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やんちゃな猫を助けたら、巻き込まれて異世界に来たけど、帰る条件が"恋"ってどういうことですか!?(まきこい!)  作者: 麒麟
第2章 勇者は召喚後がいそがしい

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勇者になっちゃった…

カードの光は収束し、宙空にその内容を映し出す。

「…え、ちょっと待って、これどういうこと?」

ルシアナは、珍しく慌ててカードに駆け寄った。

宙空に映し出されている光の文字を目で追いなおした。


「へ〜」

菜月は素直に感嘆の声を漏らした。

目の高さくらいの空間にみど色の光の文字が浮いている。

レオンの様子からすると見えていないのだろう。

つまり、術者と本人にしか見えない。聖女が偽りを口にすれば…

【菜月……無茶するよな】

【どうして?】

【職業カテゴリー】

【それが?】

【……気付けよ】

ポポは、呆れながら菜月の頭の上に顎を乗せるように移動をした。

「あっ…」

「どうかしましたか?」

レオンが菜月の方を見た。

【莫迦】

【仕方ないでしょ】

「いえ、特には…レオンには見えない?」

「何をです?」

菜月は、ルシアナの方を指差した…

「あ、異世界人のステータスの確認ですね。私はカードを介してみることができますが、それもギルドにある魔道具と同じ物があってこそですね。残念ですが、あれは、聖女の能力…スキルです」

レオンは、本当に口惜しそうに言う。

その能力だけで、ルシアナが聖女だと証明される。神託を受けるまでもなく。

王族であろうとも、職業カテゴリーを知るためには、神託を受ける必要がある。

スキルカードを作る必要はなくても、適材適所に配置するためには必要なことだった。全ては万人に「流石、イグレイン王家の」と言わせるために。そのつまらない行為すら虫唾が走るのだが。

「お顔に苛立ちが出ていますよ」

「えっ?」

「お似合いとは.言えませんね」

菜月は、クスリと微笑んだ。


「この者は庶民です」

ルシアナは、声高々に宣言をした。

庶民。武道にも、魔道にも、畜産や農業にも適性のない守られるだけの存在。

いわゆるハズレ適性。

シン王から落胆とともに舌打ちが漏れた。

その隣で幸太郎が「よし!」と言わんばかりにガッツポーズをする。

どうやら、対象者にも見えないようだ。菜月は苦笑を漏らした。

「何を隠している?」

レオンは、静かな口調でルシアナの異変をついた。

ルシアナは、良い言い方をすれば素直だ。独善的な思い込みがあるだけで。

きっと勇者に、霜山幸太郎に恋しているだろう。何かしらの勘違いとともに。

「な、何をいっているの?」

「仮にここで誤魔化したところで、異界に招いた人を何の手段も講じずに街に降ろすようなjことがあれば、彼女の生きる術は冒険者だろう。その時に、そのスキルカードに転写された内容は白日の元にさらされる。その時、我が家にとって不利益は生じないのだろうな」

レオンは淡々と言った。

過去にも似たことがあったのかもしれないと菜月は溜息をついた。

つくづく皇子殿下の気苦労に同情したくなる。

もっとも正直なところ、城から無事に出られればそれでいい。それ以上を求めるのは面倒なだけだ、きっと。

それなのに…見て見ぬふりをするのが嫌だった。

「(仕方ないか…)、庶民でつくことのできる仕事はありますか?」

菜月は、シンに視線を向けて尋ねた。

「庶民とは、我が国の財産だ。望む職業であれば、何を生業にしても構わない」

「それは冒険者をしても構わないと言うことです華?」

「無論だ。ただし冒険者に必要な技能習得には並々ならぬ努力を必要とする。『職業カテゴリー』とは、それに付帯するスキルの習得しやすさだと思えば良いが、庶民には専門スキルというものが存在しない。だから……何者になれるし、何者にもなれないと言える」

「…だから冒険者にしかなれない、ということですね」

菜月は静かに言いながら、シンの見下すような態度に小さくため息を漏らした。

一国の王の器だとははとても思えないほど浅はかな、バカボンに感じられた。

「とりあえず、私はどうすれば」

菜月は、レオンの背にそっと触れた。

レオンが何を得ようとしているのかは解らない。でも、悪いようにしないと感じれた。

「何をするにしても、街に降りるのならば、冒険者として仕事を得る必要があります」

レオンは、菜月の顔を見ながら静かに言った。

振り返るようにして、シンへと視線をながした。

「呼び出したかが、利用価値もないから、何も与えずに放り出す。そんな愚かな選択はなされまい」


シンは溜息をつきながら、ルシアナを見た。

姉弟の軋轢など見たくもない。だが、聖女を蔑ろにするわけにはいかない。

必然的にルシアナの肩を持つようになてしまう。

そのことがレオンは面白くないのだろう。

召喚の義をのぞけば、国のことを憂う若き皇帝の態度とは思えないが、これも親としての不甲斐なさなのだろう。

レオンの望みは、巻き込まれた異界人にそれなりに礼を尽くせということだ。

何の価値もないもないのに。

「隠していることを述べよ。冒険者ギルドから問題が舞い込むのはお断りだ」

「お父様」

「王と呼べ。公式の場だ」

「……偽りなく『庶民』でございます。ただ、勇者になりうる器なのかもしれません」

「何を言っておる?」

「勇者レベル、そうとも記載されています。これまでの観点かを踏まえても、初めて見ます…文献にも」

ルシアナの声は段々と小さくなっていった…


【こうなるよね】

【そうなの?】

【勇者レベルって何?】

【勇者くらい強い…とか】

【隠匿している最中に余計なことを考えるから】

ポポは、溜息まじりにいう。

ただ何を言ったところで、すでにことは動いているのだから。

【まぁ…後でサラスに声をかけておくよ】

【…面倒ごとを増やした?】

【たぶんに】


「異世界より招いた勇者殿、貴殿には勇者になりうる可能性があるようだ。ただ、女性に戦場に行けというのは私としても、非常に心苦しい。そこで、だ」

シンは、そこで言葉を区切り、ゆっくりと部屋の中央へと足を進める。

「どうだろか、少し城で休んでから、この世界での訓練を始めては?」

「間違いとわかったのなら、すぐに返してくれないの?」

菜月はしれっと無理なことを聞いてみる。

「本来なら、我が国の優秀な神官が元の世界に戻す準備をするところなのだが、此度の勇者殿は潜在値が高く多くの神官のマナを必要とした。そのため、すぐに、というわけにはいかない。準備が出来次第、元の世界へと戻れるように手配しよう」

「え、その時は俺も」と幸太郎が我関せずの顔をしていたのに慌てて声を上げた。

「勇者殿には魔王討伐の役がある」

「じゃあ、その後に返してくれる、と」

「無論だ。魔王討伐を果たした折りには、願いを叶えよう」

シンは、オーバーリアクションをつけながら、召喚の魔法陣が描かれていた辺りで演説をした。

シンが高らかに演説するのをよそに、レオンは小さく舌打ちし、視線をそらした。

菜月には、それだけで十分に不快感が伝わった。

「ま、待ってください、王」

「なんだね、聖女よ」

「これは、勇者の予備を示すのでは?」

「…となれば、魔王討伐までは留まってもらうしか…」


【待って、私、勇者?】

【まぁ、そう名乗ったし】

【ポポ…どうにか】

【無理だな】

ポポは大きな欠伸をして、ぽてんと菜月の頭の上に顎を落とした。

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