとゲーム、キメハンをする約束をした。ちょっと恥ずかしかったけど私から誘ってみた。もしかしたら断られるかもって思ったけど灰原くんはすんなり了承した。


狩友ってやつだ。実はちょっと憧れてた。

私はプライベート用LINEを灰原くんと交換した。

彼とはもっと仲良くなれそうな気がする。


偽りのない本当の私で。


インターホンが鳴ってるし、今日はここまでにしておく。私、なにか頼んだかしら?

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