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帰郷と心配の解消

コンコンコン!

暫くするとドアが開く

ギィ……

「どちら様ですかな?」

「ただいま!お父様!」

「おぉ!アリシアおかえり、ん?お友達も一緒かな?」

ペコリと私の隣の目深にフードを被った少女は頭を下げる。

「そうかそうか、一緒に中へ入りなさい

おーい母さんや!アリシアが友達を連れて帰ったぞ

紅茶を入れてくれないか?」

「はいはい、お友達は一人?」

奥から母の声が聞こえる

「あぁ!そうだ!」父は言うと

「はいわかりましたよ。」

多分紅茶を入れてるためキッチンへ向かったのだと思う。

私達は父に促され居間へ行き

テーブルの両横にあるソファに私達二人は横並びに腰掛ける

対面のソファに父は座る

「前は深夜だった上、一年ぶりだった。戻ってくるのは何時か何時かと

楽しみに待っていたが思ったよりも早く帰ってきてくれて嬉しいぞ。」

今回は半年ほどの帰郷だ。

父は腿の上に肘をのせ両の手を軽く握り合わせ

にこやかにリラックスした様子で話しかける。

「ところでお隣のお友達は?」

父が、そう言うと少女はフードを取った。

先ほどまでの父の、にこやかな表情が固まる

顔から笑みがすっと消え、目を見開いた。

「ひ、姫様……!?」

ソファから飛び退いた父は、反射的に膝をつく。

その声に台所の母も反応し、手にしていたティーカップを危うく落としかける。

「えっ……!姫様って、あの……? こ、これは大変……っ!」

母も慌てて駆け寄ると、並んで夫婦揃ってその場に膝をつき頭を下げている。

「ど、どうかこの無礼をお許しください!」

「な、何も知らず……恐れ多いことを……!」

こうなる事は容易に想像できた

しかしあーちゃんがフードを被ったままだったのは

村人に姫様と分かってしまうと面倒な事になるため。

そして姫様のちょっとした私の両親へのサプライズの趣向もあった。

「先生のお父様、お母様やめてください、今日は先生の、お友達としてきました。

是非、私が姫だという事は忘れて接してください。」

そう言うとあーちゃんは私の方を向きウインクをした。それを受け私は

「そうですよ、姫様扱いは却って失礼に当たると思いますよ?」

私がそう言うと父は固まったまま、顔を上げられずにいたが、

姫様のかけられた気さくな言葉と、私の言葉に

多少の緊張の糸が解けたように父は息をついた。

「は、はあ……。で……では、遠慮なく、お友達として……」

と言いつつ父は、どこかぎこちなく頭を掻いた。

母も小さくうなずきながら

「そ、そうですよね。あの、では……紅茶のお砂糖はどうしましょう?」

「たっぷり甘くしてください!」

あーちゃんは甘党なのだ!

「はい、分かりました。」

あーちゃんと母は、そんなやり取りをしつつ

連れ立って台所へ砂糖を取りに向かった。

台所へ向かう二人を見送り父は再びソファに座り

「どうだ?アリシア元気にしていたか?」

「はい、お陰様で。」

「そうか……安心したよ。」

そう言いつつ父は目を伏せる。

私は一つ気になっている事がある。

私はとある依頼において不老の身となってる。

それをいつ両親に伝えればよいか。

少なくとも……それは今日ではない。そもそも伝えれらるのだろうか?

私が考えを巡らしていると、あーちゃんの声で思考は現実に戻る。

「先生のも甘くしてもらったよ!」

ぱたぱたと小走りに戻って来て私の横に座る。

「ありがと、あーちゃん♪」

「どういたしまして♪」

私達は顔を見合わせてふふと笑う。

遅れて母が紅茶をトレーに乗せ戻ってきた。

「はい。これは姫様とアリシアの分ね。

そしてこれは、お父さんと私の分。」

そう言ってカチャカチャとソーサーと共に紅茶を

テーブルのそれぞれの位置に置く。

そうして母はトレーをテーブルの端に置き

ソファの父の横に腰掛けた。

「それで今日は何か用事でもあるのかな?」

父は言う。

「ただの里帰りかな、あとあーちゃんのたっての願いかな。

半年ほど前この村に、あーちゃんが来た時

お父様もお母様も、『姫様の言葉に心配』していたでしょう?

あーちゃんが直接会って、心配いらないよって伝えたかったみたい。」

私はそう言い、あーちゃんに水を向ける。

「そういう事です。私と先生は公ではなく、私的な場では

友達の様にお慕いしていますので、安心してください♪」

そう言うとあーちゃんは両親に笑顔を向けた。

父と母は安心したようで緊張の糸は完全に解けたようだ。

今回は私の冒険譚は省き

あーちゃんとの冒険を語って聞かせた。

時々

「おまえ……姫様をそんな危険な事に巻き込んで……」と私にいう父と

「先生は私が危険な時は私を身を挺してでも助けてくれますし

本当に危険な時は撤退を選択する、素晴らしい先生です!」

と、あーちゃんがフォロー

父は「姫様がそうおっしゃるのなら……」

とあーちゃんに、しっかり窘められていた。

一通り話をした後、時系列は前後するものの

最後に私は名誉騎士となった事も話した。

両親ともに、その事には甚く喜んでくれた。

夕食は4人で、母の手料理を囲む和やかな食卓となった。

姫様が料理の美味しさを褒めるたび、母はとても嬉しそうに喜んだ。

やがて、帰る時間が近づいた。

「今日はお邪魔しました。また来るかもしれませんが

そのときはどうか、また仲良くしてくださいね。」

姫様はそう言って笑い、軽く頭を下げた。

「むさ苦しい家ではありますが、どうぞお気軽にお越しください。」

父も優しく微笑み、そう返し頭を下げた。

私たちは父から譲り受けたリーブの書を使い、首都ローゼンシュタットへと戻った。

姫様を宮廷の寝室まで送り届けた後、私は宿屋へと帰った。

何時も感想有難う御座います。

この度残念ながら一人のユーザーをブロックと

該当ユーザーの全感想の削除をさせていただきました。

混乱させてしまうような内容だったり設定の矛盾点などの改良点等は

より楽しんで頂けるようにするため真摯に受け止めさせていただきますが。

明らかに誹謗中傷と判断した場合それなりの対応をさせて頂きます。

読者の皆様には今後も楽しんで頂けますよう

全力を尽くしますので見守って頂けると幸いです。^^

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