クラスチェンジへの道のり
宿屋へ帰る道を歩きながら冒険者カードを眺める
スカウト冒険者カードBランク。
そう、今日は冒険者ギルド協会にスカウトランク試験を受けに行っていた。
予定ではAランク辺りまでは行けるのでは?と思っていたけど
現実は非常なもの
スカウトの試験はCランクから鍵開けだけではなく
フロアの罠の検知と解除も必須となってくる。
これがネックとなった。
今まで鍵開けの修練は積んできたものの
フロアの罠の検知と解除については殆ど素人。
Cランクはまだ、素人知識で難なくこなせる課題だった。
しかしBランクの試験では、かなりミスをしてしまった
鍵開けの技術はかなり評価されていたので
お目こぼしでBランク通過と相成った。
先を目指すなら本格的に学んでいかなければならない。
暫くは罠検知と解除がメインとなりそう
とほほ…そう考えているうちに宿屋についた。
取り合えずトラップの基礎知識を覚えなきゃ
宿屋のドアの前で回れ右をして本屋に向かった
冒険者コーナーのスカウトコーナーへ行く
図解よくわかるダンジョントラップ
凄くわかり易い名前の本があったので購入し
宿屋で読むことにした。
時間は、まだお昼頃
定型トラップぐらいは頭に入れておきたい
集中していると時間の流れは速く
いつの間にか本を照らす窓から入ってくる光は
自然光からオレンジ色になっていた。
食事をとり部屋に戻る。
日が落ちていたため、ランタンに火を入れる。
ゆらゆらと赤色に部屋が照らされた
その中本を開き読み進める。
一通り目は通したものの、ちゃんと頭に入っているのかと言われれば
いささか自信がない。
まぁダンジョンでそういった特徴や状況があれば思い出すと思う
それに望みをかけよう、シャワーを浴び、再び一通り本に目を通す。
二週目の黙読で眠気が来たので、横になった。
(時間経過)
初心者試練の洞窟に到着。ここなら敵はノンアクティブ。
B1Fにトラップは無かったがB2Fからはトラップがある。
松明に火をつけダンジョンに入り、そのままB2Fへ直行
暫く歩いていると怪しい通路
あの本に出てたケースの一つ図解のまんま
この辺りかな…あった! ガコッ
壁の一部が凹み音がした。
松明の柄の方で周辺石畳を叩いて回る
しっかり石が詰まってる中にコーンコーンと叩くと
中に空洞が存在しているのがわかる場所があった。
落とし穴!罠を解除せず、そのまま進んでいたら
落ちていたと思われる。
図解よくわかるダンジョントラップすげぇ!
その後も図解で怪しいと書かれていた場所には
大体罠が仕掛けられていた。
これは普通にものになるのでは?そう思った。
初心者試練の洞窟のトラップ発見解除を卒業するまで
2週間とかからなかった。
次はアンデッドコリドーB2F。戦闘もすることになる。
父エルマーの渡してくれた家宝の短剣はシルバー製だった
銀武器にはアンデッド特効効果がある。
アンデッドコリドーに入りまずは目を慣らしB2Fに降りる。
ローブに魔力を込めると体は周囲の景色に完全に溶け込んだ
暫く回廊に沿って歩くとスケルトンがいた
素早く後ろに回り込むと銀の短剣で首筋の骨と腰上の背骨を切りつける
斬りつけた部位の骨は銀の短剣の効果によって粉々に崩れ
残った骨と手にしていた剣と盾は石床にバラバラと落ちた。
敵との戦闘では命の危険を感じない限り
時を止める魔法は使わないことにした
理由は二つ
・いざという時に魔力が切れたら生存率が下がる
・戦闘能力もある程度つけないと冒険者として今後極めて不利
こんなところ。
さて、進んでいくとトラップの雰囲気を感じた。
トラップを解除して先へ進む。
現状順風満帆
通路に繋がる部屋が見えた
そろそろ稼ぐ必要があると考えていたため
並行して鍵開けもする。
久しぶりのピッキングで少し腕がなまっている。
技術と言うのは一日サボれば三日後退すると言われている
ただ、毎日の鍛錬を再開すれば取り戻すのは早い。
暫く徘徊して分かったのはB2Fのアンデッドは
スケルトン・ゾンビ・グールこんな感じ
グールは下手に攻撃を受けてしまうと毒を浴びる
毒化した時は解毒ポーションで解毒
ポーション代も勿体ないのでグールにだけは注意
そのまま周回をし、頃合いを見て帰還のスクロールで宿屋へ戻った。
部屋へ戻るとマジックアイテム鑑定タイム
久しぶりの作業と思いながら
鑑定を終わる。結果BランクからEランクまでのマジックアイテム
上の階よりワンランク上がるのかー
そう思いつつマジックアイテム屋へ向かう。
「お久しぶりです、本日はまたマジックアイテムの買い取りをお願いしに来ました。」
そう言うと
「それではアイテムをカウンターにお並べ下さい」
と店員
バックパックからアンデッドコリドーB2F産のアイテムを並べた。
店員はじっくり鑑定してゆく。
「Bランク品が幾つか御座いますね、銀貨254枚で如何でしょうか?」
WOW。当に桁が違ってきた。
「はい是非お願いします。」
即答した。
銀貨254枚を受け取りバックパックにしまう。
「また宜しくお願いします。」
ぺこりと頭を下げた。
「こちらこそお待ちいたしております。」
笑顔で店員は言う。爽やかだ!
店を出ると宿屋へ向かう。
宿屋で一息つく。
このままなら2か月もあればかなり経験も積める。
クラスチェンジまでもう一息。そんな風に考えた。
(時間経過)
2か月後、晴れてスカウト試験S級合格となり
その場でアサシンにクラスチェンジをした。
冒険証に輝くアサシンの文字。
嬉しい気持ちをぐっと抑え、これからが本当の冒険者!
勝って兜の緒を締めよ、ちょっと違うかな。でも気持ちを引き締めた。
ただ、アサシンの横の文字はFランク。
またランクは逆戻り。でも戦闘は比べ物にならないほど
楽になるはず、アサシンでもどんどんランクを上げていこう!
因みに2か月で貯めた貨幣は金貨15枚になる。
アサシン装備買いに行こう!
というわけでマジックアイテム屋へ向かった。