表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/79

夜襲と決意

誤字脱字等の訂正ありがとうございます。

昔よりケアレスミスが多いため、とても助かります。^^

今後とも添削ご指摘、宜しくお願い致します。(ᴗˬᴗ)

私が知る限り敗戦国の姫の扱いについては次の通り。

敗戦した国の王女は、一つ目、和平の保証として人質とされる。

基本的に豪華な生活を送りながらの監禁。要するに軟禁状態。

二つ目、政略結婚の道具。

これが一番多いパターンだ。

和平の条件や戦後の安定化のため、姫が勝者側の王族・貴族に嫁がされる。

特に敵国の王子に嫁がされる事で次世代の和平を象徴する役割になる。

王女本人の意思は、そこに介する余地はない。

三つ目、修道院での蟄居。王家の失脚により修道院に入れられて表舞台から引退

名誉を守るためであると同時に、政治の駒に使われないようにする事実上の幽閉になるが

最も自由を束縛される状態であろう事に間違いはない。

四つ目、粛清対象。…。

可能性は低い物の政治的リスクがあると判断された場合や

女であっても油断できないと判断された場合。命を絶たれた例もある。

姫様は多芸故に一般的なケースより可能性は高い。これに関しては考えたくもない。

五つ目、亡命。

命の危険を感じて逃げ出し、敵国や第三国に亡命するケース。

何れにしても敗戦国の姫君が良い結末を迎える可能性は低い。

私は横の椅子に座っているあーちゃんに目をやる。きりっとしている。

テーブルについている隊長たちの手前毅然と振舞っているのだろうが

さぞ心細いだろう…

あーちゃんは私が絶対に護ってみせる!

その切り札は既に私が握っているのだ。失敗など…ない!

私はぎゅっと拳を握る。

既に日は沈み作戦室にも明かりが灯っている。

城内が慌ただしく、ざわついてきた。作戦室内の緊張は高まる。

夜陰に紛れての夜襲だろうか…厄介な事にならなければいいが。

正々堂々の戦闘ならば一撃で屠る奥の手が私の手中にはある。

大量破壊兵器を正々堂々と言っていいのか甚だ疑問は残るが

しかし少数精鋭で奇襲をかけられては被害は避けられない。

ならば、その役割を軽減するためには…。

ドンドンドン!

「王からの伝令に御座います!アメリア様!お目通りを!」

「よし、入るがいい!」姫様は言う。

「敵少数精鋭部隊が夜陰に乗じ夜襲攻撃を行うもよう!

我が軍も精鋭を編成し是に当たるとし

アメリア様陣営よりアリシア様参加への打診に御座います!」

「え…そんな…。」姫様は、そう言うなり絶句し私を見る。

姫様そんな表情を見せてはいけません配下の士気に響きます。私は心で呟く。

私はアメリア様が命令を下しやすいよう言う。

「アメリア様!下知を!」叱咤する。

「……でも。」だめだ…完全にあーちゃん状態だ。

「アメリア様!ご決断を!必ずや朗報を持ち帰りましょう!」

私は強めに言葉を紡ぐ。

「…う……しょ…承知した!必ずや生還せよ!これは命令である!」

彼女の精一杯だと思う。よく言えたねあーちゃん。

「はっ!必ずや!」私は伝令と共に精鋭部隊に参加するべく合流地へ向かった。

現地へ着くと既に編成部隊はいた

隊長の騎士ガルヴァン、副隊長の騎士ゼノンの采配となる。

「敵は騎兵150!歩兵850!併せて兵力1000と斥候からの報告だ!

我々は騎兵200歩兵800の構成だ!

騎兵を切り崩し我ら騎馬隊が歩兵に当たる!

以上だ。異論、質問がある者は申し出よ。」ゼノンは言う。

私は手を上げ発言する。

「異論ではありませんが、提案があります。」

騎士ガルヴァンは私に目をやる。

「おぉ!アリシア殿ではないですか!これは心強い!」

周囲の騎士がざわつく、数人玉座にいた騎士は知っているだろうが

騎士ガルヴァンから一本を取った事があるアリシアという者という情報は

時間を経て多くの騎士の耳に入っているのだろう。

「提案とは何でしょう?」ガルヴァンは言う

「私をガルヴァン殿の馬に同乗させていただきたく存じます。

敵先陣騎馬隊と会敵時、敵騎馬隊切り崩しの先陣を

わたくしめにお任せいただきたいのです。

敵馬上に跳躍し始末して見せましょう。」

アルヴァンは即座に答える。

「アリシア殿に先陣を切って頂けるとは願ってもない!是非お任せしよう!

聞いたか我が隊よ! 本日の先陣は、アリシア殿が務める!

我が背より跳び、空を舞い、誰よりも早く――敵の首を狩る者だ!」

「ウオー!!!!!」隊はその言葉に呼応するよう雄叫びを上げる。

まるで地鳴りのような咆哮だ。

私の申し出を隊の士気高揚に繋げる。素晴らしいカリスマ性だ。

「開門!」騎士ガルヴァンが街城門兵に命じる。

「はっ!」数人の門番が扉を開ける。

私達は打って出た。馬の背でしゃがんでた私は

速度が乗ると、立ち上がる。アサシンの体幹は忍者のそれと同じだ。

前方に砂埃が見える

「会敵!散開しつつ備えよ!」騎士ガルヴァンは叫ぶ

敵が間合いに入った瞬間私は跳躍した。

ザグッ!ザシュッ!

敵騎馬の上の敵兵の首をカタールの刃の部分で刺突し刎ねる!

トン!

敵騎馬の上に着地し

ヒュッ!

次のターゲット目がけて跳躍し首を刎ねる

私は宙を舞いながら、これを繰り返す。

私は、あっという間に数十体の騎兵を切り崩した。

「何と見事な…!

敵は体勢を崩しているぞ!突撃せよッ!」

再び騎士ガルヴァンは叫ぶ。

「ウオー!!!!!」

隊は雄叫びを上げ突撃する!

ドドドドドドドドドド!!

隊同士が激突すると馬の足が止まるため足場の確保が楽になった。

お陰で私の跳躍スピードは上がり敵騎馬兵の首を刎ねる速度が上がる。

ハァハァ…息が切れ、肩で息をする。

息もつかぬ戦闘だ流石に疲労は隠せない。

私は自軍に倒されていない敵騎馬隊の騎馬兵の首を

全て斬り落としていた。残るは歩兵部隊だ。

そのまま敵歩兵と会戦する。

ガキィン!カァン!ガァン!ゴン!ドッ!ドシュッ!ザシュッ!

互いの精鋭は激しくぶつかった。しかし時間が経つにつれ

こちらの隊が一方的に優勢となり、残り僅かになった敵は敗走した。

気が付くと勝利を得た我々は返り血に塗れていた。

「皆の者!我らが勝利!勝鬨を上げよッ!!」

三度みたび騎士ガルヴァンは叫ぶ。

「ウオオオオオォォォォォ!!!!!」

勝利に酔いしれる隊員を笑顔で見つめた後

騎士ガルヴァンは騎士ゼノンに問う

「ゼノンよ、兵の損耗を確認してくれないか?」

「わかった各兵隊長に聞いてくるとしよう。ハァッ!」

騎士ゼノンは馬を翻すと、各隊の隊長に損耗を聞いて回った。

私は気が抜けてへたり込む。終わったぁ。

直ぐに騎士ゼノンは戻ってきた。

「重傷者23名、軽症者255名。何と死者は無し。

我らが大勝利だ!ガルヴァン。」

そう言うとゼノンは馬上で拳をガルヴァンに突き出す。

これに呼応し騎士ガルヴァンは拳を合わせる。

「陛下へ良き報告が出来そうだな。」

ガルヴァンは返り血で赤く染まったブロンドの髪を揺らし

そう言った。

「さて…さぁ、我らが勝利の女神様、お手を。」

へたり込んでいる私に騎士ガルヴァンは笑顔で手を差し伸べる。

私はその手をとり、騎士ガルヴァンの背後で馬に跨った。

街の城門に入り凱旋すると夜だというのに街の皆が

歓声と共に出迎えてくれた。

「王国騎士団!ガルヴァン様!ローゼンガルド!ばんざーい!」

寝ている人もいるだろうに…と思うが

命を賭して戦ってくれた騎士隊への精一杯の感謝なのだろう。

騎士団員は皆手を振って応えている。

私はというと。騎士ガルヴァンの背に隠れるように丸まる。

生前の自分は、こういったことに慣れてないから

いまでも何かこういうのは苦手なんだよな…。

騎士ガルヴァンと並走している騎士ゼノンは私の様子に気づき

こっちを見て微笑んだ。こっちみんな!

何か見透かされたような気がして恥ずかしい!

そのまま城門へ向かい、騎士達は騎士ガルヴァンに労われ

解散となった。

騎士ガルヴァン騎士ゼノンそして私は、そのまま玉座に向かった。

返り血を浴びたまま御前に出るのは失礼にあたる。

しかし一刻も早く戦果を陛下に伝えたい為、無礼を覚悟で報告へと向かう。

「騎士ガルヴァン騎士ゼノン、アメリア姫様従者のアリシア

只今戻りました。早速のご報告をお許しください。

重傷者23名、軽症者255名、死者は無し

我々の完勝に御座います。

返り血に塗れたまま御前に参上いたしました事

どうかご容赦賜りますようお願い申し上げます。」

ガルヴァンは片膝を突き報告をする。

「返り血は戦場の誉れ、何を憚ることがあろうか。

それよりも、皆の命に別条がなかった事何よりである。

貴公らの獅子奮迅の戦い、見事であった。

身を清め休むがよい。」

陛下は臣下を気遣い労われる心優しい王様であらせられる。

私達三人は返り血を落とし身を清め、各々の持ち場に戻った。

私が作戦室へ戻ると、部屋の中をウロウロしていた姫様が

駆け寄ってきた。

「無事で何よりだ!」言葉は毅然と姫様をしているが

涙目で私に抱きついてきた。いつものあーちゃんが行動に出てしまっている。

これは臣下の手前宜しくない。

私は姫様の肩に手をやりそっと引き離し

「臣アリシア、只今戦場より無事帰還致しました。」

片膝を突き頭を垂れ報告する。

「ぐすっ…面を上げよ…我が父への助力…大儀に適う物であった事

ひぐっ…深く感謝する…。」

あらあら…まぁまぁ…、姫様とあーちゃんが混じっている。

「ありがたきお言葉、深く感謝申し上げます。」

姫様は気持ちを落ち着けた後

位の高い信の置ける臣下に指揮権を預け

私も姫様も寝所で休むこととなった。

明日は決戦だ。一瞬で片をつけてやる。

私は決意を胸に眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ