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最強最悪の魔王様が恋に目覚めただってぇぇぇ!?  作者: 二野 二条
《第1章》『ファーストラブ』
1/5

1.魔王様は最強最悪

 魔王打倒を目指して、長きに渡って旅をする勇者ルシウス一向。

彼らはついに魔王がいる玉座の間まで辿り着く。


 "最強最悪"と恐れられる魔王との戦いに待っている、彼らの運命はいかに……!?

 「ついに、ここまで来たな」


人類の希望を背負った勇者はそう呟く。


 「そうね。……ここまで、長かったわ!」


神様によって認められた聖女はそう答えた。


 「ふん、お前と俺がいるんだ。魔王なんかに負けるわけないだろう」


勇者と幼なじみの聖騎士はそう笑う。


 「まあ、どんな攻撃でも俺が防いでやるさ」


人類の守護者の大盾使いはそう呼び掛けた。


 そんな皆の言葉を聞いて、勇者達は口に笑みを浮かべ、確かな光を目に宿して前を向く。


「……それじゃあ、行くとしますか!」


 そして、重く大きな禍々しい扉を勢いよく押し出す。


 史上最強と歌われる勇者一向達。


彼らは人類の明るい未来を勝ち取るために、

魔王が居る間へと足を踏み出す…………


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 目の前に広がるのはただただ絶望だった。


人類の守護者であった大盾使いは、

たった一撃の魔法攻撃でみる影もなくなった。

しかも、ただの牽制の一撃で、だ。


 聖女は何とかして、その大盾使いを回復しようと駆け寄る。


その時、突如として魔王から黒い瘴気が吹き出された。


すると、最も近かった彼女はすぐに身体を痙攣させ、白目を向いて倒れてしまう。


一瞬の間に彼女の意識は刈り取られてしまった。


 「クソがっ……!」


 少し遅れて聖騎士は光輝くオーラを剣に纏った。

近よる黒い瘴気を掻き分け、霧散させる。


 ゆっくりではあるが、しかし着実に魔王に近づいていく。

そして、終に剣の間合いに魔王を捉える。


「喰らいやがれっ!!」


 元々、魔には滅法強い聖騎士である。

ましてや、史上最強と歌われる勇者のパーティの一員である彼の全力の一振だ。

直撃すれば魔王でさえもただではすまないだろう。


……しかし、魔王は避ける必要がないとばかりに、それを真正面から受け止めた。


  ガキン


 魔王に触れた瞬間、剣は呆気なくポッキリと折れてしまっていた。


 魔王を切り裂くはずだった全力の一撃は、その身体に傷一つつけることはなかったのだ。

かわりに、行き場の失ったエネルギーはそのまま剣を根本から破壊した。


 「なっ……!?」


 剣を失った聖騎士は咄嗟に盾を深く構えて、魔王の眼を睨む。

すると、どういう訳なのか、聖騎士は虚ろな目になって、その場に崩れ落ちてしまった。


 魔王は戦いが始まってから一歩も動くことなく、玉座につまらなそうに座り込んだまま、彼らを無力化したのだ。


……もう、残ったのは勇者だけである。


「う、嘘だろ……!!」


 黒い瘴気をどうする事も出来ず、勇者はその場に佇んでいた。


やられていく仲間達を、ただただ眺めるだけ。


 ここまで、無力感を感じたのは彼の人生で始めてだった。


 しかし、このまま闇雲に突っ込んでも、また同じ結果の繰り返しになるだろう。


 (ここまできたのに……!皆、魔王に立ち向かって、倒れてしまっているのに……!)


 (おれは何も出来ないのかよ……!

……おれは何もしないのかよ……!)


 すると、何処からだろうか、

不思議な声が響いた。


 『勇敢なる勇者よ。何故、主は力を求む?』


(……!!……これ、は……剣からか?)


 直接心に語りかけられているような、そんな不思議な感覚。

ふと手元の剣を見てみると、ほのかな光を纏っていた。


 (何故、力を求むか、だって……?

そんなの簡単だ)


「…………仲間を……家族を……そして……」


 「人族の明るい未来を勝ち取るためだ!!」


 

『…よかろう。主は我の力を使うに値する。存分に我を糧とするがよい』


 

 突如として剣が纏う光が急激に強くなり、それは次第に七色となって、勇者を包み込んでいく。

 

 暖かで、そして優しい光。


 その光の奔流は勇者の中にまでどんどん入り込んでいく。


(こ、これは……!?)


 今まで感じたことがないほどの力が身体の内から、沸々と溢れ出す。

気がつくと、全身は七色に煌めく白銀の鎧につつまれていた。


 そして今まで手にしていた剣は、この世のものとは思えないほど、美しく、そして力強い姿に変貌していた。



 「おれは勇者ルシウス…!!!

お前を打ち倒す者だ!!!」


 勇者は全力で魔王へと向かい走り出した。

あの黒い瘴気は、勇者が一歩踏み出す事に、七色の光で塗りつぶされていく。


 しかし魔王に近づけば近づくほど、黒い瘴気は桁違いに濃くなっていく。


 (体が、段々と重くなる……

頭が、まわらなくなってくる……)


 (でも!!…………まだ動く!!!!)


 走りながら、勇者は内から出るエネルギーを剣に集中させていく。


 (…もっと…もっとだ!)



七色の光がどんどんその剣に濃縮されていく。



 『よもや、これ程までに我を使いこなすとは!?

しかし、これ以上のエネルギーの蓄積は……』


『 ……いや、勇者ルシウスよ!!

次の一撃に、己の持てる全てを注げ!!


 お主なれば、この永きにわたる魔王との戦いに終止符を打てるはずだ!!』


 果てしもなく濃縮された力は、もう剣の耐えることが出来る限界を遥かに越えており、暴走寸前である。


 しかし、勇者は気合いだけでそれを押さえつける。


 「この一撃に……おれの全てを込める!!」


魔王との距離はもう目前。

勇者は剣を振りかぶる。

すると、何をするつもりか、魔王が立ち上がり、右手を掲げた。


(これは…魔術か…!?)


剣はまだ届かない。

このままでは、魔術を諸に食らい、魔王に一撃も与えられぬまま終わってしまうだろう。


(おれは…このままやられてしまうのか…?)


「……させっ……ませんっ……!!」


魔王の右手に神の鎖が纏わりつく。

もう手も足も動かず、意識も朦朧としていた聖女であったが、それでも彼女は祈りを捧げていたのだ。


彼女の祈りが、魔王に一瞬の隙を生み出した。


「うおおぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!」


 

 シャキーーーンン



 目映い一閃。


そして、それは世界を埋め尽くす。


押さえつけれていたエネルギーが解放され、 光の濁流となってこれでもかと暴れ狂う。


 「くっ…うわぁぁああっ…!!」


 放った本人である勇者でさえも、余波だけで壁まで吹き飛ばされる。


 まさしくそれは破壊そのものを体現するようであった。


そんなエネルギーの暴力を直撃で食らった魔王はただではすまないだろう。


 「……くだらん」


…………すまない……だろう?



  ズドンッ


 鈍い音と共に勇者の首元に鋭い手刀がクリーンヒット。


そして、反対側の壁まで吹っ飛んでいく。



  ズドォォォォォーン


 耳を切り裂くような轟音が響く。


勇者はまるで壁から生えているかのようにめり込んでいた。


 『……はっ!?』


 はたして、いつ移動したのだろうか?


 魔王は力尽きた勇者のすぐ隣にいた。

そして、床に転がった剣を手に取る。


『 い、いつの間に!?

………って!!その黒いの止めてっ!!もう無理だからっ!!もう耐えられないからっ!!』


 魔王は例の黒い瘴気を剣に纏わせる。


 初めの内はあれやこれやと騒いでいた剣も、暫くして何も言わなくなった。


というか、なんかめちゃくちゃ禍々しい感じに変貌していた。


 しかし、魔王はそれに目もくれず、

何事もなかったかのように剣を床に投げ捨て、元の玉座へと戻る。



 彼の名はシュレイ・マドリオリオン。


 1000年の時を生きる、最強にして最悪の魔王である。

 とりあえず、おはようございます。ニ野二条です。「最強最悪の魔王様が恋に目覚めただってぇぇぇ!?」に目を通してくれて、ありがとうございます。

 そして、今回これが僕の処女作の第一話目です。ヤッタネ!

 優しく穏やかな目で見てくれると幸いです。

何卒、よろしくお願いいたします!

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