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思わぬ出会い

私は今日も仕事トレハンの為に千腕の修練窟にいた。

ダンジョンの入り口で目を暗闇に慣らしている。

何時もの手順で何時もと変わらない1日になるはずだった。

何者かが後ろで待機している。殺気はない。

私と同じように目を慣らしている冒険者だろう。

私はそう思い、その場でじっとしていた。

「へぇ高橋大輔っていうのか。」

少年の声がした。私を吐き気と眩暈が襲う。

私はショックで暫く動けなかった。

何故か?それは私の前世の名前だったからだ。

「ん?何だ?気分でも悪いのか?」少年は言う

クロノコントロール!スタティック!

私は時を止め振り返ると赤髪の少年がいた。

暢気な顔をしたまま止まっている。その目の前には

液晶のようなスクリーンが投影されており

生前の私の姿が映っている。

私はカタールを鞘から抜き少年の首元に刃先を突きつける。

ゴクリ。私は息を吞む。私は悪人ならば気軽に始末できるが

そうでない者を手にかけるのは抵抗がある。しかも少年だ。

私の額に汗が滲む、そして頬を伝って顎へと流れる。

…私の過去を知っている者がこの世界にいるのは都合が悪い。

殺るしかない。私は自分に言い聞かせる。

そうして私は腕を無理やり押し出した

しかし刃は少年の喉に食い込まない。

何故だ!

一度カタール喉元から引き、勢いをつけて喉を突き刺す!

ガキン!弾かれる。

どういうことだ?!私は混乱した。

以前姫様を襲った賊を止まった時間の中で始末した。

しかし、今回は刃が通らないし体のどの部分を突き斬ろうとしても

一切刃が効かないのだ。

試しに殴ってみても、やはり何かバリアのようなもので覆われているような感覚で

ダメージを与えられない。

「どういう事だっ!」止まった時の中で私は叫んだ。

リリース…私は時間停止を解除した。

ガキン!時を動かしても結果は同じだった。

少年の喉に刃は通らない。

「うわっ!お前ノータイムで殺りに来るとかサイコパスかよ!」

その少年は尻餅をついて言った。

「何故私の前世の名前を知っている?お前は何者だ?」

私はカタールを構えたまま問いただす。

「取り合えず落ち着け!な!俺は佐藤剛

日本に住んでた!名前から察するにお前も日本人だろ?」

少年は矢継ぎ早に答えた。

「何故私は、お前を害せないんだ?」

私は鋭い目つきで問う。私の頭の中では、この少年は何度も死んでいる。

「お前!マジサイコパスかよ!

一つだけ説明しておくと、この世界は前世転移組は

同士討ちできないようになっている。

だから落ち着け!」

カチン!

ならば私はカタールを抜いている意味はない。鞘に納める。

「どういう事だ説明しろ。」

私は少年に言った。

「ふぅ…お前ヤバいやつだな。まぁいい。お前もこの世界に来た時

スキルを貰わなかったか?」少年は私に聞く。

「どうだろうな。」私は言う。

「はぁ…お前絶対友達いない奴だろ…まぁいい。

俺が貰ったスキルはこれ。」液晶のようなスクリーンを指さす。

「これ誰かの記憶を見る事が出来る能力な。

因みに離れていても一度記憶を覗いた奴の記憶はいつでも

更新された記憶も見る事が出来る。

こんな風にな。」

そう言うと少年は画面をフリックする。

私が先ほど考えていた

その少年を色々な方法で殺害する映像が流れる。

「お前ぇ!!!!何考えてたんだ!!!!

お前絶対シリアルキラー系の奴だろっ!!!!」

腰を抜かしながら少年は言う。

まぁちょっと凄惨な映像なのでそういう反応なのは

仕方ないかもしれない。

「お前の記憶覗いたの間違えだったかもな…

関わっちゃいけない奴っぽいわ…」

ヤバイやつを見る目、そのまま私を見ている。

「何が目的だ?」私は聞く。

「いや普通に、この世界で生き抜く為に同志を探してんだよ。

この世界で生きて行くには冒険者が最適だろ?

だから俺はこうして元の世界の奴をダンジョン回って探している。

お前は日本人だったみたいだし

記憶覗いた瞬間、当たりだと思ったが

ハズレも良い所だったわ。マジで。」

抜けた腰を元に戻しながら少年は言う。

「もういいわ、俺は別の連れ探しに行くから

お前とはここでバイバイな。」

そう言いながらダンジョンを出ようとする。

「ちょっと待って。」私は少年の手を掴む。

「おいおい!何だよ!」少年は乱暴に私の手を払う。

「時間停止の魔法。」

「えっ?」

「私の貰ったスキルは時間停止の魔法。

言わなくても記憶を覗けば分かると思うけど。」

「え?マジで?」

「うん。」

「めっちゃ便利なやつじゃん!」

「うん凄く助かってる。」

「いいなぁ…俺のより、よっぽど実用的じゃん…」

「じゃあ手を組もう。」

「……大丈夫なのか?」少年は訝しげに言う。

「逆に考えてみてよ。いきなり前世の名前を投げかけられたら

警戒するでしょ?」私は言った。

「うん。まぁ。確かに。そうかもなぁ。」納得しかけているようだ。

「それで、いつでもどこでも昔から現在まで全部記憶見れますって言われたら

どう思う?」私は畳みかける。

「むぅ。確かに嫌だよな。俺が浅はかだったかもしれない…」

「今はもう敵意はないよ。寧ろ同じ元日本人として親近感を持ってる。

今の記憶見てみてよ。」

「あ…本当だ。」

「どう?」

「助け合うのに異論はない。お前の能力便利そうだし。」

「いや君のもなかなかいい能力だと思うよ。

交渉とかマウントとれそうだよね。」

「なるほど!そういう使い方もできるな。

よしわかった!わかった手を組もう。」

「私のここでの名前はアリシアよろしくね。」

私は手を差し出す。

「俺はロディーよろしくな!」

私の手を握り返してくれた。

「ロディーは今どこに滞在してるの?」

「滞在も何も野宿だよ。」

「え?!実家とか宿屋じゃないの?」

「あぁなんか両親が俺が元のロディーじゃないって勘ぐって

家追い出されちまったんだよ。マジで野宿ホームレスだわ。」

「そっかー、ちょっと差し出がましいけど。」

私はバックパックから金貨を10枚取り出す

「これ使ってよ。私こっちの世界では結構成功してるから。」

そう言うとロディーの手に金貨10枚を握らせる。

「マジか?!金貨10枚とかすご過ぎね?!」

「気にしないで。今手持ち金貨500枚ぐらいはあるから。」

「すまん前言撤回だわ。ハズレとか言ってごめん

やっぱりアリシアとの出会いは

宝くじ一等当選レベルだったわ、ごめんな…。」

「いいよ、あの時はそう思われても仕方なかったから

これからは仲間だから遠慮しないでいいよ。

ところで冒険者登録とかはしてるの?」

「いいやしてないな。連れ見付けてからと思ってたから。」

「それじゃ先ず冒険者登録からだね。適性みたいなのは

冒険者ギルドの協会で調べてもらえるから、取り合えず行ってみるといいよ。」

「そうなんだ、ありがとう行ってみるよ。」

「ちなみに私はアサシン。前衛で罠解除鍵開けが得意。」

「ヒエッ…アサシンとかこわE。」

「単なる職業だよ時間止めはめっちゃ役にたつ職業だしね。」

「あー確かにうってつけだなぁ。」

「まぁ私は首都首都ローゼンシュタットの宿屋にいるから

何かあったり困ったら訪ねてきて。

記憶を読めば滞在先は分かると思う。

後お願いがあるけど、なるべく私がこれは見られたくないだろうなって記憶は

覗かないで欲しい。」

「まぁ、至極当然だわな。了解。約束する。」

「私はこのまま仕事に戻るから、冒険者ギルド行ってみてね。

修行も手伝うし、そのうちPT組めるようになるのが目標だね。」

「分かった、頑張ってみるよ。」

「それじゃまたね!」

「おう!またな!」そう言うとロディーはダンジョンの外へ

私はトレハンへと向かうのであった。

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