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王子王女の事情と本当の連れ

ー 宿屋の部屋にて ー

「実はあの子についての事なんだが…」

「あーちゃんの事か?」

「あぁそうだ、昨日お前たちが依頼受けている時

つけていたんだ。ごめんマジごめん。許してくれ!」

そう言うとロディーは私に土下座をしている。

「そうか、あーちゃんの記憶を読んだんだな?何があった?」

「えっ?怒らないのか?」

「まぁ以前なら怒ってただろうが、君は真面目なやつだと

認識したからな。記憶を覗いた結果、何か私に伝えたくて来たのだろう。」

私は冷静だった。以前ならぶちぎれてただろう。

「そ…そうか…これはちょっと見過ごせない問題だ。

お前にとっては辛いことかもしれんが、聞いてほしい。

実は昨日お前たちをつけた時、あの子を見たし記憶も覗いた。

そこでとんでもない事を知ってしまった。」

「この国のお姫さまだったことか?」

「そうだなそれも驚いたが、そんなこと比じゃない事実が分かった。

お前が既に知っていれば問題ないが…。」

ロディーは少し表情が暗くなる。

「勿体ぶらずに話してくれ。」

「あ…あぁ。王家の子息については知っているか?」

「いやアメリア様だけしか知らない。」

「王家の家族構成は第一子が王子レオナード、第二子王子ルドヴィク

第三子第一王女ロザリンデ。ここまでは知っているか?」

「いや、知らなかった…半年近く家庭教師していたのに…。」

「そうか…問題はこの先だ。実はアメリア様は三兄弟に迫害されている。」

「なん…だと…?!詳しく聞かせて欲しい!」私は食いついた

「第一王子が末っ子で王から可愛がられているアメリア様が気に入らないらしくてな。

子息の中でも率先して日々嫌がらせをしている。兄姉間で完全に孤立している

残りの二人は兄に同調して嫌がらせをしている。

見たくないだろうが確認の為記憶を見るか?」

私に気を使ってロディーが言う。

「無論だ。寧ろお願いだ。見せて欲しい。」

そう私が言うとロディーは液晶を開きアメリア様の記憶を私に見えるように再生する。

無視・聞こえるような陰口・罵倒・殴る。見るに堪えられないものだった。

私は何度も目を逸らしそうになった。だが証拠だ。全てを記憶に焼き付けた。

「私は日が沈むのを待って王子に警告をしてくる。

礼を言わせてくれロディー。教えてくれてありがとう。」

私はロディーに一礼をする。

「な…なんだよらしくねぇな…記憶をのぞいたなー!とか怒ってくれよ」

人差し指で頬をポリポリと掻いている

「行くなら、くれぐれも気をつけてな。」ロディは言う

「心配する事は無い。私は時が止められるんだぞ。」

「それもそうか。」ロディーは少し安堵した表情を見せた。

日も暮れ頃合いだ。私は城門へ向かった。

衛兵の見えないところで時を止める。

そして玉座の間の手前の天井に身を隠し気配を消し息をひそめる。

あーちゃんもそうだったが、一日の報告を王にするのが決まりらしい

つまり王子・王女は必ずここを通る。

第一王女ロザリンデが報告に現れた。が、スルーをした。

考えあっての事だ。

次に現れたのは目当ての第一子が王子レオナード。何事もなければ王位継承者だろう。

王への報告を終え宮殿の方へ向かう。自室に行くのだろう、私は時間停止を駆使しながら

レオナードの寝室を突き止めた。本人が入っていったから間違いないだろう。

入り口には屈強な騎士が4人。厳重だな。よほど慎重な男と見える。

王子は部屋へ入って行ったため、私は時間停止を駆使し騎士共を無力化し部屋に入った。

王子の後ろから声をかける。

「お前が第一子が王子レオナードだな。」

王子は振り返ると

「誰だ貴様!誰かあるかっ!!」叫んだ

まぁ入り口の騎士に助けを求めたのだろうが返答はない。

シーン…

静けさが部屋を包む。

私は素早く王子の背後をとると首筋にカタールを突きつける。

「話をしてもいいのは私だ。お前はバカみたいにイエスかノーだけ

首の縦振りと横振りだけで答えろ。

もし少しでも言葉を発したらお前を殺す。いいな?」

王子は真っ青な顔で首を縦に振る。

「お前アメリアを迫害しているだろう?」

私は敢えて聞いた殺してしまっては後々面倒なので

嘘をついたらそれなりの罰を与えるつもりだった。

王子レオナードは首を縦に振る。

命がかかっていれば、正直に答えるタイプか。

そのまま全身の映る姿見の前へ連れて行く。

「私の目をよく見ろ。目を逸らすな。私の姿を焼き付けておけ、そして話を聞け

私は目にありったけの殺気を込めて言う。

今からお前に三つの条件を出す。全て聞き終わってYESなら首を縦に振れ

NOなら首を横に振るといい。横に振った場合は命の保証はない。」

王子レオナードはガタガタ震えている。膝も笑っている。相当ビビっているな。

「一つ。今後アメリアを物理的にも精神的にもお前が率先して守れ。

王子ルドヴィク及び王女ロザリンデこの二人はお前につられて

アメリアを迫害していると見える。お前がアメリアを守れば自然に

迫害は無くなるだろう。もし無くならないならなくすよう圧をかけろ。

そして自然体で優しくするよう言い聞かせろ。当然お前もだ。

第二に、この事は誰にも漏らすな王への告げ口も許さない。

アメリアにも言ってはならない。お前が改心したかのように振舞え。

もしこの事が外に漏れたらお前にしか言っていない事から

お前が漏らしたとみなして、お前を殺す。

三つ目これは条件というよりも忠告になる。

以前勤めていたアメリアの家庭教師は知っているか?」

王子レオナードは頷く。

「あれは私だ。ガルヴァンから一本取ったのは知っているか?」

王子レオナードは頷く。

「つまり王国最強の騎士ガルヴァン騎士ゼノン共に

殺害しようと思えば何時でも私は殺害できるし

この通路に騎士団を埋め尽くしても一瞬で全員殺害できる。

つまり無駄なあがきは意味がないという事だ。

さて、この条件を呑めるか?返答次第によっては今ここでお前は死ぬ。

じっくり考えて答える事だ。待ってやる。」

王子レオナードは考えるまでもなく頷いた。

「流石第一王子素早い、いい決断だ。

それと私は、お前の思考を監視できる。

この内情を知ったのもアメリアの思考からだ。

私は、いつもお前を見ているぞ。努々約束をたがえるな。」

「それではそろそろ失礼するが、ここにスピネルの宝石を置いていく

これが夢ではなかった事をこの宝石を見るたびに思い出せ。わかったな?」

王子レオナードは何度も頷いた。

冷や汗びっしょりで顔からぽたぽたと汗が落ちている。

クロノコントロール、スタティック!

リターン!

宿屋のロディーを抱えて王子レオナードの部屋に飛び王子の死角に置いた。

王子レオナードは私の目を凝視しているためロディーに気が付く事は無い。

リリース。

ロディーがサムズアップしたのを見て、時を止める。

王子を見る事に成功した合図だ。

リターン!

ロディーを宿屋において

王子レオナードの部屋に部屋に戻る。

そして時間を動かす。

「追っても構わんが追ってきたものは皆殺すぞ。

その覚悟があるなら。追手をよこせ。」

王子レオナードは無言だ。

「ん…あぁ…もう喋っても良いぞ。」

「私の生殺与奪権は貴方に握られている。

そのような自殺行為はしない。決して追手を差し向けたりしない」

ハンカチを取り出し汗を拭きながら言う。

「いい心がけだ。それではアメリアの事くれぐれも頼んだぞ。」

「はい。仰る通りにします。」

「では健勝でな。」

私は窓を開け窓を飛び越えベランダに出る

王子の部屋4階から飛び降り私は闇の中に消えて行った。

王子はへたり込んでいた。

その後別の部屋から猿ぐつわに手足を拘束された

4人の騎士が発見された。

私は宿屋に帰っていた。

「ロディー危険だったのに色々とありがとう、感謝する。」

私は頭を下げる。

「やめてくれよ!連れが困ってたら助けるのは当たり前だろう。」

そう言いながら鼻下を擦っている。

「今後、王子レオナードの監視を頼む。あーちゃんに何か酷い事そしたら教えて欲しい。

危険な任務に付き合わせてしまった…せめてもお礼だ受け取ってくれ。」

私は金貨50枚をロディーに渡そうとした。

「いや!受け取れねーな!連れが困ってるのに助けて金もらうって変だろ?

お互い持ちつ持たれつなんだから、遠慮するなって!いつでも頼ってくれよな!

監視はちゃんとするぜ!」

ロディーは笑いながらそう言った。

「すまなかった、お前、本当は良いやつなんだな…認識を改めるよ…。

今後ともよろしく、相棒。」

そう言って私は手を差し出した。

「おいおい、今まで悪いやつだと思ってたのか?

ショックだぜ。まぁでも認識変えてくれたならいいや!ハハハ!」

ロディーはあっけらかんと笑いながら手を握り返した。

私とロディーは本当の意味で連れになった。

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― 新着の感想 ―
面白すぎて自分の中で超新星爆発おきました
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