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やんちゃな猫を助けたら、巻き込まれて異世界に来たけど、帰る条件が"恋"ってどういうことですか!?(まきこい!)  作者: 麒麟
第3章 風の吹くままに~冒険者ナツキ

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冒険者

森の入り口付近。

ひとりの新人冒険者が、うずくまって泣きそうな顔をしていた。

「足、ひねったの? 動かせそう?」

菜月はその子の隣にしゃがみ込み、やさしく声をかけた。

「……薬草……全然集められなくて、ポーションも切れて……」

その子の目には涙が浮かんでいた。

ギルドの規定では、10歳から登録できる。

もちろん保護者の承諾や諸条件がある。けれど、そんな余裕がない子供も多い。特に貧民街に生まれたら――選べる道なんて最初からない。もちろん諸条件はある。

それでも、冒険者でなければ生きていけない人もいる。特に貧困街に生まれたら。

満足な教育もなければ、安全な仕事に就くこともできない。

多少の危険は織り込み済みで、冒険者家業に足を踏み入れる。

そんな小さな命を菜月は何度も見てきた。

才能があろうとも、そのスキルが開花するまでのタイムラグで命を落とすこともある。

誰もが、冒険者として生きているわけではないのも現実だ。

ギルドには初級冒険者向けの教室があるが、そこで悠長に通っている暇がある者はは少ない。

だからこそ、幼いながらに冒険者になっている。

彼もその一人だろう。周りに人がいないところを見ると単独アタックということになる。

戦闘を伴わない依頼は、単独アタックが認められている。そこに年齢制限はない。

少しだけ戦闘スキルは必要とされているが…


この一年、いくつものダンジョンに入ってきた。

多くの命が散るのも見てきた。

ダンジョンの魔物があふれ出すスタンピードも経験した。

当然ながら、いくつもの命が消えていくのを見てきた。

小説やゲームの世界で見られた命の保証はここにはない。

失われた命は、ここでは戻ってこない。

一度きりの命だからこそ、きらめきを燃やすことができるのだろう。

一攫千金を夢見る以上、それなりのリスクは背負うことになる。

単独で推奨されないダンジョン攻略やモンスター討伐も普通に存在する。

レオンに一定の制限を提案しても、それが現実化できないほどに貧困は王都の闇の中であふれている。

生きるために…それだけのために命を懸けている。

生かすために…命を懸ける者もいるのだろう。

自己責任というには、あまりにも過酷な背金を押し付けられている。

でも、助けることだけでは意味がない。

その先に続ける何かをみつけることができなければ、ただ延命をしただけに過ぎない。

この少年に至っても同じだろう。

助けることはできる。でも…

そこには「でも」が付きまとう。

いつも助けてもらえると限らない。

助けたふりをして搾取するものもいる。

騙すことも、騙されることも、どちらも罪だ。

無知という罪が、最後に対価を払わせるとき、そこに訪れるのは死だ。

それを気軽に理不尽と呼ぶ者もいる。

生きるための努力をしている者の苦悩にすら目を向けず、のうのうと嘯いて生きる者たち。

どこの世界にも理不尽を嘲笑う者たちがいる。努力も知らず、安全圏から石を投げるだけの存在。どこの世界にも、若さや無知を食い物にする者はいるのだ。

この少年の背とお腹にある傷がそれを知らせている。

だからといってどうすることもできない。

少年の腕についているのは『奴隷の印』。誰かの所有物ということになる。

菜月は、周囲を見渡した。

草むらから、大人の足が一本だけ飛び出している。

何があったのかは、衛兵の仕事か…と小さくため息をついた。

「あ、あのぅ、僕…」

菜月の視線に気づき、少年は、慌てて言い訳を探している。

素直に考えれば、この少年は、あの大人の死には関係していないだろう。

「落ち着いて…何があったか教えてくれる?」

少年は静かに頷いた。

「ヒーリング」

菜月が少年に手を翳すと、傷ついた個所に光の粒子が集まっていく。


「これで、君は大丈夫」

「…えっ?」

「あの人は知り合い?」

「一緒にぼ…」

少年の言葉を遮るように菜月と少年の間に弓矢が飛んできた。明らかに少年を狙った軌道で。

それを蚊でも叩き落すように菜月の手刀が動いた。

「トラブルあった?」

「…わ、わかんない」

「そう。走れるけど、ここで待っている?」

少年はいまにも泣きだしそうな表情で頷いた。


「さて、と」

菜月は、少年の元に戻ると、途中で積んできた薬草を少年に渡した。

「たりる?」

少年は、目を見開き驚きながらも何度も頷いた。

「とった薬草を見せてくれる?」

少年は、カバンの中に押し込んだ薬草を取り出した。

乱暴にいれていたせいかクシャクシャになっている。

それを菜月は受け取り、男の傍に転がていた空き瓶を少年に差し出し「もっていてくれる?」と。

「クリエーション」

菜月の声に反応するように薬草は光の球体に包まれた。

ふわりと浮かび上がる光の粒子が薬草と混ざり合い、淡い紫の液体を小瓶の中に注いでいく。

「ポーション。とりあえずこれを持っていて」

「……え? いま、目の前で……ポーションが……」

少年は、信じられないものを見るように、ぽかんと口を開けた

「帰るにしても、また何かあったら困るからね。でも、まっすぐに街に帰りなよ」

「あ、うん……ありがとう」

菜月は、少年の背を見送った。

「ちょっと、この荷物どうする気?」

ジーンが、菜月に託された大柄な男を縛り終え声をかけた。

「衛兵に声をかけるだけ」

「…連れて行かないのね」

「だって…重そうだし、臭そう」

「…その臭そうなの、私に拘束させるとか、ちょっとどういうつもりよ?」

「ジーンさんなら、平気かなって」

「はぁ…あんたって子は、もう……まぁいいけど、それにしても見事な手際ね」

「ん? 何が?」

「さっきの紫の液体」

「ああ~ポーションね」

「……もう一度」

「ポーション?」

「どうやって?」

「え、普通の錬金術……で?」

「ち、ちがうからね!」

後ろから追いついてきたシーナが、半ば呆れ顔で肩をすくめた。

「……菜月、また人の常識壊してるよ」

ここから書き足しにになっていきます 笑

ここまでは コラボ企画に乗る形で一気に

書きだしたので この先は気が向いたら

アドバイス 提案 いただけましたら

物語は厚みと幅が広がります 笑


火曜・金曜掲載を目指します


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