プロローグ
天の川銀河から女王様の光が消えた。それと同時に母は星巫女の座を退いた。巫女としての力と同時に厳しく武術ばかりを稽古してきた母の目には涙が溜まっていた。母は未来をみる力に長けていて私は千里眼。星巫女が仕える女王様は唯一人。女王様がなくなって天の川銀河を守る一心で剣を振り続けた。運命に抗いたくて。女王様と星巫女を失っても天の川銀河を守りたくて武術を極めた。
私の家系は星巫女になる運命。私が仕えるのは天の川銀河で歴史に名を残す女王様。私が星巫女になれるのは50年後。星巫女は17歳から年を取らない。私は50年間天の川銀河を守りたくて、敵陣に女王騎士と乗り込んでも女王がいないと守りきれなくて苦しい思いや消えた星まであった。女王様がいないと女王騎士の力も弱まる。天の川銀河はギリギリだった
「今日も天の川銀河は平和で、女王様も元気でいらっします。」
私は前女王様と母《前星巫女》の墓前に報告をした。前女王様を失ってから50年。月命日に飾られる薄い桃色の花は女王様の色。天の川銀河史上最弱だけど、天の川銀河に全身全霊を捧げた前女王様と母《前星巫女》。
「おはよう。今日も来たのね。」
私は薄い桃色の花の送り主が後ろから現れたから声をかけた。送り主は何も言わずに前女王様に手を合わせて立ち去った。
ユナ・シャーベルト。
前期、今期、次期女王様にも仕える騎士。
生まれ故郷が侵略され侵入者に隷属した星になり、自分だけ天の川銀河の剣士として生きているのを良しとせず、私が3歳の時、女王騎士になる“願いと誓いの儀式”で
「永遠の命。永遠に天の川銀河を守る」
と願い、誓いをたてたのだ。前女王様は一瞬迷いながらも静かに願いを聞き入れた。
「天の川銀河に栄光を!!!」
私は懐かしい声がする方へと引き込まれる。崩れる星に再生の祈りを捧げる女王様の言葉が目の前に広がる。地面が崩れ、星の民を救うだけで精一杯なのに“天の川銀河”に祈りを捧げる。
母は私を抱きしめ願いを口にする。母は約20年前の星巫女の座についたときに貰える生涯に願える3つの願いを一息で淀みなく唱えた。
“天の川銀河の防衛を高めよ”
今できる最大の防御。早く女王様を見つけないと。
“晴海が愛する人達を守りきれますように”
私の周りには愛しかない。愛が深過ぎて、私は最初にするべき願いに迷いがでた。母が淀みなくしたことが今の私にできるのだろうか。女王騎士たちは初めに自分が生きた記憶や痕跡を故郷の星から跡形もなく消すことから始まる。私は彼、彼女たちを守れるのか。
“星の隅々まで女王様の加護が届きますように”
10歳で初対面で前女王様と星巫女の母。母は公の場では女王様として敬っていたけど、プライベートでは対等を女王様はのぞんだ。歴代最弱と揶揄されながら、どの女王様より懐が深い。
目の前にいる、抜けているけどみんなから愛される宇野愛菜。母が視えた未来では彼女は天の川銀河の歴史に残る女王様になられる。
「晴海ー。なんか私悪いことした?」
地球に来て一年だけど、幼馴染で親友と記憶をいじった。ここ数日愛菜を月に迎えるために最終調整をしている私は愛菜にはそっけなかった私に愛菜は疑問をぶつける。私は、愛菜に月の女王になると話をすることができない。
ユナはそんな私を軽蔑し、愛菜と距離をとっていたのにどんどん距離をつめる。愛菜が、月の女王候補になるのは一ヶ月後の愛菜の誕生日だ。