依頼ライカンスロープ討伐
やむを得ず依頼を消化しなくならなければならなくなった
アサシンのアリシアが初討伐を受ける
翌朝準備を整え冒険者ギルドの前にいた
戦闘の育成はクエストをこなしながらできる。
肝心な事を失念していた。思い出した。
クラスチェンジをした職業の冒険者ランクを上げるのには
最早試験などではない。
名声が必要で名声を上げるには冒険者ギルドの依頼
つまりクエストをこなすことが一般的で
クエストをこなさなければ何時まで経っても
Fランクアサシン冒険者のまま、というわけで
実入りは減るのは確実だけれど名声の為
クエストをこなして行く事にした。
故に朝から冒険者ギルドの掲示板を眺めている。
因みにクラスチェンジ前の冒険者は同じランクの依頼までしか受けられない
クラスチェンジ後はCランクからの依頼が受注可能になっている。
それはそうだ、クラスチェンジして上級職になったのに
Fランクの薬草収集からとか、明らかにおかしい
というわけでCランクの依頼を探してみる。
無難なのは討伐系かなぁ
ソロだと概ね1ランクから2ランク上の依頼難易度となる
つまりソロでCランク依頼を請けるという事は
PTでA・Bランク難易度をこなす事と同義といってもいい。
まぁ危険が迫ればチート能力がある何とかなると思う。
西地方の村にライカンスロープが出現する所謂人狼。
日中は人間の姿で月夜に半人半オオカミと化す。
どうやら村人の中にライカンスロープがいて月夜に犠牲者が出るとの事
人助け系は基本名声の上昇率が高い。謝礼金銀貨100枚。
これを受けよう。掲示板から依頼書を剥がした。
冒険者ギルド依頼受付に行き、依頼の希望を願い出た。
サインをすると冒険者カードの提示を求められた。
首から下げている冒険者カードをのストラップを首から抜き渡す。
何やら魔法をかけているように見える。
不思議そうな顔でその状況を見ていると
受付嬢はそれに気づいたのか
「お嬢ちゃん討伐依頼は初めて?」と聞かれたので
頷いた。
「これは各々のモンスターの識別を行う魔法で
倒した時、カウントがされます。
ですから討伐クエスト数等完了していれば分かるようになっています。
貴方の場合はライカンスロープを倒したらカウントされるので
討伐したらそのままお帰り頂いても、ギルドでは完了を把握できるわけです。」
受付嬢は言った。
なるほど、それは便利。
「それでは、ライカンスロープ討伐認識魔法完了しました。」
そう言うと受付嬢は冒険者カードを返却してくれた。
「どうぞ、お気をつけて。」受付嬢が言うと。
「お気遣い感謝します。では。」そう言うとギルドから出た。
幸い今日は新月ではなく月夜、早速出かけよう。
西方面の待合馬車に乗る。
ガタゴトガタゴト街道を進んで行く。
半日ほどして昼下がり、目的地の村に着いた。
馬車を下車し、早速村へ向かった。
村を歩いていると第一村人発見。
「あの、すみません、この村の村長さん宅はどちらでしょうか?」
聞くと
「あそこの少し高い茶色屋根の家が村長さんのお宅ですよ。」
答えてくれた。
「ありがとうございました、お急ぎの所失礼しました。」
そう言うと、村長の家に直行した。
コン!コン!コン!
「冒険者ギルドからの紹介で参りましたアリシアと申します。
御面会をお願い致します。」
「はいはい!お待ちしていましたよ!」ガチャリ扉を開け出てきたのは
頭の禿げ上がった白髭を蓄えた老人だった。
こちらを一目見て、明らかに老人は困惑していた。
11歳の小娘が一人で来たのだ。困惑もする。
冒険者カードを差し出し、
「これもでもクラスチェンジ後のアサシンです。
御心配かもしれませんが、お任せください。」
そういうと村長の表情は幾らか和らいだ。
日が沈むまでは村長の家でお世話になり。
日が落ちると、すぐ駆け付けられるよう外で待機した。
数時間が経った、緊張感も少し薄れてきた頃起こった。
「ライカンスロープだ!」叫び声に近い大声が聞こえる。
急いでその声の元に駆け付ける。
大人の2倍近いの背丈はあるだろうか
ライカンスロープは爪を振りかざし、村人を攻撃するところだった。
「いけない!」
地面を蹴って間に入るような形でカタールを抜き
キィン!
爪をカタールで弾く。
「今の内です逃げてください。」
ライカンスロープを睨みながら背後の村人に言った。
背後で走り去る音が聞こえる。その音に安心した。
「おい小娘、俺の食事になりにきたのか?
大人よりも子供の肉の方がジューシーで美味いんだよなぁ!
飛んで火にいる夏の虫!今夜の食事はお前だぁ!」
そういうとライカンスロープによる爪の連撃が始まった。
キィン!カァン!キィンキィンカァン!!
カタールで悉く爪を弾く。
かなりのマジックの恩恵を受けている装備
この程度の攻撃は軽くいなせる。
「やるじゃぁねぇか!」
そう言うと体型差を意識して分があると見たか、こちらに突撃してきた。
ヒラリと踊るように宙を舞い背後に回る
ズシュズシュズシュズシュ!
ライカンスロープの無防備な背中をカタールにて連続で突き刺す!
「グアアアァ!!てめぇ!!!」
馬鹿の一つ覚えのように爪の連撃を繰り返してくる。
キィン!カァン!キィンキィンカァン!!
カタールで悉く爪を弾く。
「ハァッ…ハァッ…。」
苦痛と共にライカンスロープの息が乱れ始める。
生物というのは漏れなく血を多く失えば失血死する。
それはライカンスロープとて同じ
カタールで刺殺した無数の傷口から大量に血が流れ落ち
足元に大きな血だまりを作っていた。
「こ…こんな…小娘に…俺様が…。」
「今楽にしてあげるよ。」そう言い
動きの鈍ったライカンスロープの懐に入り心臓と頸動脈をカタールで刺突した。
「グ…ア…ガァ…。」
大量の血を流しライカンスロープは絶命した。
因みに大量の返り血も浴びてしまった。
すると村人の姿に戻ってゆく。
村長に報告に向かった。
現場へ案内すると「ノクターナ…お主じゃったか…。」
どうやらノクターナという村人がライカンスロープだったらしい
ショックを受けつつも村長は事態を把握した。
「これにて討伐完了です。安からな村の暮らしが戻るよう
祈っています。」私はそう言うと
「本当に有難う御座いました、これで村人も今夜から枕を高くして寝られます。
本当に有難う御座いました。」と深々と何度も頭を下げた。
「今夜はもう遅いです、宿泊されますか?」と問われた
「帰還のスクロールがありますのでご心配なく。」私は笑顔で答えた
「それでは早速ギルドへの手紙を認めてきます故、暫くお待ち下さい。」
「承知しました。」そう言うと私は月を眺めた。
前世では今宵は月がきれいですね。なんて言葉は口説き文句だったけれど。
ここでは通用しないんだろうな。
そんな事を考えていると村長は戻ってきた。
「こちらに、事の顛末と村長印を押しました。
ギルドで見せたら依頼完了が伝わるでしょう。」
私は手紙を受け取った。
「それでは、失礼いたします。」私は言うと帰還スクロールを使う
村長はずっと深々とお辞儀をしていた。
グリムハルト冒険者ギルド前へ帰還した。
受付へ行き手紙を渡し、念の為に冒険者ギルド証も渡した。
受付嬢から聞いていた出発前の話が真実なら
カードにはライカンスロープ討伐情報が刻まれているはず。
「はい、確認が取れました。こちら報酬の銀貨100枚となります。」
私は受け取りバックパックに入れた。
あれ?冒険者証は返却されてない。
「あの、私の冒険者証が戻ってきていませんが…。」そう訊ねると
「はい、今回の依頼で名声が上がりますので冒険者ランクが上昇します。
少々お待ちくださいね。」
思わぬ収穫。やはり人助けは名声が上がる♪
「それでは冒険者証返却しますね、ランクはアサシンCランクとなります。
今後も、ご活躍を期待していますね。」
受付嬢は言い私の冒険者証は手元へ返ってきた。
ん?あれ?私一人称、私だったっけ?
まぁ前世ネットで書き込みする時も私だったし問題はないか。
「それでは失礼します。」私は冒険者ギルドを後にした。
ライカンスロープの返り血を浴びて血まみれ
早くシャワーを浴びて装備洗って乾かさなきゃ。
宿屋への道を急いで戻った。