表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

90/123

#80 二本目の勝者

「あばっばばばああああああ――!」


 天井にぶら下がっていた生ける屍(ゾンビ)が私達の背後を襲った。服装は如何にも貴族然としているが、腐敗した顔と手足がそれを台無しにしてしまっている。恐らくはこの屋敷の関係者だ。

 驚かし要員なのか、ゾンビはここでは攻撃してこなかった。けれど、今のでゾヘドさんは完全に委縮してしまい、あろう事か私に抱き着いてきた。


「ぴゃあああああ!? ゾヘドさん、何を!?」

「ひええ、ひえええええっ!」


 きゃ、きゃきゃきゃ可愛(きゃわい)い……! 何だこの人可愛いな!


 いやいやいや興奮している場合じゃない。今はシューティングに集中しないと。ああでも、抱き着かれたままじゃ狙いが定まらない。かといって無理に引き剥す事も出来ない。そんな御無体な真似を推しにする訳にはいかない。

 ていうか、抱き着かれてるの恐縮ではありますけれども至福で御座います。心臓がバクバクとヤバい。


 あああああもうどうにもならない!





「はっはぁー、スコア296ポイント! ここは俺の勝ちだな! ……オイどうした、そんなに疲れた顔をして」

「いや……その……昇天()にそうなのを必死に堪えていた結果でして……」

「?」


 ミニゲーム終了後、朱無王国の道端に満身創痍の私達二人がいた。両膝両手を石畳に着けて肩で息をしている。ラトとマイも私達とほぼ同時に帰ってきていた。


「そっち、ステージ何だった?」

「武家屋敷で化け猫とか大狸とかが出てきた」

「妖怪を撃ってきたって事?」


 ナニソレ。銃のシューティングゲームで妖怪が敵ってどんな組み合わせ? ある意味ではこちらと同じお化け屋敷ではあるんだろうか。

 それはともかく、結局私のスコアは101ポイントだった。ラトには負けてしまったのだ。悔しい。


「オレは94ポイントか……。クソ、思っていたより得点取れなかった。悪ぃ、すのこ」

「ううん、私も全然だったから。それに……」


 ゾヘドさんのポイントは77。私やラトは元よりマイよりも低い。マイは成果を上げられなかった事に済まなそうにしているけど、肝心要のゾヘドさんとの勝負には勝ったので問題ない。


 二本目は私に軍配が上がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ