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あーちゃんの冒険者ギルド初依頼

数日ダンジョンでの鍵開けに勤しんだ私は

今日も今日とて鍵開けの修練の為、朝の用意をしていた

コンコンコン!ドアがノックされる。

「はい、開いていますどうぞー。」

ガチャ。

「お姉様おはようございます!」あーちゃんだ!

「今日はお休みの日なの?」私が聞く

「そうそう、お姉様の方から来てもらうのも

色々あると思うので、今日からは私は迎えに来るね!」

あーちゃんは言う

「その方が、確実だね。あーちゃんが

勉学の日に私がお迎えに行っても無駄足になっちゃうもんね。」

「うんうん、だからこれからは迎えに来るね!」

「りょーかいしました、よろしくね、あーちゃん。」

「はーい♪」

「今日は何がしたいかな?」私は問う。

「せっかく冒険者になったから

依頼受けてみたいなって思ってるの。」

あーちゃんの表情は好奇心に満ちている。

「そうですね、それでは依頼を請けに行きましょうか。」

私は急いで装備を整え終え

「さぁそれではいきましょう。」

「はーい!」あーちゃんは張り切っているのがわかる

初めての依頼は何かウキウキしちゃうよね。

2人は冒険者ギルドの掲示板の前に着く

「あーちゃん、受けたい依頼があったら

剥がして持ってきてね、私が最終的に判断して

決めます。」

「はいっ!」そう言うとあーちゃんは

冒険者ギルドの掲示板に釘付けになった

暫くすると、依頼を剥がして持ってきた。

「お姉様これなんかどうでしょう?

街の活気にも関わる由々しき問題だと思うんですよね。」

私は依頼書を受け取ると目を通した。

依頼

交易路に突如として現れ徘徊するケルべロスの為

交易が途絶えている。一刻も早く交易路の確保の為

ケルベロスの討伐をしてほしい。

報酬

金貨30枚 商人ギルドからの割引特典

成程、立場上町の者が困っているのを助けるのは

あーちゃんの務めだし、これをチョイスしたのは納得だ。

「そうですね、あーちゃんこれを請けましょうか。」

ギルドの受付に行き受付嬢に依頼受付のサインをし渡した。

「ギルドの受付嬢さんが、言うには商人ギルドが

現地まで馬車を出してくれるそうなので

商人ギルドへ行きましょうか。」

私の提案にあーちゃんは頷く。

2人は商人ギルドへ赴いた。

「冒険者ギルドから依頼を請けましたアリシア。」

「同じくアメリアです!」

「ケルベロス討伐の現地までの馬車を

出していただけるとの事ですが

お願いできますか?」そう言うと

商人ギルドの面々は私達を見て訝しげな目で見ている。

うん。こういう扱いは慣れている10代前半の少女2人である。

見た目で判断するとこうなるだろう。

私はカウンターに行き胸にかかっている冒険者証を見せる

「こう見えまして私はAランクアサシン

そしてこちらの子はAランク剣士です

見た目で腕前にご不安があるかもしれませんが

手練れです。ご安心ください。」

おー!と感嘆の声が漏れて、ざわめきとなる。

1人の商人が前へ出て挨拶をする。

「これは大変失礼をしました。私はザカリーと申します。

この度は討伐の申し出、誠にありがとうございます。

私が責任をもって現場までお送りさせていただきます。」

そう言うと、既に裏に用意してあった馬車へ誘導される。

私達は馬車に乗るとザカリー氏は馬車を動かした。

「あーちゃん、一瞬の油断が命取りになるので

気を付けてくださいね。」

「はい!」

馬車の中で他愛のない話をしていると

2時間ほどで断崖絶壁に囲まれた山間に着いた。

馬車が止まる。ザカリー氏は御者台から降り

私達に告げる。

「この先にケルベロスは居ます

どうか御無事で!御武運を祈ります!」

そう言うと私たちの背中を見送った。

私達は暫く歩いて行くと遠くに黒い影を見付けた。

あれがターゲットのケルベロスだろう。

私達は気配を消しつつ慎重に近づいて行く。

当たり前だけれど、ある程度まで近づくとケルベロスは気が付いて起き上がり

戦闘態勢に入る。

私も姫様も得物を抜き即座に戦闘準備に入る。

三つ頭の内右側の頭があーちゃんの方を向き息を大きく吸い込む。ブレスだ!

「あーちゃんブレス!回避して!」私は叫ぶ

あーちゃんは左にステップするが石の断崖にぶつかり阻まれる。

「あ…。」あーちゃんは回避できない事を悟る。

ゴアアアアァァァァ!ケルベロスのブレスが勢いよく吐き出される!

「いけない!」私は声を発するとともに

あーちゃんを庇うように抱え反対側へと転がった。

ズザザザザ……。

「あ…あの…ごめんなさ…」あーちゃんが言いかけたところで

「大丈夫切り替えて!」私は被せ気味言う

実は大丈夫ではない。腕から肩背中にかけてブレスをもろに喰らったのだ

腕を裏返してみると外見上白色に見える。痛みの感覚もない。

うん、これはいわゆるⅢ度熱傷だ。

皮膚の全層が熱で焼き尽くされ、皮下組織まで火傷が及んでいる状態。

皮膚の自然再生は期待できず、元の世界なら手術が必要になる状態だ。

私がケルベロスに向き直ると、その火傷があーちゃんの視界に入る。

あーちゃんは一瞬顔を曇らせるがすぐさま

「我らが神よ!慈愛の御手により癒しを授けたまえ!ヒール!」

と詠唱すると、私の患部は緑色の光に包まれ

みるみる火傷は消え元通りとなった。

「あーちゃん!すごい!」

あーちゃんは少し照れた後、気持ちを切り替え

「お姉様やりましょう!」真顔で言った。

「そうね!」そう言うと私は地面を蹴った。

先ず狙うは右首だ。再び息を大きく吸い込んでいる。

またブレスか!単純な奴め!

ゴアアアアァァァァ!ケルベロスのブレスが勢いよく吐き出される!

しかし私は既に私はそこにいない。

宙を舞いケルベロスの右首横に着地する。

「貰うぞ。」

私は呟くと右首をカタールで滅多突きし最後に刃の面で薙ぎ払う

ゴトリ…右首は地面に落ちる

「グゴアガアアアアアア!」残りの二首は吠える!

「あーちゃん!」私は叫ぶと

「はい!」掛け声とともに

あーちゃんはレイピアで左の首を滅多刺しにした!

コンビネーションで私はすかさず刃の面で左の首を薙ぎ払う!

左の首も地面にゴロリと落ちる。

「グルルルルルルル!!!」

残り首一つとなったケルベロスは低く唸る。

足元を見ると力を溜めている。

「あーちゃん!避けて!」私が叫ぶとともに

ケルベロスはあーちゃんに突進した。

間一髪で横に避けるあーちゃん。

私はケルベルスの後ろに回り込み思いっきり足の裏で蹴り飛ばす。

ドスッ!岩壁にケルベロスを叩きつける。

ダッ!私はバランスを崩しているケルベロスとの間合いを詰め

心臓目がけてカタールを何度も突き刺す。

ケルベロスは全く動かなくなり地面に血だまりが出来て行く。

「お姉様!」あーちゃんが言う

「終わったね、討伐。」

「ふぅー。」緊張から解き放たれたあーちゃんはへたり込む。」

私はあーちゃんの方へ歩み寄り

「お疲れさま、頑張ったね、あとヒールありがとうね♪」

私は笑顔で手を差し伸べた、あーちゃんは私の手をとり立ち上がると

「えへへ」と笑った。

私達はザカリー氏の元へ戻り討伐完了を告げ

確認をしてもらうため馬車でケロべロスの遺体の場所まで

共に移動してもらった。

「これは!なんと!

お二人様、ありがとうございます!

またこれで我ら商人商いを再開できます。

それでは街へと戻りましょう私が証人として

報告させていただきます。」

そう言うと深々と頭を下げ御者台へ乗り

私達が馬車へ乗るのを見届けてから。馬車は動き出した。

2時間の道程を経て街へと戻る。

馬車は先ず商人ギルドの前で止まった。

御者台から降りてきたザカリー氏は私達を

商人ギルドの中へを誘った。

「皆さん聞いて下さい!

こちらのお二人見事ケルベロスを討伐なされました!

死体は私が確認済みです!

これで交易を再開できますよ!」

わーと声が上がりガッツポーズをする者

頭を垂れる者、肩を組む者、早速荷物の準備をする者

十人十色みな違うが、喜びは一緒だ。

私はふと、あーちゃんを見てみると。

とても嬉しそうにニコニコしている。

民を思いやるいいお姫さまだ。私は心の中で思った。

「お手間を取らせてしまいました

さぁそれでは冒険者ギルドへ報告に参りましょう。」

私達は馬車に乗り冒険者ギルドへと向かった。

ザカリー氏が受付で討伐の確認を報告すると

私達に報酬が支払われた。

私達は馬車を見送ろうと外に出ると

ザカリー氏は何度も何度も頭を下げ

御者台へと乗り込み商人ギルドへと戻っていった。

「あーちゃん、どうでした始めて依頼。」私は聞いてみた

「なんかいいですね!誰かの助けになるって気持ちいい!」

「ふふっ、あーちゃんらしい答えですね。」私は微笑んだ。

私はあーちゃんに金貨15枚を渡す。

「わたしはいいの、お金には困ってないから!

お姉様が取っておいて!」あーちゃんは言ったが

「ダメです。冒険者というものは報酬は折半です。

それにこれはあーちゃんの稼いだ労働の対価です。

これを受け取らないのは冒険者の道に反するというものです。」

私が言うと

「…そういう物なのですね…」あーちゃんは素直に金貨を受け取り

じっと金貨を眺めていた。そして暫くすると何かを悟ったように少し微笑んだ。

「面白かったですか?」「うん面白かった!また行こうね♪」

あーちゃんは屈託のない笑顔で言う

「それでは送っていきますね。」

私はそう言うと城門が見える辺りまであーちゃんを送った

「またね!」私が言うと

「またねー!」元気よく手を振ってあーちゃんは城に戻っていった。

私はあーちゃんが見えなくなるまで見送った。

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