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プリンセス ★ミ アメリア

アメリア姫のイメージ画像を追加しました

 コンコンコン! 部屋のドアがノックされる。

「はい、鍵開いています、どうぞ」私が返事をすると、

ガチャッ!バタン!急いで部屋の中に入ってきたのは

私の名前を憶えてくれたギルドの受付嬢だった。

「ど……どうされたのですか?」吃驚して私は聞く。

「たっ…助けてくださいっ!!」彼女は言った

私は素早くカタールを鞘から抜き、手にすると

受付嬢を部屋の奥へ導き私は扉に向かって構える。

「相手は何者で何人ですか?」ドアを睨みながら私は言う

「ちっ!違うんです!そういう事ではないんです!

お願いがあって伺ったんです!」受付嬢は言う

「あっ、はい。」後ろに庇った受付嬢の方へ振り向きながら

私は間の抜けた返事をした。カタールを鞘に戻し問う。

「何か急用でしょうか?」

突然の宿への訪問、一大事かもしれない。

「いえ違うんです、でもそんなに違わなくないです。

えっと自己紹介がまだでしたね、私はリゼットと申します。

冒険者ギルドの受付嬢をしています。」

リゼットさんね、うん受付嬢なのは知ってる。

「実はですね、あなた以外該当者のいない依頼が来ていまして

相当無茶ぶりなんです。下手したら私クビになってしまうんです!」

どゆこと?

「は、はぁ…それで私にその依頼を請けて欲しいということでしょうか?」

「はい!是が非でも!」

是が非でも~お願いしたい~脳内に曲が流れた

リゼットさん必死だなぁ。まぁ仕事クビになるかもという話だし

必死にもなるかぁ…。

「それで一体どういう依頼なんでしょうか?」

内容は普通に気になる。私でなければいけない理由とは何?

「先ず報酬から先にお話しします!1日金貨5枚だそうです!」

破格すぎる…いったいどんな依頼なのだろうか…

しかも1日という事は数日に亘っての依頼?

「すごい報酬ですね。」

「でしょう!これは受けておいた方がいいですよ!」

顔を近づけ人差し指を立てながらリゼットさんは言う。

リゼットさん必死過ぎワロタw

いや、ワロてる場合ではない。そんな報酬どんな危険な任務なのだ…

「それでは具体的に依頼をお聞きしても宜しいでしょうか?」

聞いてみない事には始まらない。

「はい、ではご説明いたします。ここから北西へ向かったところに

この国ローゼンガルド王国の首都ローゼンシュタットがあるのはご存じですよね?」

 初耳です。脳内にメモしました。取り敢えず頷いておく。

「そちらのギルドから王家直々の秘密裏依頼です。

王様のお子様の罠解除・鍵開けの家庭教師の募集です。」

なるほど。でも、もっと熟練の人が良いのでは?と思った。

「10代前半の女性。スカウトSランク以上かクラスチェンジ職!

これが条件だそうです!

ありえませんよね?!普通いませんよ?!

王都で募集をかけたら良からぬ輩が紛れ込むかもしれないという事で

グリムハルト冒険者ギルドへの依頼が来たわけです!

この案件の担当責任者は何を隠そう私です!!」

あーうん…それは、いないよね、普通にいない。

王都でも見つからないんじゃないかな?

下手したら他の国でも見つからないかも。

確かにそれは私専用クエストみたいなもんですね。

この件にクビがかかっているとか同情を禁じざるを得ない。

ゴツン!と頭を床に頭を叩きつけ

「どうか!後生ですアリシアさん!請けてください!」

リゼットさんの見事なDO★GE★ZAである。

うーん後生なのは私なんだけど、まぁ仕方ない。

「頭を上げてくださいリゼットさん。分かりましたお請けします。」

そういうとパァッと顔を明るくして

ありがとうございますを繰り返している。

「それでは早速出立のご用意をお願いします!本日午後には馬車を手配してあります!

そうそう!期間はどのくらいかかるか分からないとの事で王都の宿屋はもう手配済みです!

こちらの前払い宿賃もお支払いしますので金額を後ほどギルドにてお伝えください!

本当に有難う御座います!アリシアさん本当に感謝します!」

そう言うとリゼットさんは宿を急いで出て行った。

嵐のようなひと時だった。

というか、えっ…急すぎくない?

そして手際がいいというか決まってた感が半端ない。

あとなんか予め聞いてなかった事もあった気がするけど…

うーん…仕方がない。

そもそもが、そんなに荷物もないし、バックパックと武器防具だけで

すぐにでも出立できる。本以外はない。

ただ何か色々と大変な事になりそうな気はする。

「はぁ…。」思わずため息が出てしまった。

午後に差し掛かる頃、私は冒険者ギルドに赴いた。

リゼットさんは大分落ち着いたようで

「宿賃の前払い金額はいかほどでしょうか?」と聞いてきた。

「いえお気遣いなく。それでは早速出立したいと思います。」

ギルド前につけてあった馬車に乗り馬車は走り出した。

振り向くとリゼットさんは頭を下げ両手を前で合わせ

ホンマすんませんの態勢で私を見送っていた。

(時間経過)

馬車は王都の街の前で止まった。

街の衛兵と御者さんが何やら話している。

「アリシアは君か?」衛兵に問われる。

「はい。」

「王への謁見の通達が届いている通り給え。」

と許可を頂いたので雑踏行き交う街中を抜け王城前まで来た。

城の衛兵に止められる。

「アリシアと申します。」そう言うと。

ザッ!「お通り下さい!」槍を片手に敬礼をして迎え入れられた。

外観は厳つい感じの印象だったけれど

中へ入ってみれば石造りの部分は至る所に見えるものの

優美、優雅な内装になっている

レッドカーペットに従って進んで行くと

どんどん城から王宮へと華やかになって行くのを感じた。

鎧で身を固めた騎士がアーチの両横に立っている

あそこを超えれば玉座の間に間違いない。

歩いて行くと騎士たちは立ち塞がるようにして

「何用だ。」と問いかけてきた。

「アリシアと申します。」

騎士は顔を見合わせる。

「中へ。」

一瞬玉座に座っている人が目に入った。

慌てて面を伏せる。王様だと思う。

片膝をつき言葉を紡ごうとした瞬間

「そこでは話し辛かろう、近くへ来なさい」

凛としながらも優しい声で話しかけられる。


王。


「失礼致します。」

面を伏せたまま立ち上がり、前へ出て私は言葉を重ねた

「ローゼンガルド国王陛下に謹んで、ご挨拶申し上げます。

このたび、光栄にも殿下の家庭教師としてお招きいただきました、アリシアと申します。

未熟者では御座いますが、殿下の学びの助けとなるよう、誠心誠意努める所存です。

何卒よろしくお願い申し上げます。」

私は前世の漫画かアニメかで聞いたようなセリフを引用し

それっぽく言ってみた。

「はっはっはっはっ!

面を上げよ!我が娘と年端は変わらぬのに

お主はしっかりしておるのう。」

面を上げると愉快そうに王は笑っていた。

「アリシアと申したかな?此度は我が城まで苦労であった。

早速だが試験を開始するとしよう。」

試験…だと…。聞いていませんよリゼットさん。

「我が手足のうちの一人、騎士ガルヴァンと剣を交えてみよ。」

右手にいるブロンドの騎士が胸に手を当て告げる

「王命にて、お手合わせ願います。アリシア殿。」

ちょっと待って、これは無理すぎじゃね?

Cランクアサシンという情報は伝わっているのか?

将棋で言ったら歩で飛車をとれと言ってるようなもんでしょう。

と普通なら考えると思う。

が、私にはチート能力があるんだよなぁ。

騎士団員が宛ら闘技場の淵の様に円形になり

私と騎士ガルヴァンを囲む。

「ともに構え!」もう片方の騎士が号令をかける。

私はカタールを鞘から抜き構える

騎士ガルヴァンも剣を鞘から抜き構える

「はじめッ!」騎士の号令と共に

視界から騎士ガルヴァンは消えた。

クロノコントロール!スタティック!私は心の中で唱えた

時間が止まる。

実は先日気づいたのだ。私はアンデッドであると。

一度死して他の体で蘇っている。

これは紛れもなくアンデッドと言って間違いないだろう

という事は無詠唱魔法が可能なはず。

そう考え直ぐに心で時間停止の魔法を唱えてみたところ

やはり無詠唱の魔法発動は可能であったのだ。

左右を見る。騎士ガルヴァンはいない。

後ろを振り向くとそこに剣を振りかぶった騎士ガルヴァンは居た。

一瞬だぞ!ありえないから!どんだけだよ!

私はそっと騎士ガルヴァンの懐に入り込みアッパーのような感じで右カタールを

その喉元につきつける。

はい、ズル終了。

リリース!時を動かす。

「そこまでッ!」騎士のジャッジが下りる

「アリシア殿の勝ちだ。」

シーンと一同は鎮まる。

見上げると騎士ガルヴァンは驚愕の表情を浮かべている。

それは…そう…なりますよね…ゴメンネ。

騎士ガルヴァンはゴクリと息をのみ喉元に汗が浮き出る。

私がカタールを鞘に納め王に向かい跪くと

「完敗です。私は本気で後ろをとりに行った。

アリシア殿はお強いですね。」

そう言うと騎士ガルヴァンは一礼をして王の横に戻る。

「やるではないか!ガルヴァンから一本取るとは!

うむ!其方アリシアは今日付で我が娘アメリアの家庭教師に任ずる。

励むがよい。」王様直々の言葉だ。

試験はパスしたと考えていいだろう。

「ありがたき、お言葉。」私は返答した。

「これは好奇心だが、其方どこの出だ?

嫌なら答えずともよい。」王が問う。

「ここより幾許か南の村の村長エルマーが娘アリシアに御座います。」

私は答える。

「なんと!ヴァルデン村のエルマーの娘か!

そういえばアリシアという名だったな!聞いたことある名だとは思っていた!

我が娘の事しかと頼んだぞ。」

「承りました。」

ヴァルデン村という名前だったのか…

アリシアの記憶を手繰ると確かに、その名前はあった。

意識したことが無かったので、今の今まで知らなかった。

「それでは恐れながら、これにて失礼致します。」

私は立ち上がり、深く礼をした後三歩下がり玉座を退出した。

前世でアニメとか漫画とか見ててよかったー…。

知らなかったら絶対無礼働いてた自信がある。

と思っていると侍女らしき女性が駆け寄ってきた。

「お疲れさまでした。ご予定は宿でしたが、アリシア様の出自がわかり

王様の命が出まして、王宮にご滞在頂く手筈を整えました。

客室へご案内しますのでこちらへ。」

おっと…一安心だと思ったら、まさかの宮廷暮らし?

一息もつけそうにない…。

私は侍女の後をついて行った。

こちらになります。侍女が扉を開けると

そこに彼女は居た。

挿絵(By みてみん)

「ふーん、あなたスカウト授業の先生?」

ひらひらとした高貴なドレスを着たその少女は入り口までくると

私を品定めするように見ながら周囲を回る。

「なーんか地味な服ね。もっと華やかなのにしたら?」

と言いつつクルリと回るドレスがふわっと舞う。

「じゃあ明日から頼んだわよ。」そう言うと

ドレスを靡かせながらササーッとどこかへ行ってしまった。

「これは姫様が失礼を…」と侍女が言う

「という事は…今のは…アメリア姫様でしょうか?」私は聞く

「はい。何かありましたら私達侍女の詰め所は

この先を真っすぐ行った所にありますので

そちらへお越し下さい。それでは。」

そう言って侍女は詰所の方へ戻っていった。

私は部屋の中へ入り、椅子に腰かけ深いため息をついた。

そして私は頭を抱えた。

アメリア姫様、じゃじゃ馬決定。

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― 新着の感想 ―
何故アンデッドである=無詠唱が可能なはず、なのかがよくわかりません。 読み逃しかもしれませんけれど、なにかそういう設定が既に出ていたでしょうか? 既に記述済みならすみませんでした。
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