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最強最悪の魔王様が恋に目覚めただってぇぇぇ!?  作者: 二野 二条
《第1章》『ファーストラブ』
3/5

3.魔王様は決心


 『シスターは生涯結婚してはならない』


 聖典にはそのような教えがあります。

神に使える身として、その存在は常に神の元に有らなければならないからです。


……そう、頭では分かってはいるはずなのに。


 「あぁ、神様……」


 私はいつも彼のことが忘れられないのです。

この気持ちは抑えないと行けないと、何度も心を抑えつけようとしました。


 だけれども、もうどうしよも無いのです。


抑えれば抑えるほど、彼への想いはさらに強くなる一方で。


「…………一体私は、この想いをどうすれば良いのでしょうか?」


私は、嘆かずにはいられないのです。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ペラリ。ペラリ。ペラリ。……


一枚、また一枚と本をめくる音が、静かな室内に響く。


 魔王シュレイは時間を忘れ、本に読み耽っている。



 それは、恋をしてはならぬ聖女様の、禁断の愛の物語だった。


 ある日、教えに従順な聖女であった彼女は一人の青年に出会う。


彼は虚ろな目をしながら教会へと入って来て、なにやら心に深い傷を負っているように見えた。


だから彼女は、神の遣いとして悩める彼を救うために話を伺った。


 それが彼との出会いだった。


事情を聞くと、彼の妹が不慮の事故で亡くなってしまったらしい。


その後、娘の死を嘆いて母親までもこの世を後にしてしまい、彼は生きる意味を見失ってしまった。


 それから毎日、彼の心の傷を癒すために彼女は尽くした。


初めは茫然としていた彼の様子も、段々と、ほんの少しずつ、笑顔を見せることが増えていった。


 しかし、それに比例して彼女の心の内も、

少しずつ変わっていくのである…………





「ふぅ……」


 そう一息つくと、いつの間にか読み初めてから4時間近く経っているようだった。


そして、魔王の目にはうっすらと涙の跡が。


 魔王は手にもっていた本を横の机に置いて、何かを決心したような顔で立ち上がる。


 「よし!我は決めたぞ!」


……はて、何をだろうか。



「我も、恋とやらをしてみようではないか!」


 !?!?!?!?


「おい、レイン。聞こえているか?」


 すると、一欠片の闇が中空に浮かび急激に人の形へと成した。


 「お呼びですか、魔王様」


 「国中の選りすぐりの雌どもを、早急に我が元へ召集しろ!」


 「承知致しました」


レインはさも予想していたかのように、魔王の要求にクールに応えていた。


……それでいいのか?魔王様……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「魔王様。総勢121名から特に優れていると判断した25名程の人物を、此方へお呼びいたしました」


 「ほう、もうできたのか。……さぁて、どのような雌が来ておるのか、楽しみであるな!」


 「ふふ。それでは一人ずつお呼びしますね」


魔王の発言を聞いて、レインは微笑みながらそう応える。


 

「それではアリシェル嬢、お入り下さい」



 (まずは一人目であるな……。どのような雌だろうか?

……くっくっく、あの物語の聖女のような雌だとよいな!!)


 魔王がそのようなことを考えていると、レインの呼び掛けに応じて、一人の女性がこちらに向かってくるが見えた。


 髪は金色の長髪。タレ目で少し下がり気味の眉は、とても淑やかな印象を与えている。


彼女は長く続く赤いカーペットをゆっくりと進み、そして魔王の前に膝まついた。


 「アリシェル・レトルトと申します。お初にお目にかかりますわ、魔王様」


 「ああ。今日は突然の招集であったが、よくぞ来てくれた!」


(おぉ!!一人目にしてなかなか良さげな雌ではないか!!)


 彼女の口から紡ぎ出された声は穏やかで、

しかしどこか芯のあるものだった。


それは、まさにあの本の聖女のようで、魔王は期待に胸を踊らせた。


 「して、貴様はどのようなことに興味があるのだ?……料理や裁縫などか?」


 「ええ魔王様!わたくし、料理も裁縫も大好きですの」


 「おお、そうかそうか!それで?最近は何を作ったのだ?」


 「うふふ。ちょうど魔王様の所に来る前に完成したものがあります。きっと、魔王様にもお気に召すに違いありませんわ」


そうして、彼女は見た目以上の容積量を入れることができる、魔導具のポーチに手をいれて、


 

「さぁ、こちらです。魔王様!!」



優雅に、《それ》取り出したのだ。



…………人間の足に目玉と口を無理矢理つけた、歪なバケモノを。


 「魔王様、とてもかわいらしいお人形さんではないこと?今まで作った沢山のお人形さんの中でも、これが一番の出来ですの」


 彼女はまるで自分の子供のように可愛がって撫でていた。


 すると、その……人形は……ギチギチと言葉にならないような呻き声を響かせた。


 「あら、喜んでいるのね?きっとこの子も、魔王様をお目にかかれて嬉しいのですわ」


 「そ、そうか…………」



 (き、き、きもぉぉーーーーーーーーー!!

何なのだこの雌は!?お淑やかとは、まるでかけ離れているではないか!?)


 何やらものすごい憎悪の念を込めているような目線で此方を見つめてくるバケモノに、魔王は引いた。

 

 

それはもうめちゃくちゃ引いた。


 「あー…もうかえってよいぞ。」


 「……ま、魔王様?何故ですか?私はお目にかからなかったのですか?

ぜ、是非!私をお選び下さいませっ!屋敷にはまだまだ可愛いお人形さんも沢山います!」


「…レイン」


「かしこまりました」


「お待ちッ…」



 パチンッ


 魔王の呼び掛けに応じたレインは、

魔王に取り入りたいと必死なアリシェルを、

城の入り口まで転移させた。



……その場に静寂が流れる。



 (ま、まあ、あれだな。見た目は良かったのだがな)


 彼女の見た目とのギャップに、魔王はだいぶ狼狽えていた。


 「魔王様、次の方をお呼びしますか?」


 「……!あ、あぁ、たのんだぞ」


 (気にする必要はない。まだ、何人もの雌が控えておるのだ。

 きっと、我にふさわしいような雌もいるにちがいないだろう!)


 「それではエボナート嬢、どうぞ此方へ」


 (よし、切り替えて次だ次!

……さて、どのような雌であるか見極めなければ。見た目だけではなく、中身も重要であるな、うん!)


 魔王はそう強く意気込む。


 

 


    ズドォォォォォーン!!





………突如として部屋中に轟音が響いた。


 

 

 「ヒャッハーーー!魔王様ァー?人間狩りにいこーぜぇぇ!!」


 ものすごい勢いで扉が開いたかと思うと、

全身をドクロのアクセサリーで纏った、なんだか目がキマっちゃってる系の、ヤバめの人が入ってきた。


……ちらりと扉を見てみると、足で蹴られたような跡がデカデカとついている。


 (見た目も中身も論外ではないかーい!!)


 「呼び掛けに応じてくれて感謝する、ご苦労であった。そして、モウカエッテヨイゾ!

……レイン、タノンダ!!」



「…へ?」


 パチンッ


レインの魔法により、彼女は入り口まで転移されていった。



……再び、静寂が流れる。



「…次だ。」


「かしこまりました、魔王様。」


 魔王様は、二人目にしてだいぶ意気消沈としているようである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 その後も、魔王は様々な女性達と対面した。



5人目 『キルシテ嬢』


 

 「魔王様愛してます魔王様愛してます魔王様愛してます魔王様愛してます魔王様愛してます魔王様愛してます魔王様愛して…」


 「レ、レイン!」


 パチンッ



8人目 『リリエール嬢』


 「ジュルリ。……魔王様のぉ、脳髄をぉ……うふふ、想像するだけでぇ、涎がぁ……♡」


 「こわっ!?レインッ!」


 パチンッ



11人目 『テルラ嬢』


 「魔王様も、私のペットになりますか?

目一杯可愛がってあげますよ。

……あら、いーーすーー?

私の許可なくっ、、、動くなっ、、!」


 「レイン……」


 パチンッ



パチンッ、パチンッ、パチンッ…



数々の癖の強すぎる女性達。

 

 魔王は結局誰一人として恋人として選ぶことはなく、ただただ疲弊しただけの時間であった。


 (今ので……最後、か。

何故なのだろう、ものすごく疲れたのだが?)


 「……どうやら、お気に召さなかったご様子ですね」


 「一体全体どうなっているのだ?奴等は選別された雌どもではないのか?

……まぁ、こんな短時間で集めて来た結婚前の女性ともなると、この結果も仕方の無いことか……」


 「いいえ?既婚者の方がほとんどでしたよ。

テルラ嬢に関していえば、一緒にお連れしていましたね。

 誰しもが魔王様とお近づきになりたいと考えていますから、結婚しているかどうかはあまり関係ありません。

 ましてや、世の中の魔族は人族と比べ、結婚と離婚を頻繁に繰り返していますからね。

ちなみに、今回いらっしゃった女性達は世間で見ても、特に評価の高いものばかりでした」



「なん、だと!?」


魔王に衝撃がはしる。


(世間の魔族諸君よ、

なぜそうも、血気盛んでアブノーマルな雌ばかりになってしまったのだ……!)


 「おそらく魔王様がお望みである、あの本に登場するような女性は、いらっしゃらないでしょうね」



魔王に再び衝撃がはしる。


 

「ならば……決めたぞ…………」


またか!?!?

……こ、今度は一体何なのだろうか?




「我、魔王シュレイ・マドリオリオンは…」


 



 

 「人族の雌と恋をしようではないか!!!」







「………………えっ!?!?」

 

 どうやら今回に限っては、流石のレインも予想外のことであったようである。


 「……いいのですか?魔王様……?」


 いや、ほんとだよ。


しかしながら魔王は

「絶対に!理想の恋をするのだァ!」と、それはもう強く決心するのであった。



……いや、"最強最悪"の肩書きはどうしたんだよ!?

 とりあえず、おはようございます。二野二条です。三話目に目を通して頂き、誠にありがとうございます。

 

 それで、今回は《魔導具》の設定について、軽く紹介しようとおもいます!あ、もちろん飛ばして貰ってかまいません。


 まず前回にご説明したとおり、魔術の発生には振動数と濃度が鍵になってきます。

そしてある物質について、構造などを加工し、調節することでそれぞれ特有の振動数やエネルギー濃度を一定に保つことができます。

なので、機械を作るように、目的の魔術を発動させるための部品をつくり、それらを組み合わせます。そのようにして、活性状態のエネルギーを一定量以上与えるだけで、再現性をもちながら誰でも簡単に魔術を行使できるようにした道具を、この世界では魔導具と呼んでいるのです。


 以上、《魔導具》の説明でした!

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