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平穏な二人の1日

「お姉様!実はやってみたい依頼があるのです!」

あーちゃんは部屋に来るなり、そう言った。

まだ何回も一緒に依頼をこなしているわけではないけれど

あーちゃんから、やってみたい依頼があるのは珍しい。

「どんな依頼ですか?」私は聞く

「えっと、実は最近ある遺跡で冒険者が消えてしまうらしいの。」

うん。わかってしまった私が前回受けた依頼だろう

王家からの依頼だったからね。

姫様のあーちゃんの耳に入るのも当然だろう。

「あーちゃん、その依頼はやめましょう。」

あーちゃんは、まだ全てを言い終わってないけれど

私は正直な所あの依頼はあまり思い出したくない。

生殺与奪権を他人に握られるというのは相当なトラウマになる。

「えっ?何の依頼か分かったの?」

「はい。その依頼一人だけ生還した者があると聞いていませんか?」

「うん。情報を提供してくれた人でしょう?」

「それ私です。」

「え…」

あーちゃんはみるみる顔色が悪くなる

「その依頼で、生還して情報提供したのは私です。」

「え…あの…運よく生還できて情報提供に繋がったって聞いてますけど…?」

泣きそうな顔で聞いてきた

「そうですね、迷宮の主の機嫌一つで私は死んでいました。

とてもかなう相手ではなかったです。

迷宮の主の気まぐれで私は逃げさせてもらったと言ってもいいでしょう」

「えっ!そんな危険な依頼請けるのやめてくださいっ!」

あーちゃんは泣きながら抱きついてくる。

行きたいって言い出したのは、あーちゃんなんだけどね

私は心の中でちょっと苦笑いをした。

でも、それだけ私の事を大事に思ってくれているんだろうな

そう思うと嬉しくなったし一層愛おしく感じた。

「そうですね、今回は私の思慮が足りませんでした。

あーちゃんの為にも、もう危険そうな依頼は請けません。」

私はしゃがみながら言った。

「ほんと?」

「はい、お約束します。

そうですね…あーちゃん小指出して。」

困惑しながら小指を出すあーちゃん

「私の村の風習で約束する時のおまじないというか約束みたいなものがあります。」

そう言うと私は小指をあーちゃんの小指に絡める。

「嘘ついたら針千本のーます。指切った。」

そう私は前世の指切りをしたのだ。

「これで私は危険な依頼を請けたら、罰として針千本飲まないといけません。

だから約束は絶対守るという誓いですね。」

「えへへ、約束ですよ絶対ですからね!危険な依頼は絶対NGですからね!」

泣き笑いであーちゃんは答える。

そういうと目が少し赤いだけでいつものあーちゃんに戻っていた。

「そうそう!今日はね、お姉様にプレゼントがあるんです!」

そう言うとあーちゃんはバックパックから1対のお揃いの指輪を出した。

「ジャーン!SSRの指輪!熟練のアクセサリー職人が制作して

熟練のマジックエンチャント職人が効果を付与したものなの。

買ったものではないから、値段はないの!

これなら受け取ってもらえますよね?」

あーちゃんは目を輝かせて言う。

多分購入した場合金貨数千枚いや、一万枚の逸品かも…

流石に気が引けてしまう。私の考えは断る方に動いていた。

「お姉様は私からのプレゼントは嫌ですか?」

あーちゃんは悲しそうなをする。

「んーん嬉しいけど…」

私が躊躇していると

「私の事が嫌いじゃなかったら受け取ってください。

折角お揃いで作ってもらったんです。」

懇願するようなまなざしで私を見る。

そんな表情で言われたら断れないよ…

「分かりました。あーちゃんのお言葉に甘えますね。

実は奇しくも3月18日は私の誕生日だったので

そのプレゼントとして頂きますね。」

「丁度良いタイミングだったのですね!

それでは左手を出してください!」

私が左手を差し出すとあーちゃんは私の薬指に指輪を通す。

うん、ステータスがぐんと伸びるのを皮膚感で感じる。

「それではお姉様が私に指輪をはめてください。」

そう言うとあーちゃんは私にSSR指輪を渡した

左手の薬指に嵌っていた私が貸している

(多分あーちゃんの中では貰っている事になっていると思う)

Aランクの指輪が律儀につけられていて、それを抜き取り

右手の薬指につけなおす。

私には左手の薬指を差し出してきた。

私はあーちゃんの左手の薬指にリングをはめた。

あーちゃんは少し顔を赤らめ

「ありがとうございます…」

と恥ずかしそうに言った。

「今日は何かしたいことはあるの?」

私はあーちゃんに聞く。

「お姉様は何かありますか?」

あーちゃんは私に聞く。

「うーん、そうですね、あーちゃんの成長を聞いてみたいかな?」

私がそう言うと

「分かりました!今神官魔法を習っているって言いましたよね?

それについてお話しします!」

それからあーちゃんによる、とめどない報告が始まった。

私はニコニコしながら話を聞いていた。

取り合えず現状覚えた魔法はダンジョンを照らす光の魔法

回復魔法、解毒魔法

そしてなんと!蘇生魔法もそろそろ可能になるとこの事。

あーちゃんは本当にスポンジのように何でもすぐ吸収できる

才能のあるお姫さまなんだなと思った。

私は褒めつつ、あーちゃんの頭を撫でると

恥ずかしそうに下を向いて大人しくなでられていた。

その後、詳しくあーちゃんの毎日生活の話を聞いた。

あーちゃんは熱中してずっと話していた。

私は勿論ニコニコしてずっと話を聞いていた。

日が傾き部屋にオレンジ色の光が差し込む。

「もう!夕方!」

あーちゃんは一生懸命話していた為時間経過を忘れていたようだ。

「話疲れたでしょう。夕飯を食堂へ食べに行きましょうか。」

私が提案すると、あーちゃんは2つ返事で了承した。

「食事の間もあーちゃんはずっと楽しそうに話しっぱなしだった。」

お揃いの指輪交換が、嬉しかったのかな。

兎に角、楽しそうなあーちゃんを見ていると私も楽しくなった。

楽しい夕食のひと時を終え、いったん部屋に戻った。

「今日はずっと私が話してたけど、お姉様は退屈ではなかったですか?」

「んーん、あーちゃんの日々の成長や、様子が知れて楽しかったですよ。」

そう言うと、あーちゃんは顔をパッと明るくして

「それなら良かったです!」

とても機嫌がよさそうだ。

「それでは今日は帰りましょうか。」

「うん、わかった!」

そういうと2人は街へ出る。

手を繋いで。

城門の兵が見えてきたところで手を離す。

「勉学楽しく励んでくださいね、また来るのを楽しみにしていますよ。」

私は笑顔で言うと

「またいくからねー!!」そう言ってあーちゃんは手を振りながら

城門の中へ消えていった。

初めは依頼の件で冷や冷やしたけど、最終的には

穏やかで楽しい1日だった。

私は宿へ戻った。

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