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やんちゃな猫を助けたら、巻き込まれて異世界に来たけど、帰る条件が"恋"ってどういうことですか!?(まきこい!)  作者: 麒麟
第3章 風の吹くままに~冒険者ナツキ

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第36話 罠にははまってみる…?

王属親衛隊副隊長が然も高ランク冒険者のようないでたちで声を響かせていた。

王都を離れているとはいえ、顔を知っている者もいるだろうに…なかなか勇気のあることだ。

いや、もしかすると…ナツキは懸命に話しているだろう話を右から左へと流しながら思考を巡らせた。

この地に罠が仕掛けられていたことは間違いない。

主にはスタンビートと勘違いさせるために魔物を呼び寄せるためのものだった。

それらを無力化することは大したことではない。

ただ広範囲にされると、そのひとつひとつをつぶして回るのは手間だった。

だとしたら、烏合の衆が集まっている区間に入れなければ問題は先送りにできた。

腐っても冒険者だ。多勢で攻め込まれない限りは対処できるだろう。

もしも対処できないのなら、ギルド支部が故意に依頼受注を受けたことになるだろう。

いかに初球のダンジョンとはいえ。

【ポポ…さっきの魔法陣は…何の?】

【餌だな】

【餌?】

【どっちが餌になるかは知らないが…】

【……むかつくんですけど】

【俺に言ったところで…な】

ポポは苦笑しながら、プイっと横を見た。

初心者パーティは明らかに不安の色が隠せないでいる。

ダンジョンに潜るのはいつのときでも一獲千金を夢見ている。

果たすことのできない夢…そう揶揄する人もいる。確かに天秤にかけるのは自分の命だ。

初心者冒険者の3割は最初の冒険で今後を見返すといわれている。つまり、命あっての物種…と。

冷たいようだが、その選択肢は何年冒険者も続けていても付きまとうらしい。

確かに…一度に高額が入る。でも、それは成功した者だけのことだ。

生きて帰れたものだけが…大金を手にすることになる。

残念なことに、それを手にすることができない者のほうが多い。

それでも冒険者として生計を成り立てていくしかない者もいる。

一人でも多く、命を落とさないように…

冒険者ギルドはそう願って、後進の育成をしているのに…

ポポが、ナツキの頭をポンポンと叩いた。

「何?」

「殺気漏れてる」

「えっ…やる気じゃなくて?」

「めちゃくちゃ殺気、それで殺せそうなくらい…びゅ~っという感じでアイツに伸びてるよ」

「マジ?」

ナツキは答えながら副隊長から目を離さなかった。


副隊長の号令をまって、ダンジョン近くのパーティーが入っていった。

ダンジョン内は治外法権だ。生き残った者だけが勝者になる。それは平民も王族も関係のない秩序だ。

つまりそこにあるのは、いくつもの殺し合いだ。

人と人が殺しあわない。という暗黙のルールはある。

でも、その保証は実はない。

実際に暗殺ギルドが暗躍することもあるし、つまらない嫉妬に殺しをする者もいる。

年を取るほどに、若者に嫉妬し、己の能力を勘違いする。

できもしないことを「できる」と言って、できないことを隠すために殺しをする。

それはどこの時代でも、どこの世界でも変わらないのかもしれない。

そんなことを考えながら、ナツキは、副隊長を眺めていた。

彼はどうやらダンジョンには入らないようだ。

つまり、そこに罠があるということだろう。

わかりやすくて、何というか悲しくなってくる。

次の一陣が入っていく。

どうやらレベル階層毎に侵入を許可しているようだ。

最初に入ったパーティーがボスを攻略しない限り後で入った低レベルパーティーは経験値と小銭稼ぐことができる。

それにしても…

毎回、思うことだが、魔物の数は出る場所で決まっているのはなぜだろう。

時間がたてば復活もする。倒したあとに残る魔石も同じように残る。

その魔石を売ることで冒険者は生計を立てる。

「おい…いいのか?」

ポポがナツキのつま先をトントンと踏む。

「止めても、隙を見つけたら入ろうとするわ」

「…クール気取っている?」

「……迷っては…いるかな」

ナツキはダンジョンの入り口で様子を見ている少年たちのグループを見ていた。

5~6歳というところだろうか。装備からして、ギルドに所属しているとは思えない。

どこか近くの町のスラムの住民か、もしくは……

いや詮索しても始まらない。彼らは、彼らで生きる糧として、冒険者がこぼする魔石を狙っている。

戦闘が激しくなると、どうしても取りこぼしが出てくる。

特に多くの冒険者が投入されていれば、中での混乱は予測するまでもなく…だった。

これもこの世界の現実だった。

「行きましょうか」

「…優しさを捨てきれないのは…ナツキの弱点だな」

ポポは、本来の大きさに戻りながらナツキの横を歩きながら言う。

急に現れた魔獣に冒険者たちがたじろいでいた。

「……そうね。私、器用じゃないから」

「いいわけ…」

ポポがクイッと音を立てるように首を動かしナツキをみた。

ポポを殴り飛ばそうか…そんなことを思いつつもナツキはため息つく。

「それで救える命があるなら、弱点でもいい」


ナツキはダンジョンの入り口で足を止めた。

副隊長を一瞥して会釈をする。

副隊長の怪訝そうな視線を完全に無視をして子供たちの方を見た。

【仕方ない…か…】

ポポは、大いに面倒くさそうに呟き、子供たち方へと向かって一飛びした。

ガァルルルルッ!

【がんばって】

【他人事かよ!】

【あ、じゃあ、あたしのために!】


ダンジョン内部へ足を踏み入れたナツキを待っていたのは、先ほど話しかけてきたパーティーだった。

「どうしたの?」

「…一緒に行っても…」

「いいけど…助けれるとは限らないよ」

「………」

「聖女様の悪戯一杯のようだからね」

「えっ?」

「何でもない。私より前に出ないでね」

ナツキは苦笑いを残してうす暗いダンジョンの先を見た。

入口はおなじみの構造のはずだったが、奥へ進むにつれ明らかな違和感が広がっていく。

空間の広がりが不規則で、以前にはなかった迷路のような分岐が出現していた。

元々は洞窟系の階層を下がっていくダンジョン。

【ん? これ擬似転移型…】

【なに急に、テレパ…そうだったね…で、それなに?】

ナツキは足を止めたポポの後ろに立ち、周りの様子を確認するように見た。

【魔力迷彩構造…こんなことができるのは…王家お抱えの魔導士団だろうな】

ポポはため息をついた。

この程度のことでナツキが止められるなら、レオンは苦労していないだろう。

シーナもジーンもプライドが砕かれることもなかっただろう。

正直、サラスも動揺して変なことばかりしなかっただろう。

規格外というにもほどがある。

チートというほどのスキルもないのに創意工夫が予定の斜め上を行く存在を舐めすぎた。

【どうしたの? ポポ】

【聖女も…この国の王も神を敵に回したいのかね】

【女神さまは出し抜けるつもりなのかもね】

【! それ本気でやばいから】

【出し抜けそうだもんね】

【結構落ち込むからやめとけ】

ポポは、仕掛けられている魔法陣の一つに目を向けた。

仕掛けられているのは、疑似転移型。対象がこぼす魔力を利用して発動させるしかけで、魔力が少ないものだと転送の衝撃に耐えることもできない。といっても死ぬわけではなく、魔力枯渇を起こし動けなくなるだけだが…。

その存在を周りの景色に溶け込ませるために施されているのが魔力迷彩構造術式だった。

魔法使いや魔導士なら見つけてしまう恐れのある魔方陣を隠ぺいするために使っているのは、魔物が出てくるゲートになっているからだろう。それも一方通行のゲート。問題はこれを破壊することで入り口が壊せるかどうかだった。

たぶん、ナツキに相談したら、「とりあえず」と言いながら壊しそうだ。

それにしても、面倒なことをしてくれる。

魔物が出る場所に仕掛けられた罠。

ただ通りかかったら、知らないうちに転送させられる。

そして、パニックを起こして…暴れだす。暴れることができるのはそれなりに魔力を持ち合わせている。

例外はスライムだろう。弱い魔物とされているが、それは個体の話。集まれば……それなりに強い。俺には劣るがと、ポポは苦笑する。

【ニヤついて気持ち悪いよ、ポポ】

【…まじか】

【わかるわけないじゃん。黒一色の癖に。で、どうする?】

【ここに仕掛けられている迷彩構造だけでも壊せれば…スタンビートの真似事はふせげるかもな】


基本的に 水曜日更新の のんびり進んでいきます。

ご意見、ご要望あればうれしいです。

アイデアは随時…物語に加えていければと考えています。


※誤字脱字の報告・?の連絡ありがとうございます。

 慌て者につきご容赦いただけるとゆっくりですが成長していきます。

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