前夜
初めの方に一部ごく僅かながら、本当に若干のお色気ギャグが入ります。
そういうのが嫌いな方はスルーをお願いします。
今日はロディーが来ている。まぁ定期報告ってやつね。
宮廷内の王子・王女関係が上手く行っているかどうか教えに来てくれる。
割とまめなやつだ。多分前世は陽キャだったんだろうなぁ。
「ロディー頼みがあるんだけど聞いてくれる?」
「今更なんだ?何でも聞いてくれ。」
「実は不穏な噂を耳にしたんだけど。この国が戦争に巻き込まれるかもしれないと。」
「マジかヤバくね?」
「まぁ、あくまで街の人の噂なんだけど。
私は前世INTP-Tだから最悪の想定をするタイプなんでね
闇の武器商人の情報なんかない?」
「うーんダンジョンメインだから、なかなか街中の人の
思考を読むのはやってないからなぁ」
「おねがい!何とか探してくれないかな?」
「分かったよ。今日からは街中を中心に覗いてみるとするよ。」
「ありがとうロディ助かるよ。」
「なぁに相棒が困ってたら助けになるもんだろ?任せとけって!」
「ロディーと知り合えて本当に良かった。君は本当に頼りになる。」
「何だよ…急に、よせよ…」ロディーは照れて顔を真っ赤にして頭を掻いている。
「じゃあ頼んだよ!」
「おう!任せときなって!」
そう言うとロディーは部屋を出て行った。
私は銀のカタールを購入した。ソロならばリッチロードも行けるだろう。
そんなわけでB2Fでトレハンをする日々を送る。
(数日経過)
朝起きてシュミーズのまま考える。
一週間たっても、あーちゃんが来ない。
今までにないケースに私は戸惑った。
何かあったのだろうか。気が気でない。
私は防具に着替えるためにシュミーズを脱いだ
コンコンコン!ガチャ!
「おーいアリシア見つかったぞ!」
ロディーはノックをしたが私が返事をする前に部屋に入ってきた。
下着姿の私を見たロディーの動きが止まる。
「おわっ!…あ…ごっ!ごっ!ごめん!」
バタン!!ロディーは急いで外に出て扉を閉める。
「ほんとにマジでごめん着替え中だとは思わなかった。
マジごめん。」
私は装備に着替えるとドアを開け言う
「別に気しなくていいよ、入って。それより報告があるんでしょ?」
「う…うん…そうなんだけど…」
ロディーは前かがみになって手で股間を隠している。
「あのさぁ…ロディー…お前なぁ…」
「しょうがないだろ!お前だって男だったんだから分かるだろ!」
何とも情けない姿だ。
「…うん…まぁ…ね。」
理性では本能には逆らえない。男の悲しいサガなんだよね。
「じゃ中にいるから収まったら入って。」
「お…おう。」
(時間経過)
コンコンコン!
「入っても良いか?」
「いいよ。」
ロディーは中に入ってくる。
「思春期の男の子はお盛んだねぇw」
私はちょっとからかってみる
「うっさいな!そんなこと言うと情報教えてやんねーぞ!」
「ごめんごめん、ちょっと、からかいたくなったんだよ。
で例の件みつかった?」
「そうそう、それだよ!いたぜ。闇の武器商人
相当やばい代物まで扱ってるみたいだ。」
「そうか、じゃあ商人の住処をメモしてもらえる?」
「了解。」カリカリカリカリ…
「町はずれの、ここ、おんぼろ小屋だ
目立たないように、ここで活動しているらしい。」
「なるほど、ありがとう恩に着るよ。
それぢゃあ…お礼は私のエッチなポーズとかでいい?
こんな感じ?w」
私はポーズをとる。
ロディーは再び前かがみになる
「お前マジでやめろって!俺で遊ぶな!」
顔真っ赤で草。
「ごめんごめん、なんか面白くなってきちゃってさ。」
私は笑いをこらえて言った。
「俺は面白くねーよ!」
ハハハッ!私は笑ってしまう。
「笑い事じゃねーよ!もう俺は行くからな!」
バタン!!
ロディーは前かがみのままで強くドアを閉め出て行った。
「ふぅ…さて杞憂ならいいんだけどね。念には念を。」
そもそも、もし戦争にでもなれば冒険者に傭兵依頼とかが
ギルドに来ているはずだ。
冒険者ギルド掲示板に行くと、それはすぐ目についた。
掲示板の中央上部、通常の依頼書の5・6倍の大きさはあるだろうか
字もそれに伴い大きい。内容はこうだ。
急募!
アリシア先生 助けて!
以上。んー電報かな?
実質、姫様からの呼び出しである。
その依頼書に押しのけられるように、沢山の
傭兵募集が散見される。やはり戦争準備なのだろう。
姫様が城から出られなかった理由はこれか…
私は依頼書を剥がし受付へ持ってゆくと
受付嬢がお待ちしておりましたと筆記具を渡してくれる。
私はサインをするとアメリア姫の父エドワルト王の勅命
王家の紋章の封のついた詔を持ち城へ向かう。
衛兵に詔を見せると
すんなり通してくれた。
私は王城の中を見回す。久しぶりにきたなぁ。
王の間の前までくると見覚えのある二人が待っていた。
騎士ガルヴァンと騎士ゼノンだ。
「お待ちしておりました、王がお待ちです。どうぞ中へ。」
私は胸に手を当て腰を折り敬礼をした後、玉座の間へ入る。
顔を伏せ片膝を突き頭を垂れる。
「王命を仰せつかり、ただいま参上いたしました。」
「待っていたぞ、アリシア。早速ではあるが任を言い渡す。」
「はっ!何なりと」顔を上げ王様の顔を見ながら奏上した。
「まぁ言わずとも分かっているであろう。
アメリアの警護兼参謀役として働いてはくれぬか?」
「元より、そのつもりで参上致しました。
アメリア様の護衛と参謀役、全うしてご覧にみせます。」
「そうか、期待しているぞ。騎士ガルヴァン、前へ!
アメリアの第4作戦室へ案内せよ。」
「はっ!かしこまりました、陛下。」
ガルヴァンはエドワルト王に軽く一礼をし
「アリシア殿、こちらへ。」と促した。
私は第4作戦室へ案内へ案内された。
コンコンコン!
「姫様ガルヴァンに御座います。アリシア殿をお連れ致しました。」
「入るがよい。」姫様の声が聞こえる。
ガチャ!「失礼いたします。」ガルヴァンが私を通しながら言う。
「アリシア詔により参りました。」私は顔を伏せ言う。
「面を上げよ。」
「はっ!」私は顔を上げる。
姫様の目は潤んでいる。いけない、これはあーちゃんの表情だ。
「アメリア様の為、このアリシア身命を賭してお役に立つ所存です。」
敢えて硬い言葉を使った。
「ご苦労、では早速戦況について説明をする。席に着くがよい。」
あーちゃんは私の意図に気づいたのか、ちゃんとアメリア姫様に戻っていた。
「敵兵力は約5万一個大隊につき兵一万、5隊に分かれて進軍中だ。
我々の兵力は2万。父上直属第一騎士団をはじめ神官・魔術師1万
兄姉私4人それぞれの第二から5までの騎士団それぞれ2500
状況的には頗る不利だ、ただ防戦の方が有利な為、実質互角と言っていいだろう。
案があるものは申し出てみよ。」
アメリア姫の凛々しい姿もカッコよくて素敵だ。
しかし中隊の騎士は誰も発言しない。
兵力差に気圧されているのだろう。
「姫様、私に一計があります。暫し席を外すことをお許しください。」
私は進言した。
「流石先s…コホン…宜しいアメリア殿、良きに計らえ。」
あーちゃんが出ちゃってるよ…。
「それでは失礼致します。」私は扉を出ると
リターンの書を出しリターンを唱えた。
ロディーに描いてもらった地図は冒険者ギルドが一番近いため
冒険者ギルドの外に跳んだ。
暫く歩き町はずれの、おんぼろ小屋に到着。
コンコンコン!
「 月影は満ち、誰がその裏を知る?」
中から声がする。暗号だな。ちゃんとロディーから聞いている。
「闇の住人、声なき者が答える。」
私は落ち着いて言葉を紡ぐ。
ガチャ!鍵を外し扉を開ける「中へ入れ。」
私は中へ入る、様々な商品が棚に所狭しと並んでいる。
「何がお望みだ?」
「大量破壊兵器。」私は言う。
「どのぐらいの規模を望む?」
「街一つ消し飛ばす威力の物が望ましい。」
「そうか、あるぞ。ただし値も張るし、取り扱いが極めて難しい。
説明を聞くかい?」
「無論だ。」
店主は緋色の、大きさは顔の2倍程度の緋色のクリスタルをテーブルに置いた。
「これはとある解放呪文を唱えると、魔力が暴走し
魔法使いの極大呪文、下手すると禁呪以上の威力で周囲が跡形もなく消え去る。
ただし自爆用だトリガーワードを発した10秒後臨界に達し爆発する。」
まぁ私は自爆をせずに使用できる手立てがある何の問題もない。
「そうか。値段を聞いても良いか?」
「そうさな…金貨50万枚と言いたいところだが
おまけして30万枚で譲ってやるよ。滅多に売れないからな。」
私は言葉に詰まってしまった。
桁が違う。文字通り桁が違うのだ。
ただこれを使えばこの国に戦死者を出さず
戦わずして戦争を終わらせることができる。
王様に直談判してみるか…それしか方法はないだろう。
「わかったパトロンに相談をしてみる。
どのような返事が来るかは全く予想が付かない。
だが交渉してみようと思う。そのクリスタルをストックしておいてもらえないだろうか?」
「いいぜ。滅多に売れるものではないしな。」
「それでは早速掛け合ってくる、これにて失礼する。」
「色よい返事待ってるぜ!」
私は扉を閉め外へ出た。ガチャリと直ぐに鍵をかける音が聞こえる。
私は早速王宮へ向かった。玉座の間へ直行する。
「陛下、お願いがございます。もしお許しいただけるなら
私の願いに、お力添えを賜りたく、お願い申し上げます。」
「申してみよ。」
「僭越ながら、この戦争味方の死傷者を出さずに終結させる手立てが御座います。」
「なに!それは誠か!申してみよ!」
「私に金貨30万枚をお預けください。」
「………。」
王様は無言となる。
玉座に居合わせた騎士が激昂する。
「このたわけ者め!そんな願いが聞き入れられると思うか!
分をわきまえよ!」
「………。」
今度は私が無言になる。そんな事は百も承知だ。
二の句が告げられない。
沈黙が続く。
重い雰囲気の沈黙を破ったのはエドワルト王だった。
「金貨30万枚用意すれば国民に被害なく確実に勝てるのだな?」
覚悟の決まった目だ。
「わが命に賭けまして誓います。」
「ゼノンよ!」
少し離れていたところにいたゼノンは王の御前に出て傅いた。
「宝物庫より急ぎ金貨30万枚を調達せよ。」
「承知いたしました。」一礼をすると足早に玉座を退出した。
「其方も後を追うがよい。」
「はっ!」私は急ぎ騎士ゼノンの後を追った。
用意された金貨はとてつもない量で
最新の軽く運べる荷車に箱数十個乗せ
私は闇商人の元へ向かった
「 月影は満ち、誰がその裏を知る?」
「闇の住人、声なき者が答える。」
ガチャリ!と鍵を開ける音がすると先ほどの男が出てきた。
「約束の物は用意した。」私は言う。
「よし運び入れるぞ。」男は言った。
荷台の箱を全て小屋に入れる。男は箱を空け中を確認し満足している。
「よし、では説明する。
トリガーワードだ。
『その秘めたる力をもち全てを解き放て、深紅の焰!』
これが詠唱がトリガーだ10秒後には爆破する。
因みに俺は既にトリガーセリフを言ってしまったから。
もう触れねぇ。お前さんが持って帰ってくれ。」
「それでは貰ってゆく。」
私はバックパックに深紅のクリスタルを入れ
小屋を後にした。
私は玉座に戻っていた。
「陛下準備は万端です。隣国が陣を構えた時が勝負でございます。
陛下の度肝を抜くような光景をご覧に入れて見せましょう。」
「うむ!何とも頼もしい。逐一伝令からの報告がある
アメリアの第4作戦室で待機するがよい。
時期が来たならば伝令を向かわせる故。」
「はっ!」
私はアメリア様の元へ向かった。
コンコンコン!
「何用か?」アメリア様の声だ。
「アリシアに御座います。」私が言うと。
アメリア様自らドアを開け私を席に誘う。
「して首尾は?」
「はい。完璧に御座います。姫様には特大の花火を
ご覧に入れて見せましょう。」
花火と聞いて目が輝く。時々あーちゃんが出るんだよなぁ。
「コホン…時期が来るまではエドワルト王がここで待機せよと。」私は言う
「相分かった、それでは暫しここで休むがよい。」
姫様は私の隣に座る。いや姫様は指令席に座らないと…。まぁ良いか。
私は時が来るのを待った。




