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宝箱の不思議な種達

食事をとり部屋に戻ると

鉢の魔法陣が淡く光っている。

そして鉢の傍によると

土の表面に小さく透明な芽がぴょこっと顔を出していた

「発芽した!」私は思わず叫んでしまい口を押える。

水滴みたいに、朝露を結んだような様相だ。

夜の帳も下りていたのでランタンに火を灯す。

発芽した芽越しにランタンを見ると

ランタンのオレンジの光が透明な芽を通しゆらゆら揺れている。

幻想的な雰囲気に暫し時間を忘れ見とれていた。

さて明日は予定がある。そろそろ寝ないとね。

ナイトルーティンをこなし眠りにつく。

翌朝。

「ん~っ!」伸びをする。

「ふぁ~。」ふらっと窓際に行き鉢を見る。

「あっ!」

随分と成長している。茎と葉っぱは透き通る緑色

朝の光が透過してキラキラしている。

全体的にガラス細工を思わせるような雰囲気。

特に光が入るとキラキラするのは葉脈。

そして目を見張るのは光を湛えているように

小振りな蕾が見える勿論これも半透明だけれど

中心部は微かに黄色い。恐らく黄色い花が咲くのだろう。

鉢の観察を終え、ささっと用意して食事を済ませる。

さて行こうかな私はバックパックからリーブの書を出し

空の鉢を二つ持つ

「リーブ!」

私は黎明の星森、湖のほとりに来ていた

あの時、星霜の果実をつけていた光る木は今は周囲の木と同じく

光を放たず、特別な気配を冠しながらも唯々佇んでいた。

私は目を瞑り木に手を合わせる。

「少し土を頂きますね。」

そう言うと私は根元の土を手で掘る。

掘った瞬間、堀口と掬い上げた土の境界は

青白く発光し少し経つと、それは消えた。

私は二つの鉢を土で満たし

リーブで宿屋の部屋へと帰った。

昨日と同じ要領で二つの鉢に人差し指の第二関節まで挿す。

バックパックから種を取り出す。昨日埋めた種は白濁した半透明な種。

今日埋めるのは銀色の種と金色の種だ。

二つをバックパックから取り出し各々埋め土を被せる。

昨日は、ただの水で育てたので今日は別の物で育ててみようと思った。

銀色の方は高級治癒ポーション。金色の方は聖水をかけてみた。

二つの鉢の魔法陣が淡く光を放ち始める。

なるほど、種を植えて何らかの水分をかけたところから

育成スタートって事ね。

何が出来るかな?楽しみだな♪

私はベッドでゴロゴロしながら

時たま俯せになり肘を立て両手を顎に当てて

日の光にキラキラしている初日に埋めた植物の

葉脈がキラキラ乱反射するのを楽しんでいた。

そうしていると眠気が来たので、そのまま少し寝ることにした。

起きると夕方だった。好きなように生きるって素晴らしい!

新しい鉢に目をやると、変化がある。

銀色の種の方は全体に銀がかった双葉が顔を出している。

金色の方はというと……青白い光が土の隙間から漏れている。

何だろう。気になるけど掘ったらだめだよね。

そして初日の鉢を見ると半透明な黄色い花が咲いていた。

とても綺麗だ。中心にあるべき雄しべか雌しべ等はなく

かわりに中心部に淡く白と黄色の中間色で発光する

ビー玉のようなものが見える。

何だろう?もう少し見守ったほうがいいのかな?

ふと窓から空を眺めるとオレンジからのグラデーションで

濃い紫色が見て取れる。

日も沈みそろそろ暗くなるだろう。

「さて!ご飯食べてきますか!」

そろそろ食べておかないと酒場色が強くなって

喧騒の中食事をしなくてはならなくなる。

私は一階に降りて食事を済ませた。

部屋に戻ると薄暗いはずが、周囲を照らす様に光っている物がある

そのお陰でランタンなくしても部屋の全てのもが見える。

光源に近づくと、それは初日の花から落ちたビー玉状の光る球だった。

これは便利そうだね!私は部屋の中心に玉を置くと部屋全体が光で照らされる。

これダンジョンで使えそうだね。

ただ効力は一時的なものなのか何時まで持つのか謎だ。

今日植えた二つの鉢は変化がなさそうだ。

寝て起きれば変化があるだろう。

私はナイトルーティーンをこなして眠りについた。

翌朝起きると、初日の植物は枯れていた。

残念な気持ちで理由を考える。

何かが足りなかったのか、それとも光の玉を産み落とす事が

最終目的で、枯れてしまったのか。今になって知る由もない。

それはそうと二つの鉢に目をやる。

銀色の鉢の方は鉢の中から銀糸のように細い芽がスッと伸びている。

触れると微かに冷たい。実は私の手にはササクレが出来ていたのだが

その植物に触れるとササクレは綺麗に皮膚へと密着し修復された。

でも、肝心の私はそれに気が付いていない。

葉の中心を起点に葉の形が上向きに反っており中央には雫が見て取れる。

私は直感でその雫には何かある!と思ったので雫が垂れそうな場所に幾つか瓶を配置した。

そして金色の種の方は、なんと土の上に白くてふわふわした毛玉のような繭が転がっていた。

植物ではないのか?混乱しながらも経過を見守る事にした。

私は支度をしダンジョンへ潜りトレハンで金銭を稼ぐ。

マジックアイテム屋で売り払い帰途につく。

「ふぅ~。」私は先ず座って、疲れを癒す。

暫くした後、鉢の様子を見る。

銀色の鉢は半分ほど瓶に緑色の液体が溜まっている。

エンチャントリーディング。

私は液体の魔力の流れをスキャンする。

うん。この液体には魔力が込められている

しかも相当強い流れだ。

満タンになったらポーション屋で聞いてみよう。

一方金色の種の繭は日に日に大きくなり

手のひらサイズになっていた。繭は微かに動いている。

ひょっとして生き物?

種から……生き物……?

まぁ時間が経てば分かる事だ。

ナイトルーティーンをこなし再び就寝する。

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