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上位互換者

私はギルド掲示板で依頼に目を通していた

依頼

ある日、郊外の森に突如として異様な遺跡が出現した。

冒険者が遺跡に向かったが、一人として帰ってこない。

国王は見過ごせないとして冒険者ギルドへ調査依頼を出す。

この迷宮の正体を突き止め、失踪した冒険者たちを救出してほしい。

報酬 金貨200枚

成程、危険度のかなり高い依頼だ、それは報酬の金額からしても

容易に想像がつく。

姫様との逢瀬を許してもらっているのだ。

王様に恩返しをしておいた方が良いかもしれない。

私は依頼を請ける事にした。

なに、最終的に身の危険を感じれば時間停止という切り札もある。

大富豪で言えばジョーカーみたいなものだ。

私は早速掲示板から依頼を剥がし

受付嬢に提出、サインをし現地へ向かう。

場所は馬車で半日ほどの郊外の森だそうだ。

私は馬車に揺られて目的地へ向かった。

何人かの冒険者も同乗していた。目的は同じようだった。

金貨200枚は魅力的だからね。

郊外の森で私と冒険者パーティーたちは馬車から降り

遺跡へ向かう。

遺跡は意外とすぐに見つかった。続々とPTが遺跡内に入って行く。

私も行きますか。そう心で呟くと。

私も遺跡の中へ入っていった。

うん、特に代わり映えしない遺跡だ。

そこらじゅうをPTが徘徊している。

これは、すぐに解決かな、私はそう思いながら探索を続けた。

下へ降りる階段を発見した。

そこには警告が石板に彫り込んであった

『これより先は過去と未来が待ち受けている。

命が惜しくば道を見失うな。』

なんだろうもっとわかりやすい警告文書いてもらっても良いですか?

まぁ行くしかないよね。

私は階段を降りた

各部屋、通り道、所々景色が歪んで見える

何かの罠か?

私は慎重に持ち前のアサシンの体術を駆使し歪みを避けながら道を進む。

上の階までは相当のPTがうろついていたが

この階では極端に気配が少ない。

つまり失踪しているという事だろう。

冒険者が帰らないというのは、これに関係しているのだろうか。

それならばなお更、慎重に進まねばならない。

丁寧に歪みを避けつつ進んでいたが

一歩足を踏み出した途端、突如として目の前に歪みが現れた。

最早私は足を踏み出し前へ出る体制になっていたので

止まったり後退は不可能だった。

「クソッ!しまった!」

私はその歪みに飲み込まれる。

強い力が作用し私は変な感覚に包まれる。

何だこれは…しばらくその状態が続くと

突然ある場所に放り出される。

見回すとそこは遺跡ではなかった。

見慣れない未来感のある高層の建物が乱立し、私は見慣れない道に座り込んでいた。

先ず道を調べてみる。金属製らしいがグリップ力がある。

空中には車なのか飛行機なのか公共交通機関の乗り物らしき物

が走っている

何なのだこの世界は。

背後を見ると空間が歪んでいる。恐らく私が踏み込んだ歪みだろう。

普通に考えれば飛び込めば元の遺跡に戻れるはずだ。

にしても見た目からして、きっと高度な文明だろうねこれは。

何故こんな所に飛ばされたのか。未来に飛ばされたと解釈していいのだろうか。

ぼーっと周囲を眺めていると丸い物体がコロコロ転がってきた。

「国民番号照合ピピッ!確認デキズ。

全身スキャン、チップノ確認。瑕疵アリ。不審者ト断定。

尋問ヲ開始スル。アルカディア・ネクサスノ国民番号ヲ述ベヨ。」

国民番号ってなんだよ…知らないよ…

アルカディア・ネクサスという国なのか?さっぱりわからない。

「私は遺跡探索中にここに飛ばされただけで、何もわかりません。」

そのまんまを答えた。

「解読不能。不審者レベル上昇警戒レベル4。大人シク

後ヲツイテ来イ。サモナクバ排除モードニ移行スル。」

なんだなんだ、物騒な事を言い始めたぞ、このボール。

 大人しく、ついってったら碌な事がなさそうだ。私の勘がそう言っている。

取り合えず時間を止めるか

クロノコントロール、スタティック!

私は心で呟いた。

一面色あせ白黒グレーの世界になる。時間を止めると常に、この景色になる。

さて、どうするかな、このボールから逃げて探索するか

歪みで元の遺跡に戻るか。

そう考えていた時。

「ピピッツ!時間操作ヲ検知。」

徐々に球体の機械が色を取り戻して行く。

おいおい、嘘でしょ私の時間停止に干渉してくるとか。

コレヨリ光速化、光超越モードニヨル時間操作ニ突入シマス。

正体不明ノ存在ニ警告スル。

大人シク捕獲ニ応ジヨ。」球体の機械が警告する。

相対性理論を考えるに光速を超える技術が確立されていれば

不可能ではないだろうが…。

それ以外の全く違う技術によるものの可能性もある。

私は瞬時に背後の時空の歪みに飛び込んだ。

元の遺跡ダンジョンに戻る。時間は停止したままだ。

リリース私は心で唱えると時間は動き出した。

ハァ…ハァ…ヤバかった。あんなの太刀打ちできるわけがない。

謂わば、大富豪で切り札だと思っていた2。

その2を出したらジョーカーを出されたようなものだ。

状況としては、恐らく相当文明が進んだ未来。

原始人が現代に時間移動したとして

現代の状況を把握できるかと言ったら不可能だろう。

恐らく私はその原始人の状況だった。

ふと次元の歪みを見ると消えていた。

パチパチパチパチ。20歳ぐらいの男だろうか

拍手の音の方向を見るといつの間にか、優男がそこにいた。

「君も時間の使い手のようだ。やるねぇ。全部見ていたよ。

判断力も素晴らしかった。あそこで逃げなければ恐らく君は

死んでいたか、一生幽閉・尋問されていただろう。」

「貴方は何者!」

「うん、この遺跡の主。時間と空間を操るハイエンシェントの魔法に通じている

名前はレヴィアン・クロウヴァーです。お見知りおきを。」

「何の為に、このような…!」

「そうですね、知的好奇心…でしょうか。

冒険者たちの行動を観察。愉悦…を味わうといった所でしょうか。」

「私はその能力もあり資格もある選ばれた存在です。」

自分勝手すぎるし間違っている。人の命を快楽の為に好き勝手するなど

吐き気を催す邪悪以外の何物でもない。

しかし私はこの男と戦えば勝てないだろう。

「私をどうするつもりです?あなたの愉悦に使いますか?」

「いや、君は既に私に愉悦を与えてくれた。

君の判断非常に素晴らしかった。

大抵の冒険者は、引くという選択をしない愚か者ばかりだ。

三十六計逃げるに如かず。

簡単なようでなかなかできる事ではない。

君は実力もあるのに適切な判断をした。

私としては、とても有意義な観察だった。

君には感謝したいくらいだ。」

「それでは、私は貴方にとって用済みという事で宜しいですか?」

「あぁ、そうだな、それに私は君を手にかけたくない。楽しませてくれたからね

でも、どうしても戦うというならお相手しよう。」

「いえ、私は貴方と戦えば10中8・9

いや100%私が負けるでしょう。

今、私がここから逃げたら貴方はどうしますか?」

「見送るよ。何もしない。」

「そうですか、それでは…」

私はバックパックから帰還のスクロールを取り出し

リターンを唱えた。

私が立ち去ると男は一人笑みを浮かべ遺跡の闇の中へ消えていった。

私はローゼンシュタットの冒険者ギルド前へ戻る

そのまま受付嬢の元へ行く。

受付嬢は驚いていた。なにせ遺跡からの初めての帰還者だからだ。

「遺跡の件は解決しましたか?」

「いえ残念ながら、私は解決不可能と判断し脱出してきました

ただ体験した情報は全て提供しようと思います。」

私は体験した全てをギルド嬢に伝えた

ギルド嬢は詳細にメモを取っていた。

「お疲れさまでした、有用な情報感謝します。

これで無謀に挑む冒険者も減る事でしょう。

無駄に命を落とすものも減ります。

というわけで情報提供料として

ギルドから金貨5枚を報酬としてお渡しします。」

そういうと金貨5枚を渡された。

「お力になれず申し訳ありません…」

「いえいえ、重要な情報を頂きましたので

とても助かりました、また色々依頼でお力になってください。」

私は一礼し

「はい。」とだけ言いギルドを後にした。

どんなチートを持っていようが

それを上回るチートに出会った時

それは全くの無力だという事を

思い知った依頼だった。

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