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#46 異世界に小学校はないという設定

『おめでとう! おめでとう!』

『良いのゲットしたじゃん!』

『これで勝つる!』


 チャット欄もお祝いの言葉を有難う。


 二乗というのは恐らく運動エネルギーが由来だろう。運動している物体は何か別の物に当たると、当たった物を動かしたり変形させたりする。この時、運動が速い程にエネルギーは大きくなる。質量が二倍になればエネルギーも二倍になるが、速度が倍になればエネルギーは二乗になる。


 近接攻撃のみという事は遠隔攻撃である射た矢にまで効果が及ばないか。それは残念だが、手足の動きが飛び道具である矢の威力に影響する方がおかしな話だ。仕方ないだろう。


「こういうの他のパラメーターでもあるんですかね?」

「……数値が100に到達したら何かスキルを貰えるかもって事? あると思うよ。敏捷値だけの特典なんて考えられないから」


 マナちゃんは他にも極振り勢がいると言っていた。幸運値極振りとか器用値極振りとか。そういう人達も今頃こういうレアスキルを獲得していたりするんだろうか。


「ていうか、レベルで言えば、何気にルトちゃんって凄いんだよね。私達と出会った時でとっくに8レベルになっていたんだもん」

「……そ、そうかな? えへへ」


 ゾンビ戦で既に彼女は四属性の魔術を駆使していた。魔法使いとしてのレベルが高かったお陰だ。そして今や更にレベルは上がり、10に到達している。私達の倍を行っているのだから本当に凄い。積み重ねた努力の結果だ。


「……その、わたしは単純にログイン時間が長いから。すのこさん達は大学があるんでしょ? わたしは配信時間以外にもこのゲームにいるから、レベルもそれくらいにはなる」

「成程。え、でも、ルトちゃんも学生でしょう? 学校は平気なんですか?」

「……わたしは……神殿暮らしだから。学校には行っていない」


 ルトちゃんの顔色が少し曇る。

 あっそうだ。しまった、そういう『設定』だった。ルトちゃんの故郷である異世界にはきちんとした教育機関がない。中世ヨーロッパ風ファンタジーにはありがちな世界観だ。故に彼女は信仰している神殿の神官から知識を学んでいるという話だった。

 ファンとしてその『設定』に突っ込むまいと思っていたのに、うっかりだった。チャット欄にも『あっ……』とか言われている。不安と申し訳なさに胸を掻き(むし)られる。どうにかフォローをしようと脳内で言葉を探した。その時だ。


「おい、何かスゲーの見つけたぜ!」

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