第22話 避難所での話【前編その2】
体育館の隅っこで休憩していると、先程まで仕切り作りの作業をしていた老女が作業を中断して話しかけてきた。
「ねぇ、あなたたちって、付き合ってるのかしら?」
いきなりで驚いていると、隣に座っていた絵美が口を開いた。
「はい、付き合ってます」
「あらあら、やっぱり」
老女は楽しそうにして話を続ける。
「こんな可愛くて美人な子あんまりいないから大切にするのよ? オーラ感じちゃったわよ」
「はい、わかってます」
老女に可愛くて美人でオーラを感じたと褒めのオンパレードを受けた絵美は、上機嫌で老女に話しかける。
「ありがとうございます! オーラを感じたって言われたのは初めてです!」
やっぱり褒められるのは嬉しいよね。
そんなことを話していると、作業をしながら陽一さんが大声を上げた。
「おーい明子! 早く作業終わらせないといけないから戻ってこーい!」
明子っていう名前なんだな、この人。
「ごめんね、お父さんに呼ばれたからいくわ」
そういうと明子さんは作業場に戻っていった。あの二人は夫婦だったんだな……。
そんなことを考えていると、絵美が話しかけてきた。
「ねぇ勉……あの二人夫婦だったんだね!」
「そうみたいだね、お父さんって言ってたし」
「そうだ勉、スマホの充電も保ちたいからさ、仕切り出来るまでしりとりでもしてようよ」
「わかった、いいよ」
「よし! じゃあ勉が最初言って!」
最初を任された僕は少し考えた、ここは普通にしりとりのりから始めるべきか、はたまた違う言葉を使うべきか。でもルール的に最初に思いついた言葉を言うのが正解らしいのでしりとりから始めるか。
「しりとり」
「りんご」
「ごりら」
「らっぱ」
……ちょっと待て、これじゃあしりとりの王道パターンだな、なんか違うの言いたいな。ぱんつとかぱんだとかじゃないやつ……。
と、俺がなにを言うか悩んでいたら、絵美がびっくりした顔をして言った。
「え、もう悩んでるの?!」
「いや王道パターンになっ……あ! パエリア!」
「アリ」
……しりとりを始めて10分くらい経過して、徐々に言葉が思いつかなくなってきた頃、陽一さんが近くに来て話しかけてきた。
「仕切り出来たよ、手伝ってくれてありがとう」
僕たちはしりとりを中断し、返答した。
「いえ、僕たちはただ段ボールを持って置いただけなので……」
「助かったのは事実だからね、あとこれあげる、手伝ってくれたお礼ね」
そう言われて貰ったのは、うす塩味のせんべい。これしょっぱくて美味しいんだよな。
「ありがとうございます!」
僕たちはありがたく食べることにした。
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